表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スノーローズ~転生した精霊の愛し子は唯一と何度でも巡り合う~  作者: ありや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/37

冬の花 13

*たくさんある作品の中から見つけていただいて、お読みいただきありがとうございます*

 部屋に置いている精霊草の鉢植え。花が咲き、クリスマスローズと同じ花が咲くことを確かめられた。

そんな日に花の精霊、精霊王の妃でもあるカナ様に加護をいただいた。ついでに魔力も注がれたらしくて、私の魔力量は少々、少々? 増加したらしい。

 魔力の暴走は…さすがになかったものの、それに近い状態が続いていた。

カナ様の加護を授かった後、微熱が続くようになった。きっと魔力量が急に増えたことと、体内で魔力を作る量も増えたためなのだろう。精霊様に魔力を注がれる=魔力量の増加だなんて、誰も教えてくれなかったので、私は体よりも心の方がグッタリだった。

 生き物には体内に魔力を貯めておくための貯蔵庫的なスペースがあるそうなのだけど、そのスペースは基本的に満タンになれば、魔力が一定程度なくなるまであまり作られない仕組みらしい。でも、人間の場合は常に作られていてスペースは満たされた状態に近いのだとか。で、そういう状態だから常に作られ続ける魔力をそれ以上は貯めておくことができなくて、垂れ流し状態らしい。大抵の人間は魔力を垂れ流しと同時に使うことで、貯蔵庫を満タンに近い状態にしているらしく垂れ流す量は微々たるものなのが普通らしい。

けど、この時の私は魔力を増産しすぎて、貯蔵庫から普段流れ出ていく量よりもさらに魔力が流れ出ていたらしい。体が魔力に慣れるために不調を訴えたようで、しばらくはベッドと友達になっていた。

殿下が二日に一度はお見舞いに来てくださったり(殿下暇じゃないよね!? というあやめさんの突っ込み)、お兄様達の過保護が悪化したり(いつものことだからスルー案件のあやめさん…)、色々あった。お兄様達はお母様に窘められて、なんとか抑えてもらえただけ良かったけれど、殿下のほうは……無理。なので、私は体を起こしている時に訪ねられない限りは、寝たふりで通して色々…誤魔化した。

正直なところ、余程深い関係、…つまり家族とか恋人とか、親しい友人とかなら、臥せっているところを見られるのは、嫌ではないんだけど。殿下は…婚約者だけど、ただ、ちょっと仲の良い友達程度だし、会いたいとは思えなかった。殿下がすっごく年上のオジサマだっていうなら、無理してでも会った自信はある。でも違う。将来有望なイケオジ候補だけど、今はまだ10代前半だから!


 ちょうどこの頃に、以前庭師に頼んでいた精霊草の鉢植えをアシュリーが部屋へと持ってきてくれていた。

ベッド脇に置かれたサイドテーブルの上に飾ってくれていた。


 体がもし動かすのが苦痛でなければ…精霊草に魔力を注いでしまえば、体が楽になったんじゃないのかなぁ?って今なら思う。うん思う。でも、その時は不調の原因が分かってなかったものだから、過保護なお父様お兄様達がいる手前、思うように動くのが難しかった。

 少し魔力量に体が慣れてきた頃にやっと、お医者様から「もしかしたら、魔力の暴走直前にある魔力の不安定な状況ではないか?」という話が出てきて、それなら魔力を抑える魔道具を使えば体調はすぐに良くなる、ということだった。

 すぐさま魔力量を抑える効果のある魔道具が用意されて、手渡された。


「魔力量を抑えることが必要なんだったら、今体内に蓄積されてる魔力をパーッと使って放出すれば…楽になれるのでは? 入れ物から溢れ出してる魔力をこれ以上増やさないように魔力を抑えるのか、それとも溢れ出てる魔力をどんどん消費して入れ物から溢れないようにするか、それの違いよね?」


 私の呟きは誰にも届くことはなく、でも私自身にはとてもよく響いた。

 そう言えば、精霊草が咲いたことで少し気になることが出てきた。精霊草の根元に魔石を置くことで、魔力を与えた格好になったんだけど、果たしてそれだけで花が咲く原因になるのかしら? と私は思った。

単純に検証したくなるでしょう? 魔石を置く以外に何か花を咲かせる要素があったのかって。

でも、私がしたことと言えば本当に魔石を置いただけ。後のお世話は魔石を置く置かないに関係なく同じだったから、やっぱり魔石が原因? あ、でも…。魔石の代わりに人が直接魔力を注ぐというのはしてなかった!

それなら、私が魔力を注いで…。


 何も考えることなく、部屋の精霊草の鉢植えに如雨露で水を注ぐイメージで魔力を注いでみた。果たしてこれが魔力量を安定させることに繫がるのか分からなかったけれど。

それでも、魔力を注ぐと微々たる量であっても体が楽になる感覚があった。

魔道具を使っていない時に毎日それを続け、それ以外の時間では魔道具を使うことで、なんとか魔力量を一定程度抑えることが出来るようになって、元気になった。それが一か月はかかったわけだけど…。


 私が体調を崩していた間に私自身が精霊草に魔力を注いだ。結果として花を咲かせるまでには至ってない。魔石だけで十分花を咲かせることは分かったけど、魔力を人が注いだ場合はどれくらいなのか分からない。このま

ま私が魔力を注いで…。でも、難しいかも。王子妃教育が完全に終わってしまえば、自分の時間ももう少し取り易くなるけど、今はまだ王城へ行く日があって、一日縛りになるし難しい。誰か代わりに…代わり、あ、お父様に相談しよう。それがいいと思う。うん、決めた!



「お父様、相談したいことがあります。お時間少しいただけますか?」

「リリーから相談なんて、初めてだね。いいよ。時間を作ろう」

「ありがとうございます」

「それじゃ、夕食後に書斎へおいで」

「はい!」


 ちょうど私が相談したいなって思いついたのがお父様が帰ってくるというタイミングで、お母様と一緒に玄関まで出迎えた。その時にお父様にお願いしたら、あっさりと時間を作ってもらえたというわけ。

お父様の書斎へ入ると、すでにソファで寛ぐお父様がいた。私は相対するようにソファへ座るよう促されて、その通りに座った。


「で、相談って何だい?」

「はい。中庭の精霊草のことです」

「……精霊草。どんな植物かな?」

「えっと、花を咲かせることなく育つと言われている植物です」

「それがどうしたんだい?」


私はこれまでのことを簡単に説明した。領地へ行った時に興味が湧いたこと。そして王都の屋敷にもあったため、そのまま世話をさせてもらっていたこと。でも、体調が悪くなったために後の世話はアシュリーがしてくれていたこと。その精霊草が咲いたこと。

そして何より、庭師のエドが精霊草を他の人にも見てもらいたいと思っていること。


「…つまり、最初に提案をしてきたのは庭師なんだね。でも、アイリスはそういう考えはなかった。たとえあったとしても、まだ幼いからどうすべきか分からない、というところかな?」

「はい。私は自分が精霊草の花を咲かせることが目的だったところがあるので、今は満足してるのですが、1つ気になることがあるんです」

「気になること?」

「はい。精霊草に魔石で魔力を注いでいます。そうしたら魔力の影響を受けたようで花が咲いたんだと思います。今後は実際に確認しないといけないのですが、精霊草に魔力を蓄える力があるのではないかと思ったんです」

「…それは、もしかしたらだけど。アイリスの魔力が不安定になっていた時のこともあって感じたことかい?」

「はい。魔力が少し安定し始めた頃なんですけど、精霊草に魔力を注ぐようにしてみたんです。体調がさらに良くなっていって、魔道具を今は使わなくてもいい状態になっています」

「そうだったのか…。もし、アイリスの仮説が正しければ、魔力量の多い人間にとっては簡単に魔力を調整してくれる物になるってことか」

「…はっきりと言えないですけど、多分そうかな、と」


 お父様は腕を組んで考え込んでしまった。でも、何か思うところはあるようだ。


「それじゃ、精霊草の株を鉢植えにして室内で育ててみよう。家族だけでなく使用人にも試してもらおう。一人一鉢。毎日魔力を注ぐ。魔力はたくさん必要とか、少しでいいとか、そういうのも分からないんだろう?」

「はい、私も毎日ちゃんと出来たわけではないので」

「それなら、そういうことも確認しながら試してみるといいね」

「はい」

「それにしても、アイリスが花を育ててたなんてね」

「可愛い花を今つけてますよ」

「明日、明るくなったら見に行くよ」

「ぜひ!」


 そんな感じに、私はお父様との精霊草についての話を終えた。

この後お父様が精霊草で色々試してくれて、精霊草の存在が大きくなっていくのだけど、それはまた別のお話。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ