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甲州御庭番劇帖  作者: 蕃石榴
壱ノ巻-第四章『中部藩校合同林間合宿』
64/66

#64 紛擾 序「本戦前夜」

時は2031年。

第22代江戸幕府将軍の治める太陽の国、日本。

此処はその天領、甲斐国・甲府藩。


甲府藩を守る「甲府御庭番衆」に入隊し、御家人研修を経て、正式に侍として認められた竜の少年・硯桜華。


悲劇の傷が癒える暇さえ許さぬかの如く、次なる試練が桜華に襲い来る。

中部地方の藩校同士が激突する、全国最大規模の合同強化訓練……「中部藩校合同林間合宿」である。


舞台は信濃。

いざ、混沌極まる激戦の渦中へ!

 ~序「本戦前夜」~


 僕は硯桜華。

 甲府御庭番衆隊員で、藩校に通う中等部八年生。


 中部藩校合同林間合宿・対抗戦の第一戦となる「直進フルーレ」は無事終了。

 成瀬先輩の超スピードに終始圧倒されっぱなし、織田先輩のサポートに終始支えられっぱなしだったけど…どうにかゴールの秘密を突き止め、なんと一着でゲームクリアとなった。

 得点は60万点。

 順位ボーナスの都合上、フルーレを三本集めた状態でより早いクリアを優先したけど、後になって加賀藩の前田利雅先輩のチームが24本という大量のフルーレを獲得して三着に入ったため、得点としては大きく抜かされることになった。

 グロブ先輩が「化け物」と称する先輩方は、どっちも本当に化け物だったらしい。


 それでも八年生が一着の決め手を打ったという評判は、その日のうちに瞬く間に各藩校生たちに広がって、僕は一躍時の人になった。

「あ!一着の子だ〜!おめでと〜!」

「一着だ一着!あの硯家の息子だってよ!」

「君が一着の桜華くん?かわいい〜♡」

 概ね好意的な反応で良かったけど、とにもかくにも絡まれる……ファンクラブ作られてまで追っかけされる目白の気持ちがちょっとだけわかった気がした。

 ちなみに目白は、ことあるごとに黄色い声援とともに人集りに埋まってしまっている……藩外でも相当人気なのだそう……目白の何が人をそうさせてしまうんだろう。


 そんなことはさておき、対抗戦は三番勝負。

 明日には第二戦が控えている。

 目指すは徽典館(きてんかん)の優勝、そしてこの対抗戦を通してもっと強くなること。

 成瀬先輩の言ってた通り、ゆっくりでもいい、後ろ歩きでもいい、どう転んでも前進あるのみ……立ち止まるな!


 ──────


 ─2031年4月22日 18:00頃─


 〔上田藩 上田市 菅平高原 リゾートイン菅平スイスホテル メインレストラン〕


「はあぁ〜!?ま、マジかぁ……俺のこともさっぱり忘れちまってんのかぁ……参ったなぁ……」

 瓶底メガネの長身のお侍様が、僕の両肩を揺すりながら捲し立ててくる。


 夕食のバイキングの時間。

 徽典館の藩校生が宿泊するホテルには、とある“大物”が僕を尋ねに来ていた。


「マジでこれっぽっちも覚えてねぇか?買ってやったオモチャとか、オモチャとか……」

 このお方、どうやら幼い頃の僕をよく知っていた人の一人……らしい。

「そんなに色々おもちゃを買ってくださっていたんですか?でもごめんなさい……おもちゃとかその類のものはほとんど、甲州事変の時に失くしてしまって……」

 すると先程までの勢いはどこへやら、お侍様は背骨が抜けたようにへなへなと項垂れてしまった。


 ざわつきながら僕とお侍様を取り囲む先生や生徒たち。

 その理由は言うまでもなく、この一見頼りなさそうなお侍様の“立場”にある。


「風弥や目黒は思い出せて!なんで俺はダメなんだよ〜!うおぉ〜ん!」


松平(まつだいら) 信康(のぶやす)

~江戸幕府 老中 御先手奉行(おさきてぶぎょう) / 駿府(すんぷ)藩主 駿府藩主家・越前松平家現当主~


 越前松平家……要するに徳川家の一族。

 その中でも、軍事部門を統括する重役・御手先奉行。

 国家防衛の全権を握る超要人……そんな偉大な旗本様が今、僕の前で情けなく滝のように涙を流してぐずっている。


 この流れ、いい加減にもう慣れてきたな……いや、相手は傷付いてるのだから、あんまり慣れちゃダメなのはわかってるんだけど……

「まあまあ信康さん、わしはもちろん石野(いわの)さんや䑓麓(だいろく)んこっも覚えちょらんし、無理ないですよ。」

「うおぉ豊三うぅ……確かに俺は影薄いけどおぉっ、水族館のナマコくらい影薄いけどおぉ……」

「それは薄いっすねぇ……」

 それはナマコに失礼では……

 信康様、なんでも石野塾のメンバーの一人らしく、お父様や目黒さんとは同期だったらしい。

 僕が生まれた直後から、硯家には時間を見つけては頻繁に来ていたらしいけど……うーん……


「ダメだ……ごめんなさい信康様、思い出せません……」

 会う頻度が少なかったからなのか、取っ掛かりすら思い出せない。

 せめて何か、もう少し情報があればよかったけど……


「昔僕にどんなおもちゃを買ってくれたんですか?」

 僕が尋ねると、信康様はパッと正座に居直って、顎に手を当てうーんと唸る。

「んとぉ……引っ張ったらティッシュが出てくるやつとか、ゼンマイ回すと動き出すネズミのやつとか……」

「なんでそんなにピンポイントで竜の子供に破壊されやすいものばかり選んだんですか……」

 幼竜は猫と同じようなもの。

 引っ張ったら出てくるティッシュやトイレットペーパーは大好きだから延々と取り出すし、動くふわふわしたものなんて必死に追いかけて捕まえようとしてしまう。

 おそらく信康様がくれたおもちゃの数々は、家が吹き飛ばされるよりも前に、悉く僕が破壊してしまったのだろう。

 繰り返し買っていたという証言もその証左だ。


 うん?でもそういえば、お父様やお母様たちと違って、剣や銃のおもちゃをくれた人がいたような気が……

「あの、信康様、それ以外にも僕にくれたおもちゃってありませんか?ちょっと物騒なやつとか……」

「あー……木刀とかBB弾とかのことか?」

「そんなものちびっ子に渡さないでください!?」

 途端、ピリッと頭痛が走る。


 〜〜〜〜〜〜


 BB弾なんてもの自体を認識していなかった僕は、小さいビー玉みたいなものだと思ってよく集めていた。

 そしたらお父様のお友達のお兄さんが、小さな銃のおもちゃをくれて…貰う前にお父様に回収されて、お兄さんはお父様に怒られていた。

「桜華、これはビー玉じゃねーんだ。」

 お兄さんはそう言って僕から弾を何個か取ると、僕にヘルメットとゴーグルをつけさせ、銃に込めて何発か撃ってみせてくれた。

 パンパンと聴き慣れない高く乾いた音がして、鳴るたびに体を跳ねさせていた。

 的に穴が開いているのを見て、どうしてお父様が危ないと言っていたのかを理解したんだっけ。


「これ……いらない……」

 僕が直感したのは、それで人や生き物を傷付けてしまう危険だった。

 だから持っていた弾をお兄さんに渡した。


「大事なお父様やお母様を傷付ける……からか?」

「うん……」

「いいか桜華、この世の中には危ねーもんが沢山ある……たとえば包丁はその気になれば人を切りつけちまえるし、積み木だって投げつければ立派な凶器だ。」

「そうなの……?みんなあぶないの……?」

「そう、みんな危ねーんだ……だけど危なく使おうとしなけりゃ、案外危なくねーもんだ。刀や銃だって、振り回さなけりゃ、いざって時に身を守ってくれる心強い武器になってくれる。」

「きょうき……ぶき……」

「モノを凶器にするか武器にするか、それはそいつの使い方次第ってわけだな!ってことで、お前はいろんなモノをちゃんと武器として使えるようになれ!」

 それはそれとしてBB弾は返却という形になったけど……今思えばあの話は、お母様が真冬先輩に伝えた、「力の正しい使い方」に通ずるものがあった。


 たまに来ては、僕を蜜柑や目白と一緒にキャンプなんかに連れて行ってくれて、いろんな道具を使いこなして見せてくれたお兄さん。

 ちなみにとても偉いお家の方らしくて、一緒に居るとお父様以上にザワザワされた。

 そんな人が居た……


 〜〜〜〜〜〜


 思い出した。

 この人は信康さんだ。


「お、桜華……どうだ……なんか思い出せたか?」

「……ええ、ちゃんと思い出せましたよ、信康さん。」

「うおおおお〜!マジか!桜華!よかったああああ〜!」

「わわっ。」

 感極まったのか、また号泣しながら僕を抱き上げてくる信康さん。

 そういえば大人しいお父様や天然な目黒さんとはまた違って、情緒も表情もとっても豊かな人だった。


「本当に、本っ当に、生きててくれてよかった……お前の話を聞いた時は本当に嬉しかった!大きくなったなぁ……お前の大きくなった姿を見れるなんてなぁ……あぁ……」

 顔をぐちゃぐちゃにして泣く信康さんを前に、降ろしてほしいとはなかなか言えず、僕はとりあえず持ち上げてくる手をさすった。

「忘れてしまってごめんなさい……」

「んなこたぁいいんだよ……まあだいぶショックだったけど……お前がこうして立って歩いて喋ってる、それだけで風弥の奴も菫さんも十分満足だと思うぜ。」

 泣き腫らして顔を真っ赤にしながら、笑みを向けてくる信康さん。

 生きてるだけで十分……これまでも再会した人たちからずっと言われてきた言葉だ。

 僕は思い出せないことに悩み続けてるけど……皆んなからすれば生きているだけで奇跡なことに間違いは無い。

 だから生きているだけ、もっと胸を張ってもいいのかもしれない。


「信康さんバンザーイ!思い出せてもらえてよかったですね!」

「おめでとうございます……でも有害玩具がトリガーって……素直に喜んでいいんですかね、それ。」

 チキンを咥えながら喋る蜜柑と、少し呆れ顔の目白からも、お祝いの言葉?を向けられる信康さん。

「素直に喜ばせてくれよおぉ〜……」

 またくにゃくにゃしてる……


 ちなみに今更になるけど、今朝の競技中に出会した珠寿華が言っていた「父上」とはこの信康さんのこと。

 そういえば物心がつき始めた辺りの頃、信康さんが赤ちゃんを連れてきたことがあった。

 名前は珠寿華……珠寿華自身は流石に僕のことを覚えてはいなかったけど、信康さんが何度も僕の話をするものだから、名前はよく知っていたらしい。

 珠寿華にはまた明日にでも挨拶しに行こう……競技中はあまり話せなかったし。


 ──────


「んー……お前らが期待するほどあいつは完璧人間なんかじゃなかったぜ?」

 お父様とは実に十年近い付き合いだった信康さん。

 そんな信康さんの口から出てきたのは意外な話だった。

「あいつ寝起き悪かったのは知ってるだろ?爬虫類だから。」

「お休みの日はお寝坊さんしてましたね……僕も寝つきや目覚めは悪いですが。」

「ははっ、やっぱり竜の子は竜だよな、そこんとこ……だからまあ、よく石野塾の授業でも寝てたんだよな。」

「授業で寝てた?あのお父様がですか?」

 かなり意外だ。

 むしろ寝てる人を起こしに行きそうなタイプだと思ってた。

「おう、でも眠りが浅過ぎたんだろうな、授業内容はしっかり頭に入れてやがったから、石野さんも俺たちもそっとしてたよ。」

「お父様、そんなことしてたんですか……」

「クソ真面目なことに変わりはねぇぞ?あいつがそういう抜けてるとこ見せんのは、石野塾とか身内も身内な場所くらいだったからな。」

「お父様がそんな抜けてる人だとは……」

「いーや絶対家でも抜けてただろ、自分の記憶の不完全な部分を、カッコいいお父様像で補完してるんじゃねーのかな。」

 そうなのかな……でも確かに、結局僕が思い出せるのは日常の断片だけで、僕からお父様への憧れの強さに色々と脚色されているのかもしれない。

「それは……そうかもしれません……」

「いや、悪いことじゃねーのよ。」

「そうでしょうか……」

「おうよ、でもな……月並みなこと言うと、人間ってのはカッコいいとこもマヌケなとこも全部合わせて人間だろ?風弥も目黒も居なくなってからだいぶ経つが、時間が経つにつれてあいつらが“伝説”になっていくのを感じるんだよ。」

 そう言う信康さんの表情は、どこか寂しそうだった。


「カッコいいとこばっかり残って、マヌケな話は削ぎ落とされていって……それってよ、本当に記憶って言えんのかな、生きた証って言えんのかな……って思う時があるんだよ。」

「だからせめて息子のお前は、親父さんのカッコ悪いとこも覚えてやっておいてくれよ……ま、あいつはカッコつけたがりだから嫌がるだろうけどな!」

 信康さんはそう言ってカラカラ笑いながら、僕の頭を撫でてくる。

 何とも言えないけど、愛おしい“懐かしさ”のにおいがした。


 ──────


 ─2031年4月22日 20:30頃─


 〔上田藩 上田市 菅平高原 リゾートイン菅平スイスホテル 和室〕


「ふぅ〜……すっきり〜……むにゃ……」

「歩きながら寝るなよ、寝室着いてからにしろ。」

 竜種は半分変温動物。

 故に、寒すぎると明らかに身体が強張って動かせなくなるし、温められるとふにゃふにゃになって眠り出してしまう。

 今の状態は後者……なぜならお風呂上がりだからです……


 目白が終始肩を支えてくれたおかげで、なんとか部屋に到着。

 テレビを前に仙太とハッチが騒ぐ横を通り、布団に寝かされた。

「ありがとぉ〜……目白ぉ……」

「まったく、手間かけさせやがって……」

 僕はそのまま枕を抱き込み、丸まって寝転がる。

「寝相の悪さも変わってなかったか……」

 呆れ気味な目白をよそに、目を閉じ意識を手放して……

 そして次に目を開けると…部屋の居間に、何故か僕らと同じ浴衣姿の女子が居て騒いでいるのが見えた。


「お!仙太が上がりだ!」

「あ、UNOって言ってませんよ。」

「うわしまったー!UNO!UNO!」

「今更言っても遅いわよ。」

「(っ・ω・c)ジーッ」

「リバース使うね〜。」

 ハッチに蜜柑、仙太に琳寧、ソウカに根子…六人で何しているのかと思えば……


「……!?ちょっと!?何してるんですか!?」

 部屋から部屋への移動は原則禁止。

 にもかかわらず蜜柑たちは、何食わぬ顔でUNOに興じていた。


 ──────


「バレたら怒られますよね?」

「怒られるよ〜。」

「部屋に居なくて大丈夫なんですか?」

「大丈夫だよ〜。」

 僕の質問に対して、山札を切り直しながら悠長に間延びした返事をする根子。


「いや大丈夫ではなくないですか?天貝先生がどこかのタイミングで点呼に来ますよ?」

「それも含めて大丈夫なんだってば〜……って、桜華くん、そういや私の能力知らないのか〜。」

「根子の能力……確かに聞いてませんね。」

「『フェイスオフ』っていうんだ〜。」

 根子のソウル能力「フェイスオフ」。

 名前の通り、人の顔を剥がし取ってしまう能力。

 顔の持ち主は、顔を取られている間、任意の対象からは存在や物音を認識されにくくなるそうだ。

 ただし、直接触れたりするとバレるらしい。


 また、取った顔を貼り付けられた物体は周囲の人から顔の持ち主と認識される上、顔の持ち主を真似た動きもする。

 いわば外付け式のコピーロボットのような使い方ができるのだそう。


「うん……?顔を物理的に剥がしているなら、どうして根子たちの顔はいつもと変わらないように見えるんですか?」

 猫に尋ねると、隣から琳寧がドヤ顔で割り込んできた。

「そこは私の活躍よ!やり方は簡単、根子に取ってもらった顔を『ブルー・アルバム』でプリントして、顔に貼れば問題無し♫」

 悪用が過ぎる。

 琳寧の「ブルー・アルバム」は壱ノ番では物体の色まではコピーできないけど、弐ノ番では小さな物体に限り色や質感まで精巧にコピーできるらしい。

 ちなみに弐ノ番を習得したのは最近のことで、天貝先生もまだ知らないため、この合わせ技が予想される可能性は低いそう。

 本当に悪知恵がよく回る人だなぁ……


「尤も、コピー人形は複雑な質問にまで答えられないから、雑談なんて投げかけられたりしたら流石にバレると思うけどな……」

 やれやれとため息を吐く目白。

「目白くん!その時は私たちのこと庇ってください!……って、あたっ。」

 飛びついてくる蜜柑の頭に、目白が軽くチョップを入れる。

「庇うわけねぇだろ……自業自得だ、武士なんだからそん時は潔く腹括れ。」

「そんなぁ……」

 

「僕もあんまり乗りたくないですね……」

「え〜?UNOやんないの〜?」

 僕が引き気味に呟くと、琳寧がダル絡みしてきて、即座に目白が引っ張ってきた。

「何も知らない桜華まで巻き込むんじゃねぇよ。」

「でもUNOはやりたいかもです……」

「やりたいのかよ……」


 ──────


 蜜柑が窓の外を眺めながら、何か歌っている。

「坊やのかあちゃん どこへ行った♫

あの山越えて 里へ行った♫

お里のおみやに 何もらった♫

でんでん太鼓に 笙の笛♫

鳴るか鳴らぬか 吹いてみろ♫」


「子守唄ですか?」

 後ろから蜜柑の背中をチョンと突っつくと、蜜柑はビクッと肩を跳ねさせて振り返った。

「ひゃあっ!……って、桜華くん……!」

「油断しすぎです……UNOはもういいんですか?」

「いやあ、その、なんといいますか、プレイ時間が人一倍長いのでちょっと疲れて離脱というか……」

 蜜柑は賢いけど何故かテーブルゲームには滅法弱い……運も悪いし、駆け引きに尋常じゃないくらい弱いのだ。

 素直すぎるのがダメだというのは見るからにわかるけど。


 そんなことより気になったのは、蜜柑から普段とは違う「悩み」のにおいがしたこと。

 悩みの無い人だとまでは思ってないけど、僕らの中では一番活発な蜜柑が、物思いに耽る姿は珍しい。

「そういえば蜜柑って、昔からいつものその子守唄を歌ってましたよね……誰から教わったのか、何気に聞いたことがないです。」

 改めて尋ねると、蜜柑は頬を掻いて苦笑いした。

「うーんと……それが……私もよく覚えてないんです、気付いた時には知っていたというか……父上曰く、誰からも教わってないはずなのに歌い出したとのことなので、本当によくわからないんです。」

 出所不明だったんだ……初めて聞いた。


「これは少々行き過ぎた憶測かもしれませんが……もしかしたら、父上に拾われる前に覚えたのかもしれません。」

「蜜柑、それって……」

 蜜柑は僕らが生まれた年の夏、山梨市で発生した大規模火災の中から、偶然通りがかった夕斎様によって拾われた子供だ。

 夕斎様には子供がおらず、また猛火の中を無傷で生き延び、自身もまた炎を吹く赤ん坊の扱いに困り保護を断念する者も多かったことから、夕斎様の養女として迎えられることになった経緯がある。

「ほら、目白くんや桜華くんと違って、私って実の親の顔を全く知らないじゃないですか?もしかして実の親が私に歌ってくれた歌なのかな?なんて思ったりしたんです。」

「なるほど、でも赤ん坊の頃の記憶ってそんなに残るものでしょうか……いや、僕は人のこと言えませんね。」

「そこは桜華くんの仰る通りで、赤ん坊の頃にインプットされた記憶が今も焼き付いているのは、私も変だとは思ってます……でも、もし本当にそうだったら、変だけどなんだか素敵だなって……顔も名前も知らない家族と、今もどこかで繋がれていたら素敵だなって……」

「蜜柑……」

「あっ、でもでもっ、ご心配はなさらず!もちろん私は父上のことが大大大好きですからね!」

 慌てて両手を振った後、笑顔で胸を張って見せる蜜柑。

「今自分が置かれている居場所には何の不満も無いです……ただ、それでも、私をこの世に生んだ人が誰なのか、知らないと前に進めない気持ちがどこかにあるんだと思います。」

 僕や目白がお父様や目黒さんのことを抱えるように、蜜柑もまたどこかで実の親のことを抱えている。

 それが見えない壁のように、人生の道の上に置かれているのも同じなんだろう。


「蜜柑……もし実の親を探したいと思ったら、僕たちにも声をかけてくださいね。一人で動いちゃダメですからね。」

「桜華くん……では、その時はそうさせていただきます!」

 両手を握ってぶんぶん振ってくる蜜柑。

 本当にこういうとこは変わってないなぁ……


「お前は一人で突っ走ると必ず事故を起こすからな……重ね重ね言うが、勝手に動いたりするなよ。」

「わかってますってば〜……日頃の行いに免じてお手柔らかにしてくれませんか?」

「日頃の行いを参考にするならもっとキツく締め上げないとな。」

「う、ウソですウソです!前言撤回です〜!」

 目白と蜜柑、やっぱり仲良いなぁ……などとほっこりしつつ、僕も窓から菅平の夜景を眺める。

 明日は対抗戦の第二戦……今度は何が起きるんだろう……


 ──────


 ─2031年4月23日 11:00頃─


 〔上田藩 上田市 菅平高原 アンダーアーマー菅平サニアパーク〕


 少しひんやりとした、澄み切った青空に、乾いた音と歓声が響く。


 林間合宿藩校対抗戦、お次は第二戦。

 その内容はというと……


 バシッ!


「よしっ!」

「ナイスだ桜華!そんまま投げ返せ!」

「はいっ!」


 ドパンッ!


 藩校対抗ドッジボール大会!


【藩校対抗戦・第2戦:藩校対抗ドッジボール】

 

 菅平はラガーマンの聖地……ということで、本来はラグビー用の広いグラウンドを借りてドッジボールをすることになった。

 これまでは野球やラグビーなんかもやってきたらしいけど、ルールが一番わかりやすくて全員が楽しめる競技が良いと、天貝先生が提案したらしい。

 

 特殊なルールも何も無く、シンプルに内野を全滅させた方が勝ちのドッジボールが続く。


 我らが甲府藩・徽典館の現在の相手は、尾張藩・明倫堂(めいりんどう)

 主将はもちろん、成瀬狛虎先輩だ。

 相変わらず術巻や聖鎧の類は使用不可だけど、ソウル能力や鬼術の類は使用可。

 安全なドッジボールでは済まない予感がする……というか、既に他の場所からドンパチ物騒な音が聴こえてきているので、ここもすぐに同じようなことになりそうだ。


 学年はバラバラに、20対20のゲーム。

 こちらの主力は僕・目白・リュシル先輩・グロブ先輩・真冬先輩。

 蜜柑と恋雪は琳寧たちと一緒に観客となっている。


 僕が敵チームの一人の胸目がけてボールを投げ返すと、すぐさま別のメンバーが難なくキャッチ。

 けっこう勢いはつけたんだけど……成瀬先輩や織田先輩以外にも、向こうには手強い生徒たちが居るのがわかる。

 パス回しも素速い……自由な校風とは打って変わって、団結した時はちゃんとチームワークを発揮するようだ。


「よぉ〜し…桜華君、受けてみなぁっ!」

 ボールを託された成瀬先輩は、指先の上でボールをクルクル回すと、そのまま流すようにカーブさせながらこちらへ投げつけてきた。

 そのままボールに向かおうとすると、何か魔力の流れを感じる……ただ回転が加えられてるんじゃない……十合技の「影送り」だ!

 

「ん……よいしょっ!」

 斜め左上へカーブする球を取ろうと、ジャンプして手を伸ばす。

 すると突然、今度は球が下方向へカーブを始め……


 バシッ!


「いててー!!」

 球から逃れようとしたグロブ先輩の脇腹に直撃した。

 通常の回転で平面方向にカーブさせた後、影送りで下にカーブする魔球を作ったということ……!?


「ちょ、入った!肝臓に入った!レバーブローはアウトだろ!」

 脇腹を抱えてプイプイ鳴きながら抗議するグロブ先輩に、成瀬先輩が呆れ顔で返す。

「モルモットも肝臓はそこなのか?……ってか、ドッジボールにそういうルールは無いだろ。」


「屁理屈はいけませんわグロブ様、貴方様の当たり判定がデカ過ぎるのが悪くってよ。」

 そう言ってグロブ先輩の脇腹を抓るリュシル先輩。

「いででで〜!傷口に塩を塗るんじゃね〜!真冬パイセンからも何か言ってやってくださいよ〜!」

 うつ伏せに丸まって助けを求めるグロブ先輩に、真冬先輩はニッコリと微笑んだまま黙って外野側を指差した。

 目が笑ってない……説得のために突然僕を寄越した件、まだ根に持ってるんだ……

「あ、ハイ……すんませんした……」

 真冬先輩の態度に気圧されたようで、グロブ先輩はとぼとぼと一人外野へ向かっていった。


「桜華様、物体の“流れ”を読み取る能力が高い我々が前に出るべきですわ、行きましょう。」

 盾役に優秀なグロブ先輩が一番先にやられてしまったのは辛いものがある。

 ここは球の回転や軌道を読めて、かつそれらを止めやすい僕とリュシル先輩が…って、リュシル先輩も得意なの?


 すると再び成瀬先輩からボールが飛んでくる……今度はS字に飛んでる!?

「エスコートして差し上げますわ。」

 リュシル先輩そう言うと、真っ先に球に手を伸ばし、球を腕の上に乗せ、背中から反対側の腕へ転がすように……まるで華麗にダンスのターンをするように、球の勢いを殺しながら受け止めた。

 す、すごい……球と舞踏してる……

「このようにダンスの知識があれば、魔球を御すなど他愛もありませんわ。」

「普通そうはならないと思います……」


 球はこっち側に来た。

 誰が投げるべきか。

「真冬先輩、投げますか?」

 僕が真冬先輩にパスしようとする仕草を見せると、真冬先輩は首を横に振る。

「別にいいよ、後輩ちゃんたちの好きにさせたげる。」

 目白からは言外に「お前が投げろ」という目線。

 さっきと同じ返球では受け止められてしまいかねない。


 ここはよく集中して、魔力と水を球に纏わせる。

 物理的な力と魔力、二つの回転はそれぞれ違う方向に、ただし勢いを殺し合わせないように。

 さっきのリュシル先輩のように流麗に、当たってもその表面を渓流のように流れていく……そんなイメージで……


「『水龍奏術(すいりゅうそうじゅつ)』……『竜宮舞(りゅうぐうまい)』」

 投げる体にも、手首にも回転をかけ、球を投げ込む。

 最初は右上にカーブ、そして敵に当たると、纏わせた水が物理的な回転の勢いを弱め、水でも減衰しない魔力による影送りの横回転の方が強くなって……


 ズバババババババッ……!


 敵の表面を滑るように、横に一薙ぎできる!


「ほおぉ〜……!水で摩擦を減らして滑らせたのかぁ……こりゃたまげたぜ。」

 成瀬先輩は当然すぐ動き、影送りを相殺して球を手に取る。

 でも少しの間だけでも、成瀬先輩の虚を突いて内野の敵を六人くらい一気に持っていけた。

 一発あたりの被害としてはかなり痛手のはずだ。


 ──────


 五分後。


 攻撃の応酬はヒートアップし、両者 チームでメンバーが次々に外野へ送られていく。

 内野の残り人数は、明倫堂が十人、徽典館が八人。

 明倫堂チームはグロブ先輩を外野へ送って以降、狙いを主力以外のメンバーに切り替えている……だから外野にボールが行っても、外野からの投球は決定打に欠けるという状況が続いている。

 唯一の主力であるグロブ先輩も、一人あたりの連続投球回数の制限があるため常に投げられるわけじゃないし、そもそも動きがわかりやすいので結構避けられやすい。


 敵の戦力配分をある程度コントロールできるのがドッジボールの特徴だ。

 このままだと戦力を内野に絞られた状態のまま、ジリ貧になって削られていく。

 そんな危機感を覚えた時のこと……


「いっくよ〜!そーれっ!」

 織田先輩がリュシル先輩へ投げたスローボールに、目白が自ら割り込んで当たりに行った。


「あれっ?私のへろへろボールが当たった?よくわかんないけどやった〜!」

 よくわからないうちに敵の主力を落とすことができ、喜んで跳ね回る織田先輩。

「目白……どういうことですか?」

 僕が尋ねると、目白は後ろの外野を親指で指した。

「わかるだろ。」

 すぐに察した、外野の戦力確保を優先したんだ……


 そこからゲームの流れは変わり、僕と目白のラリーを中心とする攻撃で、明倫堂チームの内野は残り四人にまで減少。

 そこで時間切れとなり、晴れて徽典館チームの勝利となった。


 徽典館の皆んなが喜んでチームメンバーを胴上げする傍ら、少し困ったような表示でその様子を遠くから見つめる豊三さんの姿が見えた。


 その後も徽典館チームは快進撃を続け、他の藩校チームを次々に撃破。

「また勝利〜!桜華!立ち上○リーヨ歌って祝おうぜ〜♫」

「それはサッカーですよ、グロブ先輩……」

 なんだかよくわからないけど、とりあえず皆んな調子が良かったらしい……?

 そんなこんなでよくわからないうちに、徽典館の総合順位は明倫堂を抜いて二位につけていた。


 最強の壮猶館(そうゆうかん)とはたまたまマッチングしなかったこともあり、この好成績。

 この良い調子が本番の第三戦でも続くといいんだけど……


【第2戦終了時順位トップ5】

1位:壮猶館(加賀藩)

2位:徽典館(甲府藩)

3位:津藩(有造館)

4位:明倫堂(尾張藩)

5位:道学堂(新発田(しばた)藩)


 ──────


 ─2031年4月23日 18:00頃─


 〔上田藩 上田市 菅平高原 菅平野外炊飯場〕


 辺りはすっかり薄暗くなり、鳥の鳴く声がこだまする。

 今夜は各藩校での飯盒炊爨(はんごうすいさん)

 飯盒炊爨といえばカレー!……のはずなんだけど……


「あ、あの……蜜柑、それ本当に入れて大丈夫ですか……?というか具材入れすぎでは……」

「大丈夫ですって桜華くん!カレーは何を入れてもルーとスパイスが包み込んでくれるって、どこかの料理人さんが言ってました!目白くんが留守してる間に仕上げますよ〜!」

「“何を入れても大丈夫”と“何をしても大丈夫”はイコールで繋がらないと思うんですが……」

 最初は牛肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ……と、常識的な具材が入れられていったんだけど……

 蜜柑や仙太、リュシル先輩やグロブ先輩が、次々に色んな具材を持ってきたのだ。

 魚、大根、生姜、チョコレート、マロニー、水菜、イカ、オレンジジュース……「食べ物で遊ぶな」と「これはアレンジですから」との絶妙なラインを走るかのような具材が、次々に投入されていく。

 あの、さっきから水面を浮かんでいる白い塊は何ですか……?


 ボチャンッ!


 今度は何か赤くて丸い物体が投入され……

「え、え、仙太?今のってもしかしてりんごですか?」

 僕が愕然として問うと、仙太は何食わぬ顔で頷く。

「おう、りんごだぞ。」

「いや、りんごだぞ、じゃないです。なんでりんご……」

「ほらあるじゃん、りんごとはちみつ♫とろ〜りとけ〜てる♫って歌。」

「あれはりんごを直接投入しているわけではないですよ!?」

「えっまじかよ、俺、今まで甘口カレーには不可視のカットりんごが入ってんのかと思ってたぜ……」

「どういう勘違いですか?そこに無いなら無いんですよ?」


 ストッパーになってくれる人が不在という恐怖の状況。

 今は半分自由時間みたいなもので、目白は準備を粗方終えたところで、豊三さんに話をしに行くと言って姿を消してしまった。

 豊三さんは目白の研修担当だったらしく、その前後にもよく目白を気にかけてきたそうだ……僕にとっての石野さんみたいな立ち位置である。

 何か相談したいことがあったのかな……それにしても帰りが遅いな……あなたが帰ってこないうちに、あなたの準備したカレーは、善意で舗装された闇鍋みたいになっています……


 ──────


「何だ……これ……」

 20分後、出来上がった“何か”の前には、目白が呆然とした様子で立ち尽くしていた。

「目白、これはカレーです。」

「全体的な雰囲気だけはそうだな。」

「だからカレーなんですよ。」

「いや納得できねぇよ。」

 試しに一口、僕と目白で掬って啜ってみる。

 この動作の時点でカレーじゃない気がする。


 ズズッ……


 やっぱりだ……このカレーの最大の問題は、闇鍋状態にあることじゃない。

 水が多すぎる……これカレーじゃなくて、茶色い水だ……


「い、いかがですか……」

「感想としては、なんということをしてくれたのでしょう、だな。」

 恐る恐る尋ねる蜜柑に、目白は真顔で明後日の方向を眺めながら答える。

「いよっ!劇的ビフォーアフターってやつだな!」

「(*゜∀゜)*。_。)ウンウン」

 共謀者のハッチとソウカが囃し立てる。

「悲劇的の間違いだろ、お前ら……具材にも水分があるって知ってるか?」

 ジトッと一同に視線を戻す目白。


「なんか桜華先輩は言ってた気がするッスけど、アイドルはトイレ行かない的な感じで野菜からも水なんて出ないッスよ〜って流してたッス。トイレだけに。」

「うるせぇ、っていうかトイレの話題を食事に持ち出してんじゃねぇ。」

 ずっとぼける恋雪に、目白は深くため息を吐く。


 結局生まれてしまった「水闇カレー」については、どうにか食べれるものにするため、残った時間を使って僕と目白で応急処置することになった。

「悪いな桜華、目を離した隙に……先輩たちも含めて、お前一人じゃ止めきれなかっただろ。」

「目白はいつも人の心配ばかりしてますね?」

「当然だろ……お前なら尚更なのもな、何でかも今更言わなくたってわかるだろ。」

 それは確かにそう……目白も蜜柑もしょっちゅう僕を助けようとしてくる理由など、今更考えるまでもない。

「でも僕、目白や蜜柑が思ってるよりも結構元気にやってるつもりですよ、なんだかんだクラスにも馴染めてるし……」

「別に嫌なら嫌でいいが……少なくとも俺は、俺の意思でお前を贔屓してる。」

「贔屓……」

 贔屓ってそんな堂々と言っていいんだ……などと思ってしまった。


 目白はコンソメを鍋に入れ、火を点ける。

 だんだんと煮立つ鍋を見ながら、目白は再び口を開く。

「そういやお前には話したことなかったな……俺が戦う理由──」


 ──────


 ─2031年4月24日 10:00頃─


 〔上田藩 上田市 菅平高原 菅平湖周辺〕


 翌日。

 天気は変わらず、空は青く晴れ渡っている。


 舞台は再び菅平湖を中心とする山中のフィールド。

 今から行われるのが、藩校対抗戦の第三戦。


【藩校対抗戦・第3戦:魑魅(すだま)入れ】

〈ルール〉

◎制限時間は3時間。

◎藩校ごとにチームを編成。

◎フィールドにばら撒かれた低級妖魔「魑魅」を、各個に配布される籠に捕獲し、制限時間終了時に確保していた魑魅の数だけ得点を得る。

◎他チームへの攻撃・妨害は無制限に可能。

◎他チームから籠を奪い、自チームの魑魅確保数に加えることができる。

◎術巻・聖鎧・それらに準ずる魔導具の使用は禁止。


 第一戦と違ってルールは単純、そしてグロブ先輩の予想通りの競技が来た。

 まずは最初の作戦会議通りに動いて、着実に得点を取っていく。


《それではゲームスターーートッ!!今回も司会は私、新閃蜜樹がお送りするわよ〜ん!!》


「よし、算段通りに事を進めるぞ。」

 目白の言葉に皆んな頷き、すぐに近辺の魑魅へと向かう。

 魑魅は手で取らずとも、体が触れさえすれば勝手に籠に入ってくれる。


 ゴウゥッッ……!!


 突然、凄まじい魔力の気配を感じる。

 すぐにわかった、何かが猛スピードで突進してきている。


 ドドドドドドドド……!!!!


 こっちに来て……

 気配の方向へ瞬時に振り向くと、既に息のかかる距離まで、大男の鬼気迫る顔貌が迫ってきていた。


「やべぇ!あいつ直行してきやがった!」

 焦るグロブ先輩。

「前田……利雅……!」

 驚く目白。


 それらの声を掻き消し、鼓膜を直接震わすかのように、前田先輩は大声を上げた。


「ようやく会えたぞ硯桜華あぁ!!さぁ……激アツに祭りといこうッッ!!」


 これから僕を待ち受けているのは、未体験の波乱と熱狂、そして混沌。

 いよいよ始まる…これが本番、第三戦!


 〔つづく〕


 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

〈tips:魔術〉

領界(りょうかい)

 個々人が有するグラマー界が、現世界に表出した「魂の空間」。

 簡単に言えば、個々人の精神世界が具現化されたものである。

 極ノ番はこの領界を現実世界にそのまま投映する技術であり、この際に領界は極ノ番の「攻撃可能範囲」そのものとなる。

 領界は極ノ番で投映されるのが一般的であるが、『シン陰流・“円慧之陣(えんけいのじん)”』もその簡易版であるほか、一部のソウル能力にはデフォルトで領界を投映する機能が備わっていることがある。

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