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死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。  作者: 鬼獣八紅
第七章 アンデッドと魔法の根幹
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訂正

三人称視点です。


(さて、どう攻めるか)


 現在三者共に互いの様子を伺っており、膠着状態になっていた。

 ライズと召は先ほどのダメージが移る現象のせいで迂闊に攻められない。

 レイヴンの方はなぜか持っていた筈の鴉の手(レイヴンハンド)が消えている為遠距離攻撃の手段を失っていた。


(それとこの服、どう見ても伊吹山で俺が狙撃した魔法少女のだよな)


 忘れる筈がない。この服は、レイヴンが初めて殺した魔法少女が着ていた物と全く同じだった。

 レイヴンからは確認しようがないが、顔や肉体も殺した魔法少女と同じになっている。


(となるとさっきダメージが移ったのはこの魔法少女の魔法か?だとしたら何で俺が使える?そして条件は何だ?)


 ダメージの押し付けに条件がないのならば、伊吹山で狙撃した時にレイブンは死亡している。なのでこの魔法には何かしらの条件があることが分かる。


(条件が分からない以上、この魔法を当てにしないほうがいいな。とにかく今は、攻める!)


 そうしてレイブンはライズに接近するために力いっぱい地面を蹴る。


「うわぁぁ!!」


 そしてそのまま勢いよく空中に投げ出された。

 魔法少女の身体能力は一般人よりかなり高い。そしてレイヴンの身体能力は一般人よりは高いとはいえ魔法少女と比べると低い。この身体能力の差を考慮しないでいつもの感覚で体を動かせば投げ出されるのもうなずける。

 

「ファイアボール!」


 その隙を逃す筈がなく、ライズが容赦無く攻撃してくる。


「くっ!」


 炎が目の前に広がるが、何とか腕でガードすることでダメージを最小限にとどめる。

 しかし、今の攻撃で腕に火傷のダメージを受けた。


「っ!、今のは食らうのかよ!」

「そのよう…、熱!」


 そして地面に着地しレイヴンとライズが対面した瞬間、火傷のダメージがライズへと移った。

 レイヴンの腕の火傷跡も消え、ライズへと移っている。


「…なるほどな、今のでどのような魔法か解析が終わった」

「奇遇だな、俺もだいたいどんな魔法かわかったよ」

「「この魔法は、視界に入れた対象へダメージを移す魔法!!」」


 そう、この魔法はダメージを視界内の相手に移すという、タイマン最強クラスの魔法だ。

 この魔法の元の持ち主である魔法少女は、外傷転移魔法と名付けていた。

 この魔法は、自分の肉体にある外傷並びにダメージを視界に入った対象へ押し付けることができる。

 しかもこの魔法、誰に押し付けるかは任意選択式の上、過去に負った外傷も押し付けれるためかなりデタラメだ。

 無論弱点もある。外傷等は移せても痛みは移せなかったり、何より視界外からの攻撃にめっぽう弱いことだ。レイヴンは視界外から狙撃した上で即死させたことで、この魔法の餌食にならずにすんだのだ。

 

「召、我の側に避難しろ!フレアサークル!」


 魔法の条件がわかった瞬間、ライズは己を中心に炎の壁を展開し視界を遮る。


「ストーンショット!」


 そうして炎の向こう側から燃えにくい岩石を飛ばして攻撃してくる。


「そんなんありかよ!」


 レイヴンは炎の周りを旋回しながら回避する。そして岩石はレイヴンめがけて次々発射されていた。


「ライズめ、絶対熱探知以外も索敵方法あるだろ!こっちは攻撃出来ないからって一方的に攻撃しやがって!」


 炎で視界が遮られてる上、熱探知も炎で機能しない筈なのに正確にレイヴンを狙ってくる。

 索敵方法がわからない上に攻撃方法がない以上、レイヴンは回避に専念するしかない。

 

「クソッ!テレポートが使えたら攻められるってのに、何で使えなくなった!」

 

 こうして逃げている間も発動しようとしているが一向にテレポートする気配がない。


「この魔法は優秀だが、今は俺の能力の方が有効だろ!俺の…、俺…」

 

 ここで思い出してほしいのは、レイヴンが普段使っている空間操作能力は元から持っていた物ではなかったということだ。

 数ヶ月前に肉体を乗っ取ろうとしたどこかの悪の組織のボスを精神世界で撃破し得た物であり、本来の空間操作の持ち主はボスだ。

 この事から、レイヴンの頭に一つの可能性が思い浮かんだ。


「俺の本来の能力、空間操作じゃない?」


 これまではボスの血液が肉体へ入り込んだことが能力を得るきっかけだと考えてきた。

 しかしレイヴンの本来の能力が別だった場合、殺した魔法少女の魔法と肉体を得たこの状況にもある程度説明がつく。


「だとしたら本来の能力は何だ?能力や魔法を奪うにしてはこの二人だけ奪えた理由が分からないし、コピーだとしたら絶対これまでで気付く。それにこの予想だと肉体について説明がつかない。能力や魔法が使えそうで肉体も真似できる能力、使える二人の共通点は死…、あぁ、そうえば一つあったな。何で忘れてたんだろう」


 レイブンが思い出したもの、それは一時期両親に会いたいと調べていたものだ。

 調べていくうちに条件が絶対達成できないとわかって以降忘れていたが、本当にレイブンが思い出したものだとしたら全てに説明がつく。 


「ボスの方は条件を満たしてるし魔法少女の方も心当たりがないわけじゃない。調べてたのは能力というか術だが能力であってもおかしくない上今の自分の状況はその能力で再現可能!恐らく調べたものよりかなり融通が利くから出来るはずだ!」


 そうしてレイブンは己の能力を自分の意志で初めて発動した。




   ◇◇◇




「ライズさん、私も攻めてきていいですか?さすがにライズさん一人にまかせるのは申し訳ないので」


 視点変わってフレアサークル内側、そこでは遠距離攻撃手段を持たない召が暇を持て余していた。


「申し訳なく思っても攻めるな、レイブンの魔法と召の相性が悪すぎる。我に任せておけ」

「…というか外見えてるんですか?」

「外のアンデッドと視界を共有している。問題ない」


 この地下空間にはライズが召喚したアンデッドが大量にいる。そのうち一体を視覚共有用にしても気付かれない。


「召こそ、オウルを殺してよかったのか?協力しても良かったのでは?」

「ライズさんには話したでしょう。もう私は、魔法少女を信用しない」

「そうか」


 ライズは淡々と魔法を放ちレイブンを追い詰めていく。


「ようやく、私のい『ドスッ』っ!」

「召!」

「よかった、成功した!」


 召が何かを言おうとした瞬間、真後ろへテレポートしてきたレイヴンが喉を短刀で切り裂く。


「テレポート!」


 そして召を連れてフレアサークル外へテレポートする。


「クソッ!」


 もうフレアサークルは意味がないと、ライズは魔法を解除する。


「ストーン…」

「おっと何もするなよ。俺はいつでも召を異空間へ飛ばせる、そうなればお前でも連れ戻すのは困難だろ?」

「…!」


 レイヴンは召の首を掴んでライズを脅す。召は何か言おうとしているがヒューヒューと首に空いた穴から音が出るだけだ。

 異空間に飛ばすと言っても、飛ばす先は異空間倉庫だ。中を荒らされる可能性が有るため実際には飛ばさないが、そんなこと知らないライズにはいい脅しとなる。


「レイヴン、お前は空間操作を使えなかったのではないのか?」

「本来の能力が違ったんだよ、正直もっと前に欲しかったがな。というかそういうのは鑑定で分かるだろ、ひょっとして解析鑑定魔法じゃないのか?」

「いいや間違ってない、条件があるだけだ。それよりそちらがそうするならこちらも考えがある」


 そうしてライズは一瞬でオウルの遺体を側に呼び出す。


「な!てめぇ!」

「先に脅してきたのはそちらだろ。レイブンが召を異空間に飛ばした瞬間、我はオウルの遺体を焼く。焼かれたくなければ召を開放しろ」


 ライズは遺体に限り好きなように移動させることができるこのことをレイブンは失念していた。

 レイブンとしてはオウルの遺体の破損は何としてでも阻止したい、そのため選択はすぐに決まった。


「…分かった、召を開放する。その代わり遺体を俺とお前の間に移動させろ。解放はその後だ」

「いいや、先に召を開放しろ。そちらに利がありすぎる」


 ライズはオウルの遺体を燃やすメリットはないが、逆にレイブンは召を異空間に飛ばすことで戦力を減らすという明確なメリットが存在した。そのためライズは先に召を開放するよう要求した。


「っ…、わか《その必要はないよ》!?」

「いったいどこから!?」


 地下空間に声が響く、その声は本来聞こえるはずのないものだった。


魂粘土(ソウルクレイ)!》

「がっ?!」

「っ!…っ!」


 ライズが突然の攻撃により後方へ弾かれる。攻撃はオウルの遺体の少し上から放たれていた。


「ふぅ、あんま時間たってないのに自分の体に懐かしさすら感じるよ」


 オウルの遺体がひとりでに起き上がる。首はいつの間にか繋がっており、始めからそんな外傷などなかったかのようだ。


「環、お前…死んだはずしゃ…」

「心配させてごめん兄さん。さあ、ここから反撃だよ!」


 聖魔連合副連合長、オウルが再び現世へと降り立った。






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