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怒声と大声が飛び交う中、ヴェロは目の前に現れた存在から片っ端から切り捨て、時にはメイスで粉砕し続けていた。
この戦はこちらが攻める側である、いかに砦を落とせるか重要だ。
その砦に着くまでの消耗戦がいかに被害を抑えれるかにかかっていると言っていい。
「弓だ‼︎魔術もくるぞ‼︎火の奴がくるぞ‼︎」
誰かが叫んだと共に悲鳴があがる、上空から弓と共に火球が降り注ぐ。
咄嗟に今さっきメイスで頭をかち割った奴を盾にし、防ぐ。
悲鳴が辺りで上がり始める、火だるまになってじたばたしている者や矢が刺さりすぎて顔の原形を留めていなものもいる。
(向こうには魔術師までいやがるのかよ)
「うおおおー」
雄叫び上げ横から剣を振り上げる男の首を刎ねる。
今ので剣が駄目になったのを感じる。
「死ねっ‼︎」
端正な顔立ちをした男の肩をメイスで殴る。
呻き声を上げ落とした剣を奪い、トドメを刺す。
「射出っ‼︎」
後ろから弓を放つ号令と共に弓が放たれる。
向こうの兵が引いていく、周りはこの流れと共に追撃しよう動く。
「今だ‼︎攻めろ‼︎今がチャンスだ‼︎」
その言葉に後ろに控えいた兵士達も傭兵と共に走り出し進軍し始める。
ヴェロも剣を片手に走り出そうとするが、思いとどまる。
嫌な予感がしたからだ。
そして、その予感はすぐに的中した。
放たれた弓が敵ではなく味方に当たり始めたのだ。
「どうなってんだ‼︎味方に当たってんじゃねぇか‼︎」
「おい今すぐにやめろ‼︎」
「伝令、弓討ちやめ‼︎やめろ‼︎」
混戦模様とかしている、伝令を伝えようにも弓軍に連絡がいくまでに距離が離されているのが見える。
(やばい!)
弓軍も矢を打ちながら進軍をしているがまだ後方にいるせいで自分達が討っているのが味方だと気づいてはいない。
(おそらくだがどこかに魔術で矢の軌道を変えてるやつがいる、だが……)
ありえないとしか思えない。
魔術師は魔術が使えるという才能を持った貴族だ、そんな奴が戦場に出てくるのはほぼと言っていいほどない。
決戦や後がないと言った時しか出ないと言っていい、だからこちらも魔術師はおらず。
正規兵と傭兵で固めているのだ。
(これは負け戦だ)
一番早くに撤退しようとするが、遅かった。
少し先の砦の門が開くのが見え、そこに甲冑を着こんだ騎兵が見える。
「六騎将だあああぁぁあー」
誰かの叫び声と共に騎兵が走り出す。