仲直り1
皆が寝静まった頃、1人コソコソと動き出す影
その人物は、音を立てないようにオリーの元へ向かう。
「…」
寝ているのを軽く確認し、復活の薬をまんまと盗み出した。
夕食後、オリーが洞窟の奥へ移動したのを見て、つけて行った時に聞こえてきた会話…
復活の薬がまだある!
死んだシルビアを生き返らせた薬、それを聞いた瞬間盗み出す為にすぐに自分の場所へ向かい皆より早く寝た。
僕のお父さんは生き返らせなかったくせに、シルビアは生き返らせた、盗む僕が悪いんじゃない、これは全部オリーが悪い。
盗みを働いた者は、この世界では通常、被害者の判断で裁かれるので、普通に殺されたりもする、だがここに居るのは皆女子供ばかり、お父さんが生き返ればどうとでもなる。
オリーの泣き顔を想像し、笑いを堪えるのが大変だった。
洞窟から出ると、すぐにお父さんの埋まる場所へとかけ出す。
…
やっぱりやったよアイツ…
オリーは起きていた。
格闘技や剣術をやっていると、病気のようなレベルで、人の動く気配を感じると、すぐに起きてしまうのだ。
だが、オリーはわざと寝たままのフリをした。
なぜ?昨日のきゃろとの会話を盗み聞きされているのに気付いていたから。
余程慌てたのだろう、ダグリックは最後まで会話を聞かずに立ち去った。
死んでからの日数を考えると、死体は既にだいぶ腐っている、万一成功して復活するならそれもまぁ良し、ゾンビになったらなったで、それも場所は離れてるし、復活させた奴を襲ってからどこかに行くはずなのでそれも良し、復活の薬が1個無くなるのは痛いが、今後の事を考えるとそろそろダグリックは邪魔だった。
?
なんでそこまで?
えっ?
なんでって?そんなの決まってんじゃん?
害悪行為を平然と行う奴は、後悔しながらより残酷に苦痛を味わいながら、死ねば良い。
今回はシルビアだけだったが、実際ユンシルがいなければ皆が死んでいたかもしれない。
どう考えても俺の人生の邪魔でしかない。
いつか改心するかも?
しないね、法も無いこの世界、咎めるのは被害者とその周囲の者だけ、居ずらくなればそこから逃げれば良い、それだけだ。
そんな世界じゃ、人間の本質は何があっても変わらない。
自分に甘く、都合良く解釈し、のうのうと生きていく。
まぁ、元の世界でも捕まえる側の人間が、法を犯してたし、自分達には甘かったから同じだが、結局最終的に自分には甘いのが人間だ。
当然俺もだよ?筋肉には厳しくするけど、自分には結局甘いし最終的に自分良ければ全て良しだと思ってる。
だからここでダグリックは切り離す。
その為の寝たフリだった。
好奇心もあって後を付けたくなるが、止めておく。
スライムがあれだけ早かったから、ゾンビが早かったりしたら逃げれる気がしない、多分スライムより強いだろうし、今の俺じゃ絶対に勝てない。
諦めて寝て明日に備える。
夜中に起きたからまだ眠い、伸びをして無理矢理身体を覚醒させる。
目を開けると、やはり俺が最後の起床者らしく、皆は活動していた。
寝坊キャラが定着してしまいそうだ…
マレイヤと目があった気がしたが、何故か目をそらされた?
疑問に思いながら挨拶する。
「おはよう」
「…」
聞こえてないわけないのだが返事がない、まるで屍のようだ。
いや無視された…えっ?…俺なんかした?
立ち上がってすぐ後ろからまた挨拶する。
「おはよう」
「…」
「俺なんかした?」
「…」
「なんで無視んの?」
「…した」
「?」
「キスした…」
キス?…
全く身に覚えがない…
夢かな?
「えっ?キスなんてしてないよ?」
「シルビアちゃんにしたじゃない!」
話が聞こえていたのかシルビアが真っ赤になりながらこっちに振り向いた。。
そこで気づく、キスってそれか笑
「口移しの事?」
「…」
「口移しはキスじゃなくて…治療の為だよ?」
「…」
なんだろ…何か俺が悪いの?
この世界だと、キスはしたらやばい事だったりするのかな?
第三者がガチギレするくらいやばい事ってなんだろ…
とりあえず謝ってみる。
「ごめん…」
マレイヤは返事も何も言わずに回復しつつある父の元へ行ってしまった。
キスの事を調べてから、後でまた謝ろうと思い先にシルビアに話しかける。
「おはよう」
「おはよう、オリー君」
やっぱりなんかシルビアの顔が赤い。
風邪かな?と思い念の為鑑定する。
人間:シルビア
年齢:8歳
レベル:1
身長:131.1cm
体重:2?
状態:
微熱
不安
HP:12/15
体力1
MP:20
力:0.3
守備力:0.2
素早さ0.8
父:猟師[死]
母:主婦[32]
所持金.財産価値:140円
貴重品.ボロ布の服:130円、ボロの髪止め10円
スキル:
無
やっぱり熱があるようだが、俺の鑑定だと風邪なのか、ほかの病気なのかが分からない。
体重も一部不明だし…
便利っちゃ便利だけど微妙っちゃ微妙だった。
あの後、晩御飯の前に、ユンシルからちゃんと話を聞いていたらしかったので、ナスモドキはきっとお礼なのだろう…俺にとっては拷問だったのだが、それは言わぬが花、ってやつだ。
「それでキスの事なんだけど…」
ボッ!!
またシルビアが真っ赤になるのだった。




