36 退職そして新しい仕事
2021年7月30日午後。最寄り駅に神宮寺所長と山野次長が来てくれた。近くの喫茶店に移動して話をする。
「願により職務を免ずる」
神宮寺所長から退職辞令が手渡された。
所長、次長ともに終始申し訳なさそうにしている。そして私の別の職場での活躍を心から願っていると何度も繰り返す・・・。
「ここまで育てていただいたことに感謝します。ありがとうございました。」
別れ際、私は両者に深々と頭を下げた。山野次長の目に光るものがあったのを私は見逃さなかった。
公務災害の申請は見送ることにした。今までの経過を「私傷病」で片付けられるのは非常に不本意ではあったのだが、クリニックが労災指定を受けていなかったり、すでに障害年金を貰っている身で経済的なメリットも少なかったのがその理由である。
ただし・・・山口所長に対する怒りが消えることはなかった。いつか絶対ギャフンと言わせてやるぞ・・・覚えとけ!!
暦は8月に入った。私はNPO法人ふくまるの非常勤スタッフとして新しいスタートを切った。カフェでバリスタの仕事をしながら、利用者の送迎の業務も担うようになった。
一度は離れようと思ったが、やはり私には福祉の仕事が合っているようだ。それも、大阪府で最初に従事した障がい者福祉の現場に戻ってきた。原点回帰である。おそらく・・・天国の西野先生も笑っているだろう。
お給料をもらって働くのは、ほんの一時期の復職期間を除くと、実に3年10ヶ月ぶりになる。主治医の安藤先生やカウンセラーの元木さんからは、絶対に調子に乗ってぶっ飛ばすなとキツく釘を刺された。
ともあれ、異動ガチャで奈落の底に転落したアラフィフ男が第二の人生を歩み始めた。




