四十話 成果
レーガル城の訓練場では今日も激しく何かがぶつかり合う音
「やるようにはなったじゃねえか、物質憑依の時間も最初とは比べものにならないくらい長くなったしな」
「おかげさまでね、でも甘く見てると足元すくわれるぜ」
そう言う秀は手のひらを平らにした。
するとそこに風が集まるように吹き込んできた。
「風刃!」
手のひらの上にある三日月のような形のような物をラウルに向かって飛ばした。
しかしそれを簡単にかわすラウルだが、秀の狙いはかわすことでできた隙で、そのできた隙の間に2メートル程あったラウルとの距離を一気に詰め刀を振るが、それもラウルは読んでいたようで炎神槍で防がれてしまう。
「ちっ」
「風刃でできた隙を風の力で一気に詰める戦術か・・・悪くないな」
ラウルの特訓が始まって早くも1週間が経とうとして、その特訓の成果としていろいろなものを修得できた。
ルーが操るのが火なら、シルフィーが操るのが風だということや、それの応用編で素早く動けることなどいろいろなことをこの特訓で学んでいる。
「簡単に防いでるくせによく言うぜ・・・だけど新技はまだ続くぜ」
刀の切っ先を前に向けると、刀を中心として渦巻くように風が吹いていた。
(何をする気だ・・・)
一つ息を深く吐くと秀はラウルに向かって走って、少し手前で止まると風を纏った刀をアッパースイングのように振り切った。
「旋風刃!」
振り切った剣先からミニマムな竜巻がラウルを襲う。
(ヤバい!)
必死に横に飛んでかわすが体勢は完全に崩していた。
(どうせ、距離を詰めてるんだ・・・・・・な!)
ラウルが見た先には無数の風刃が飛んできていた。
(何度も同じ手は引っかかんねぇだろ)
「まだ甘いぜ」
体勢を崩されたラウルだが、その場でラウルは自分を中心にして球体の炎を出して全ての風刃を消した。
「くっそー、あれが一撃も入らないのかよ」
一撃も入らなかったことがショックでその場にへたりこ込み物質憑依を解除した。
「まあ攻撃自体はかなり良かったぞ、まあ俺がすごすきただけだ」
その言葉にかなりイラつきを覚えたが、今の体力では怒る気になれなかった。
《緊急指令、緊急指令マナマ草原にカースが出現しました直ちに向かってください》
「さてとお仕事の時間だな、どうだ付いてくるか?」
「えーと、今何で俺がへたり込んでいるか分かりますか」
「じゃあこれを飲め」
へたり込んでいる秀にラウルが出したのは、少し青みがある液体だった。
「なんだろう、全然飲みたく無いんだけど」
「いいから飲め!」
秀は強引に液体を飲ませられたが、その液体を飲んだ秀は体の変化に気が付いた。
「あれ、体に魔力が戻ってくる」
「魔力が多少回復する薬だ、その程度回復したらカースごときいけるだろ」
「いやいや、何故俺だ!他に兵隊がいるだろ」
「今ここにいるのは俺とお前だけだけど」
「う、まあ、そうだけどさ・・・」
「あーあ、あの薬結構高いんだけどなー」
ラウルのその一言で秀がカース討伐に行くことが決定した。
―マナマ草原―
「いたいた、一、二・・・五匹で、熊型のカースか」
「うわー、なんかメッチャ強そうだけど」
「図体だけだ行くぞ、俺は左側にいる三匹の方に行ってやるから、お前は右側の二匹を頼むな」
「了解、シルフィー物質憑依だ」
木刀を刀に変えたところでラウルはいきなり秀に質問をした。
「ふと思ったんだけど、お前のその武器って名前ないのか」
「確かに、まあ刀、刀ってずっと呼ぶわけにはいかないしな」
「・・・・・・決めた!」
「早ぇ!」
普通は何かの命名するときには、多少の時間はかかって当たり前だが、秀の命名の時間は5秒ほどだっただろう。
「今からこの刀の名前は・・・天つ風だ、どうだシルフィー」
(うん、いい名前だと思うよ)
そう言った秀は右側にいる熊型のカースに向かって走り出した。