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死にたくないので自分達だけの第三勢力作りました。  作者: 鬼獣八紅
第七章 アンデッドと魔法の根幹
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怒り

三人称視点です。


「ああぁぁ!熱い熱い熱い熱い!」

「アル!ワープゲート、放水!」


 突然燃えだしたアルをワープゲートで撤退させ、異空間倉庫内にあった水で消火する。


「オウル、アルの状態は?」

「…取り敢えず回復(ヒール)掛けた…から命は大丈夫。けど…熱傷のせいで気絶してる上、体の…一部が完全に炭化しちゃってる」

「じゃあこの場での治療は無理だな、地上のセイの元に送るぞ。それと少し下がって気持ち落ち着かせろ」

「…ごめん」


 オウルの回復(ヒール)は肉体を再生させる魔法だ。そのため炭化した細胞では再生させることができない。炭化した箇所を切断すれば治せなくは無いが、アルの今の状態的に切断した瞬間に絶命、なんてことになりかれない。

 その点セイの能力である回復は死んでいなければ五体満足の状態まで回復させることができる。


「おいレイヴン。ライズがさっき使った魔法、火魔法と土魔法だよな?使える魔法は一人一種類じゃなかったのかよ」

「それはこっちが聞きたい、仮に能力だったとしても複数持ちだ。どうなってんだよ本当に」

 

 この世界では魔法は一人一種類というのは常識だ。オウルの様に色々出来たとしても、実態は一種類の魔法の応用か二人以上で別々の魔法を使用しているかのどちらかだ。

 

「召、何であいつらは驚いておる?」

「こちらでは通常魔法は一人一種類だからですよ。ライズさんが魔法を数種類使用したからでしょう」

「確かにそうだったな、まあ教える者がいないのならば当然か」

「そんなことより今が好機ですよっ!」

「っ、時空弾丸ディメンションバレットモードミニガン!」

「ブラッドボム!」


 真っ向から突っ込んでくる召を迎え撃とうとレイヴンと赤川が連射するが全て斬り伏せられる。

 そしてそのまま二人に接近し…。


「え?」

「は?…!、オウル避けろ!」


 脇を素通りして後ろに下がっていたオウルへ一直線に向かっていった。

 普段は大丈夫だろうが今のオウルは仲間が二人立て続けに自分じゃどうしようもない致命傷をおってかなり動揺している。このままでは反応できず直撃を食らってしまう。

 

「え、り、植物弾(リーフショット)!」


 オウルも気づいて反撃しようとするが、魔法の切れが悪く反撃の意味をなしていない。

 ワープゲートでは展開前に躱され、テレポートでレイヴンが向かってもオウルを守りきれない。


転送(テレポート)『ファイヤボール』っ、ワープゲート!赤川牽制!」

「!、ブラッドプレッサー!」

転送弾丸(テレポートバレット)!」

 

 レイヴンが召を止めようとしたがライズに邪魔されたため、赤川がライズを牽制し、レイヴンは改めて引き金を引いた。

 しかしそれでも邪魔された影響か、レイヴンの引き金を引く速度より召がオウルにたどり着く速度の方が僅かに速かった。

 


  ザクッ



「…え」

「取り敢えず、これで相討ちですか…」


 そして、転送弾丸(テレポートバレット)が召の頭を貫いたのと、召がオウルの頭を切り落としたのはほぼ同時だった。

 オウルの胴体から血が噴水の様に吹き出し、頭が地面に落ちる。落ちた頭の瞳には光が消えていた。

 召の方も頭から脳が飛び出しており動かなくなっている。ただの屍に戻ったようだ。


「おい…うそだろ…」


 聖魔連合副連合長の死亡、この現実は怪人たちを多いに動揺させ士気を落とした。

 さらにオウルが死亡したことにより、掛けられていたバフも解ける。


「アンデッドたち、一斉にかかれ!」


 そして、アンデッドの猛攻に押されだした。


「おいレイヴンどうすんだこれ!…レイヴン?」

「…赤川、仲間とオウルの遺体を守れ。お前の能力範囲なら出来るだろ?」

「あ、あぁ。出来るが…」

「なら頼む」

「え、ちょ!せめてオウルの遺体は異空間倉庫に入れろや!」


 赤川のそんな真っ当な意見はレイヴンに聞こえていない。それほどまでにレイヴンは怒りに満ちていた。


「テレポート、時空切削(ディメンションバイト)

「おっと、遠距離じゃなく捨て身できたか」


 ライズに触れようとするが反応が早く躱される。

 そして反撃を食らう前にテレポートで離脱した。


「捨て身?銃使うより素手で触れた方がお前に確実にダメージを与えられるから接近しただけだ。さっきは人数有利だったから後衛に徹してたが、お前らが倒しちまったからな!」


 そうしてテレポートを連続で発動させライズに触れようとする。しかし、ライズはレイブンの攻撃を最低限の動きで回避していく。まるでどこから攻撃が来るのか分かっているかのようだ。


「…おい、なんか魔法使ってんだろ。なんで真後ろからの攻撃にも反応できてる?」

「さすがに気付くか、確かに使っているぞ。熱探知といってな、火魔法の応用だ。使い勝手がよく重宝しているよ」

「けどアルに反応しなかったあたり、射程はあまり長くないだろ」

「その通りだ。それより会話してて良いのか?」

「あ?『ドスッ』っ!」


 突然レイブンの腹から刃物が飛び出した。それに驚きテレポートで距離をとる。しかしその行動はやってはいけなかった。刃物で塞がれていた傷が開き、血液が溢れ出す。


「ち、今ので倒れませんか」

「てめぇ…」


 レイブンの腹を貫いたのは、倒したはずの召だった。

 頭の欠損は修復されており、戦闘開始時の状態まで戻っている。


「ライズが復活させやがったのか」

「正解だ。そもそも召をアンデッドにしたのは我だ、この程度造作もない。それにレイブンの真後ろに遺体を移動してから復活させたから気付かなかったのも無理はない」

「確かにそうだな。…あぁヤバい、頭が回んねぇ」


 レイブンの血液は未だに溢れ出している。まだ死んでないのが奇跡と言えるレベルの大怪我だ。


(正直、これ以上動いたら確実に死ぬ。頭回んねぇし体も動かねぇ…。仲間だけでも地上へ逃がすか…。…死にたくねぇ…、けど助かる方法はな…あぁ、一つ、あったな…。青柳と、戦った時の…)


 伊吹山で戦闘した時、切断した足がなぜか一時的に再生したことがあった。あの時の現象を再現できれば傷を塞ぐことができる。 

 しかしその現象の原理はレイブンも把握しておらず、あの後元花が攫われたりとイベントが立て込んだこともあり調べられていない。

 そもそも、レイブン本人も今この瞬間までこの現象を忘れていた。


(あの時の現象に…賭けるか…。あの時…の…発動…し…ろ…)


 瞬間、願いが届いたのか、レイブンの体が光に包まれた。


「!、突然何だ!」

「急いで止めを!」


 召が止めを刺すために急接近してくる。

 その間にも、レイブンの体は変化していく。

 髪は湖のような水色になり、腰まで届くほどに伸びる。その逆に身長は縮み、目線が地面に近づく。 

 しかしそれ以上に体の変化が凄まじく、体が女性的なものへと変化していく。腕や胴は男性より華奢に、それでいて無駄な筋肉のそぎ落とされた肉体へ変化し、それに伴い腹の傷も消える。胸部には女性特有のふくらみも感じられる。

 服装も変わり、膝ほどの丈のスカートと和服が合わさったような…、それこそ魔法少女のコスチュームのような物に変わった。

 そして、手にはいつの間にか景色を反射する美しい短刀が握られていた。


「いったい何が…それに声も高い?」

「これで止めです!」

「!」


 レイブンの変化が完了した瞬間、召の薙刀が目の前まで迫っていた。


「テレポート!、?!、発動しない!」


 いそいで回避しようとしたが、なぜか能力が発動しなかった。


「食らいなさい!」


 そうして薙刀が無慈悲にもレイブンの胴体を切り裂く。

 今度こそレイブンが逆転できそうな札はないだろうと、レイブン自身含め全員がそう確信した。

 しかし…。


「グハッ!?」


 実際にダメージを受けたのはなんと召だった。

 そして攻撃されたはずのレイブンには傷一つ見当たらない。

 召が驚いている隙にレイヴンは距離を取る。


「貴様、召に何をした!」

「さあな、俺にもわからねぇ。確かなことは、神はまだ俺たちを見捨てていないらしい」


 レイブンは手にしていた短刀を構える。不思議と使い方は理解できた。


「さあ、続きを始めよう」


 戦いは未だ終わらない。

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