ファンタジー?
僕が、この魔族が暮らす島国へと生まれ変わり、
一番驚いた事が、この国の技術力の高さと、豊かさだ、
前世で嗜んだファンタジー物の小説の多くは、
その世界観を、中世のヨーロッパ辺りへと設定している物が多かったんだが、
首が座り、パパやママに抱っこされて移動する様になると、
家には、テレビや冷蔵庫、洗濯機の様な魔導具は元より、
属性魔法が込められている魔石を利用したという空調設備が、
一般家庭と思われる、我が家の各部屋へと設置されていたのだ。
パパやママから聞くところによると、
大都市には、電車やバスの様な公共交通設備が整っており、
魔導車というマイカーを持つ家庭も少なく無いとの事であった。
まあ、僕が暮らす街は、だいぶ田舎の方みたいだから、
魔導車なんて持ってるのは街長さんぐらいみたいだけれどもね・・・
「なあテースト、スキルをためすのは良いんだけどさ、
オレのスキルって『タンケンジュツ』と『トウテキ』だろ?
ためすとしたら、パパからもらったナイフで、
木をきってみたり、マトにむかって、なげたりしなきゃならないじゃんか?
ナイフの刃がかけたり、なくなっちゃったりしたらヤだな~」
夢のファンタジー世界に弱冠裏切られ、
少々ガッカリとした過去バナを回想していた僕に、
モーブスが、そう話し掛けて来た。
「ああ、それはそうだよね、
モーブスの『短剣術』と『投擲』を試してみるには、
それが一番分かり易そうだもんね、
それなら、多分だけれども、
僕の『コピー』っていうスキルが役に立つと思うよ」
「テーストのスキルが、やくに立つって?」
「うん、ちょっとモーブスのナイフを貸してみてくれるかな?」
「おう、いいけど、なくすなよな」
モーブスは、自分のポケットから、
鞘に納められたままのナイフを取り出すと、
僕の方へと差し出しながら、そう言った。
「うん、無くなる様な事にはならないと思うから大丈夫だよ、
それじゃ、試してみるから見ててね・・・『コピー!』
ああ、やっぱり僕が思ってた通りのスキルみたいだ。」
「オレのナイフが、ふえた!?」
そう、モーブスのセリフが示す様に、
僕の掌に乗せられていたモーブスのナイフが、
2本に増えたのであった。
「さらに・・・『コピー!』
おお、またまた増えたぞ」
「3ぼんめ!?」
「うん、僕の『コピー』ってスキルは、
魔力を使って物を複製するスキルみたいだね」
「すっげぇスキルだな!テースト、
でも、そんなにソックリだと、
ホンモノのオレのナイフが、
どれだか分からなくなっちゃったんじゃないのか?」
「それについては大丈夫みたいだよ、モーブス、
ほら、ここを見てごらんよ」
僕は、そう言うと、
3本のナイフの、柄の底の部分をモーブスへと向けて見せた。
「それは・・・『C』?」
そう、モーブスが言う様に、
僕がモーブスへと見せたナイフの柄の底には、
3本中の2本の底にアルファベットの『C』の文字が、
焼き印の様に刻まれていたのであった。
多分なんだけれども、COPYの『C』なのではないであろうか・・・?
「うん、この何も書いていないのが、
元々のモーブスのオリジナルのナイフだから、
返しとくね」
僕は、柄の底の部分に何も書かれてナイフを、
モーブスへと返却した。




