表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/152

みいつけた

メニック視点です。

 レストが封鎖を引きずり去っていった後。


 取り残されたのは事切れた魔族。

 その側にはひとりの技術士。


 カチカチカチカチ。機械音が響く。音の発生源はメニックと名乗った技術士の頭部からだ。


 メニックは首をかくんと大きく傾け、ギョロギョロと眼球をあちらこちらに回す。金属の長い爪は頭上で弾いて甲高い音を立てていた。


 その不気味な行為をしばし続けていたと思えば。


「そうだ。そうだね。そうだった」


 メニックは平坦な音声を口から発する。頭部からは機械音がキュイキュイと鳴り続けていた。


「記録を発見。封鎖はとある地層から掘られた巨大鉱物を削って造られている。封鎖が掘られた地層は魔力が高濃度に溶けた太古からの水層が地殻変動により、活火山のマグマと接触したと同時に魔力の結晶が析出し、天然の魔晶石となった。直後に活火山内の精霊が魔晶石の魔力を用いて……」


 ぶつぶつとメニックは目を見開いたまま呟き続ける。


「記録上の天然の魔晶石は全て加工済み。魔晶石の分布図予想では……採掘可能な地層は掘り尽くしている。天然魔晶石の使用は困難」


 ギョロリと眼球がぐるりとまわる。


「魔術により作製された人工魔晶石の場合は……含有魔力の補充と消失を繰り返す度に硬度が著しく低下する。程度は……おおよそ2,3回で砕け散る事が判明。人工魔晶石の使用は継続が困難」


 ギョロギョロギョロギョロ、と眼球の動きが更に早くなる。


「つまり、つまりつまり——」


 ガチン、と爪の音が鳴り響く。

 ぐるぐると回っていた眼球はピタリと正面で止まる。


「——魔石が最適」


 メニックは傾けていた頭をゆっくりと起こす。


「つまり。ゴブリン共から収穫すれば良い」


 そして身体中からガチャンと金属音立てて立ち上がった。


「ゴブリン共は騒がしい。ゴブリン共は抵抗する」


 メニックがゆっくりと腕を上げると、ガチャガチャと腕が開き、ディスプレイが組み上がる。

 機械の腕から出てきたディスプレイに映っていたのは、町の様子だ。


「綺麗な魔石を用意するには……あぁ」


 幾つも切り替わる町の様子をじっと眺めていたメニックは突然、食い入るようにディスプレイに顔を近づけた。


「良いモノが近くに在るじゃないか」


 みいつけた。


 にたり、と笑みが画面に反射した。

4/27の投稿は時間未定です!!

(多分遅くなります)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ