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ヤバイ家  作者: 森好子


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第一話:謎の少年

関西から地方都市に引っ越ししてきた森家。

念願の新築マイホームに家族中が浮かれ経つ。

しかし、その引っ越し先では、次々に怪異が起こるのだった。

昭和60年3月

森家は念願の新居へ引っ越した。

関西の2DKの社宅から、ついに3LDK。

父・正一(49)、母・澄江(46)、ヨシコ(18)、猫のタマ(3)。

そして手伝いに来てくれた祖母ハル。

家族は浮き立っていた。


ヨシコは2階の自室で荷ほどきをしていた。

初めての“自分だけの部屋”。

どこに何を置こうか、花歌を口ずさみながら楽しく片付けている。


ただ一匹だけ、浮かれていない者がいた。

猫のタマだ。


タマはいつも肝が据わっているのに、今日は違う。

びくびくと周囲を警戒し、時折毛を逆立てて威嚇する。


「新しい家に慣れてないだけやろ」

家族はそう思っていた。

猫は人につかず家につく——そういう言葉もある。


しかし、それは“理由の半分”でしかなかった。


◆ ガス屋の説明と、知らない子供

「よしこちゃん。ガス屋さんが、お風呂の焚き方を教えてくれるから降りておいで!」


1階から祖母の声が響いた。


「はーい!」


ヨシコは機嫌よく階段を降り、風呂場へ向かった。


そこには、50代くらいのガス屋のおじさんがいて、

水道の蛇口の上にあるスイッチ盤を指しながら母に説明していた。


その横に——

見知らぬ小学校低学年くらいの男の子が立っていた。


父が続いて風呂場に入り、祖母は脱衣所で説明を聞いている。

ヨシコは脱衣所とトイレ前の廊下の中間に立っていた。


家に知らない子供がいることに違和感はあったが、

「ガス屋さんが子連れで来てるんやろう」

とすぐに納得した。

春休みだし、珍しくもない。


しかし——

その子供は、説明を聞いている様子がない。

きょろきょろと周囲を見回し、やがて飽きたのか、

突然くるりと踵を返して廊下へ出てきた。


かなりの速さだった。


ヨシコはぶつからないよう、狭い廊下の端に背をつけて避けた。


その瞬間、違和感が走る。


頭が揺れない。


普通、人が歩けば、少しは上下に揺れる。

しかしその子は、まったく揺れずに、

まるで床を滑るようにスーッと通り過ぎた。


ヨシコの横で一瞬だけ止まり、

小さくお辞儀をしたようにも、ただ俯いただけにも見えた。


そして——

そのまま階段へ向かい、斜めに引っ張られるようにスーッと上っていった。


やはり頭は揺れない。


ヨシコは胸がざわつき、

「タマを守らなきゃ」

という強い感情に突き動かされた。


タマは子供が嫌いだ。

あの子が2階に行けば、タマがあの子を威嚇して、タマが反撃される気がしたのだ。


ヨシコは慌てて階段を駆け上がった。


ヨシコが2階で見たものは・・・?

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