三十七話 嫌な日
カースの攻撃はかわしたが、カースは攻撃の手を休めることなくすでに拳を握り腕を振り上げていた。
子供を抱え込んでいるせいか、少し動きが鈍いサラは横に飛んでかわそうとしたが先をよんでいたカースにわき腹にパンチをもらってしまう。
「くぅ・・・・・」
カースのパンチを受けたサラは吹っ飛ばされて、市場の商品棚にぶつけられたのが更にダメージをデカくした。
しかし吹っ飛ばされたのがこうをせいしたのかカースと距離がとることができたサラは抱き抱えていた少年に逃げるように促した。
少年はその場から逃げることが出来たが、カースはすでにターゲットをサラに切り替えていた。
「くぅ・・・・・」
痛みのせいで体が思うように動かなかった。
目の前にはすでにカースが腕を振り上げていた。
“やられる”と思って目を瞑ろうとしたが、聞き覚えのある声がした。
「てめぇ!サラから離れやがれ」
カースの頭の横から跳び蹴りをかまして飛ばし、サラからカースを離す。
すぐにサラの元に駆け寄ると、サラはラウルに抱きついた。
「大丈夫かサラ、もう安心だからな」
後ろではゆっくりとカースが立ち上がりサラの方向に向かって走り出したがその前にグレンが立ちはだかる。
「よくやったなラウル、後は俺に任せておけ、お前はサラさんを安全な場所へ連れていけ」
サラをゆっくりと立たせたラウルはサラを安全な場所へと連れて行った。
「ずいぶん派手にやってくれたな、ちゃんと落とし前はつけてもらうぜ・・・・・・行くぞルー!」
グレンが呼んだ精霊はラウルの精霊のルーだった。
ルーと物質憑依をして炎神槍・爆炎を出した。
「我が炎の塵になれ!」
グレンは槍の先を向けてカースの方に走り出した。
「よし、ここまで来れば大丈夫だな」
サラを安全な場所へと連れて行ったラウルはサラを下ろしてグレンの所へ戻ろうとしたが、もと来た道にはカースがいた。
カースを見た瞬間“ヤバい”と感じたラウルはサラを抱き抱えてまた走り出した。
しかし悪いことは続くものとはよく言ったもの、ラウルの逃げた方向には二体しかレーダーに反応しなかったカースが三体も居たのだった。
「マジかよ・・・・・・」
動植物のカースには対抗できるが人型のカースには対抗できないとは知っているいるが、ラウルは槍を構えて一体のカースの方に戦いを挑みに行った。
大切な人を守るために・・・・・・
「ぐぅ・・・・・・・・・」
瀕死の状態なのはグレンと対峙していたカース
「案外呆気なかったな」
トドメの一撃でカースに槍を突き刺し発火させて、カースを滅した。
「はぁー何だか嫌な予感がしてしょうがないな・・・・・・」
自分の勘はよく当たる方だが今回ばかりは当たって欲しくなかったが、グレンの勘は当たってしまった。
「隊長!西の広場に新たなカースが現れました」
「了解だ連絡感謝する」
(まったく、今日は本当に嫌な日だな)
「くっ、くそ・・・」
カースと戦っていたラウルだが、こちらは一転カースが圧倒していた。
戦っている内にすでに反対側にいたカースが集まり四対一で状況は最悪だった。
(くっ、まさかこんなにも力が違うとはな)
「おいおいこんなにカースが現れるなんておかしいだろ」
「・・・グ、グレン隊長」
「この場面、本日二度目だなー本当にやな日だな今日は」
「我が炎の塵となれ!」
一斉に襲いかかるカースを槍で振り払い、グレンは手のひらに複数の火の玉をを出した。
「紅蓮玉!」
グレンが放った複数の火の玉はカース達のに直撃しカース達のいた場所は爆発に包まれる。
「や、やったのか?」
「・・・・・・いや、まだだ」
爆発の煙の中から三体のカースがピンピンしていた。
「まったく今日は本当に仕事が多いな」
「グレン隊長!来ますよ」
三体のカースの内に一体は襲いかかるがグレンに簡単にぶっ飛ばす。
ぶっ飛ばしたカースにすぐさま火の玉を飛ばしカースに直撃した。
「残るは二体だ」
槍を残りのカースに向けて一気に圧力をかける。
残りのカース二体の中心に槍を投げて突き刺し、秀達が森で見た技を出した。
「業火旋風槍!」
火柱を立てて燃え上がり、カースは塵となって消えた。
「ちっ、一体逃したか」
ゆっくりと地面に落ちている槍を取りに行くときだった。
自分の腹から腕が出ていて、その出どころを見ようと振り返ると、そこには吹き飛ばして紅蓮玉をぶつけたカースが居た。
「まったく・・・本当に今日は・・・ついて・・・ない・・・ぜ・・・」
「グレン隊長ぉぉ!!」
ゆっくりと崩れ落ちる前にカースに紅蓮玉を複雑ぶつけて、今度こそトドメをさした。
すぐさまグレンのもとに駆け寄ったてグレンの状態を確かめたが、グレンの傷は深すぎた。
(これは・・・ヤバい)
「おい!何をやってる後ろだ!!」
逃したか一体のカースがラウルの後ろに回っていた。
「しまっ・・・」
鋭く尖った手でラウルを突き刺そうとしたが、それは届かなかった。
なぜなら一人の女性がそれを体をはって止めたからだった。
「な、何で・・・・・・」
「サラぁぁぁぁ!!!」