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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第二章 駆け出し旅人は……
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第三十一話 銀貨

「いらっしゃい……ませ。」



案内に来た人が怪訝そうな目で見てくる。

たぶん、貧乏人が来たのかと思われているのだろうか。

旅人の服は質素なデザインだからな……



「えっと、こちらのお店は先払いとなっておりますが大丈夫でしょうか。」



営業スマイルで係員が言う。



「えっと、だいたいいくらでしょうか。」

「こちら、おひとり様銀貨4枚で、お子様は2枚でございます。」

「わらわは子供じゃないのじゃ!」



シュナが余計なところで口を出す。

少し黙っててくれたら……そのまま押し通せたのに……



「でしたら、お二人で銀貨8枚となります。」



財布から、お金を取るだそうとして一つ肝心な事を思い出す。

僕が持っているお金って……ハルス町しか使えないんだっけ……



「すみません、カルのお金って使えますか?」



そう言って、財布から紙のお金を8枚取り出す。

だいたい相場はこれぐらいだったはず……



「ハルス町のお金ですね。これは使えます。相場が1万カルで銀貨1枚なので……ちょうどお預かりですね。」



無事使えたようでよかった。



「では、お席にご案内します。」



やっと……ご飯が食べれる……

朝から何も食べていないから、漂う匂いにお腹が悲鳴を上げる。

シュナの方からも似たような音が微かに聞こえてくる。



「こちらです。」



いくつかある席の一つに案内される。

他の所を見渡すと、いくつかの空席があるものの、多くの人が見える。

ここは本格的ににぎわい始めるのは夜かと思ったが、昼から繁盛しているということだろうか。



「こちらは食べ放題となっておりますので、ご自由にどうぞ。あちらが飲み物のコーナー、あそこで自由に食事を持ってくることができます。使い終わったお皿などは、机にお置いて下さればこちらから回収に伺います。では、ごゆっくりどうぞ。」



係員が、席を離れ次のお客の対応に向かう。



「これ、好きなように食べてよいのじゃろうか。」

「あぁ、もちろんだ。けど、食べられる分だけ持ってきてね。あと、マナーは守る事。」

「了解じゃ!」



シュナが元気よく立ちあがり、食事のコーナーへ向かっていく。

とりあえず……僕も食べるか。



最初の飲み物のコーナーへ向かう。

えっと……ガンリとオランジのすりおろしジュースに、シュワップか……

ガンリのジュースもいいけれど、シュワシュワしながらもほんのり甘いシュワップの方がいいだろうか。

カーフィーとかもあるけど、それは食後でいいだろう。

ビールは……飲んじゃだめだろう。



とりあえず、コップに大きな瓶からシュワップを注ぐ。

炭酸のはじける音にお腹が反応してしまう。



とりあえず、席に戻りコップを置く。

そして、食事のコーナーへ向かう。



「これは……すごいな……」



数多くの種類に、豊富な量。

銀貨3枚分という大金を払った価値があった気がする。

シュナもマナー良く装ってるようで安心した。



えっと……今週はスープ特集か……

美味しそうなスープがあちこちに置かれている。



「あ、あれは……!」



隅の方に静かに置かれていた鍋に入っていたのは、白くてまろやかな感じのスープ。

クリーム……シチューか……

これまで、おばあちゃんの失敗版しか食べた事がないので興味が出てくる。

とりあえず、底の厚い皿に盛り付ける。

あとは……簡単に肉料理と魚料理を皿に盛り付けてっと……



「これでいいかな。たぶん足りないけど後で取りにくればいいし。」



席に戻り、皿を置く。

飲み物も食べ物も準備できたから……



「いただきます。」



とりあえず、一人で食べ始めておく。

シュナが来るまでは時間がかかりそうだ。



「こ、これは!」



クリームシチューの具の芋を口にほおりこむと同時に、口の中にほんのりと甘く濃くてまろやかな味が広がる。

そのまま口の中でほろほろと崩れていき、さらに味わいが深くなる。

細かくなった芋を喉に通し、胃の中に放りこむ。

クリームシチューって……こんなにおいしかったんだ……

そのまま、シチューの具をほおばっていく。

まろやかな味わいが癖になりそうだ……



具があらかた無くなり、肝心の汁へ向かう。

皿を少しずつ傾け、少量の汁を口の中に流し込む。



「―――!」



口の中で転がすと、具よりさらに濃いまろやかさがあり、それに比例するように甘みも強くなっている。

とろけるような味の暴力が一気に襲いかかってくる。

そのままゆっくりと喉に流し込んでいくと、体がほんのりと暖かくなっていく感じがする。



「う、うまい!」



そのまま皿に残っている汁を一気に流し込む。

後を引く濃い味がたまらない。



「すみません!」



とりあえず、近くにいた料理人らしき人に声をかける。

これは……レシピを聞いておきたい。



「なんでしょうか。」

「このクリームシチューのレシピを聞きたいのですが。」

「えっと……あぁ、それですね。一応、それは秘密となっておりますので店長に直接掛け合った方がよろしいかと思います。」

「あ、そうですか。お手を煩わせてすみません。」

「いえいえ、どうぞごゆっくり。」



無理か……

これを自分で作ってみたかったのに……

次回、未定。

今回のシリアスシーンはまだまだ先です。

今回のテーマは『疑心暗鬼』の予定でしたが、『裏切り』への変更の可能性も……

シンキャラは出るかな……

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