047 爆発と召喚器
────滅茶苦茶お久しぶりです。
本作更新何か月ぶりかっていうね、年単位突入の次元っていうね。
ちょこちょこあげて行けたらって思っているので覚えて頂けてたら覗いて頂けると嬉しい限りですはい。
「────過保護過ぎ」
ダンジョンから強制的に脱出させられた俺は、集まったランクモンキー達に向けてそう言った。
元々、得る程度の怪我をしたらスタンバッているCモンキーに担ぎ出されることは予想していた、求めていないとはいえども安全を考えれば仕方ないとも考えていた、しかしまさかかすり傷で強制退場に至るとは夢にも思わなんだ。
汚したのは頬なのに、俺は今軽いミイラ状態である、包帯のまき方がプロ過ぎるがこの技術絶対的に無駄である。
『いや、でも団長弱いし……』
「あぁん?」
『……そ、そうだ! 俺等市役所で良い事聞いたんだよ!』
「……良い事?」
露骨な話題逸らしにジトっとした目を向けるが、ランクモンキー達は明後日の方向を見て目を合わせようとはせず、代表して喋っているBモンキーだけが唯一此方を泳ぎまくった目で見ている。
『そうそう! 何でも、ダンジョンの門番に申請を出せば『パーティ』っていうのが組めて組んだ奴同士で獲得経験値を共有出来るらしいんだ!』
「ふーん……それで?」
『パーティ、組ム。オレラ、団長ノセル。モンスター、轢ク。経験値、ウハウハ。オーケー?』
「ノーケー」※
※理解はしたが拒否の意。
『何故!? 俺等なら基本モンスターはワンキル! 団長楽してレベルアップ! 何の問題があるというんだ!』
「……それじゃレベルは上がっても実力なんて身に着かないだろ、意味ない」
『いや団長技量とレベルが釣り合って無くてかな~り損してるから。むしろ逆だから』
お前らは俺を過小評価してるのか過大評価してるのかどっちなんだ……。
いや、レベルに攻略速度が比例するっているのは理解してはいる、ランクモンキー達に攻略階層を二日で追い抜かれた時点で嫌という程に。
『大体、下位階層のモンスターじゃ団長完全に作業と化してるだろ? ある程度上まで行っとかないと実戦の緊張感が無くなって油断が生じるから逆に危ないぜ?』
「それは……理解出来る」
ダンジョンで戦うモンスターはレベルは俺より上でも俺に攻撃がかすりもしていない、今日顔を掠ったのが初怪我なんじゃないかという次元だ、野生の動物には到底考えられない事だが動きが全く洗練されておらず、ただシステムになぞって動いているだけに思えてくる程だ。
多分ランクモンキー達であれば倍のレベルのモンスターを相手にしても物ともしないのではないか。
『だろう? な? な? だからさ俺等と狩りに行ってある程度レベルを上げてからでも遅くないんだって、何、一週間もあれば俺等のレベルにすぐ追いつくさ』
聖剣アロンダイトや魔剣ヴァナルガンドのことはランクモンキー達に話してあるから、アロンダイトの経験値二倍を用いて、という話なのだろう。
確かにランクモンキーの鼻と脚があればモンスターを直ぐに見付けられるだろうし、レベルアップの速度は倍加どころの話ではないだろう。
『俺等も、団長がある程度レベルを上げてHPが高くなれば安心できるんだよ!』
『そうしたら団長は一人で狩りが出来るんだぜ?』
『俺は団長石像に専念できるんだぜ?』
『馬鹿! それは極秘ミッションだろ! 俺等を華麗に操る様を表現した大作が圧縮されたらたまったもんじゃないぞ!』
『俺等でも一週間位掛かってもまだ完成してないもんな……』
後に圧縮される石像はさて置き、ランクモンキー達は急に騒がしくなって利点を述べてくる。
俺の反論が無くなってもうひと押しだと考えたのだろう。
実際、ランクモンキー達の言葉は一理あると思うし、俺も無駄に心配させたくてダンジョンに潜っている訳では無い。
目立つ立場になってしまった以上レベリングは必須だろうしな。
「だ が 断 る」
『『『何故に!?』』』
「いや、やっても良いか、とも思ったんだが逆に考えて止めといた」
『いやいやいやいやいや! その理屈は酷過ぎる! 天邪鬼だってもう少し慈悲あるわ!』
その後、ランクモンキー達による必死の懇願により済し崩し的に『しかたないなぁモン太君は』と言わされてしまった俺は執行猶予として残された七日間で取り敢えず自分が進める所までは進んでやろうと意気込みダンジョンへ訪れたのだが門番がおらず諸事情により本日は閉店しましたと書かれた看板が。
店かよ。
というかそんなことがあるのか? しかもさっきまで開いていたというのに……まあしかし開いていないなら仕方がないと街中をぶらぶらしていてこの前の露店を見付けた。
相も変わらず怪しい黒人が薄汚れた商品を並べて『イラサイイラサイ』と客引きしている。
「オー、コノ前ノオ客サンジャナイデスカ」
「よう、何か良いモノあるか?」
「ナイナイ、皆ガラクタヨー」
「だから言うなよ、てか言ってやんなよ……」
アンタの雇い主なんだろ?
確かエジソンだっけ……エジソンって本物なら会ってみたいもんだが……。
「……ハァ」
「オー、ドシター元気ナイカー?」
「まあな……ちょっとダンジョン攻略のことでな」
「ダンジョンカー、ココニアルノハガラクタダカラナー、便利グッツガアレバヨカッタンダケドナー」
「あぁ、そういやこの前のあれはかなり役立ったよ、ありがとな」
「マジカー、キニスンナヨー」
「……あ、そういえばこれって何か分かるか?」
そういえばさっき拾ったトレーディングカードチックなドロップアイテムがあった。
アーリクイカードである、何の役にも立たないなら売ってしまうが、ランクモンキー達のお蔭で金には困っていないから有用なら使おうと思うのだが。
「オー、コレハ『モンスターカード』デスネー」
「いや、それは見りゃ分かる。コレにどんな意味があるか分かるか?」
「ワカルヨー、モンスターヲ召喚デキルヨー」
「は? モンスターを召喚!?」
「コレ使ウヨー『召喚器』ヨー」
真・召喚器EXver.7.94改 ☆5
スキル:収集 召喚 召喚可能モンスター:無し
渡されたのは何か名前が凄くゴチャゴチャした携帯が容易なサイズをした端末。
モロに広げてある商品から差し出されたが取り敢えず受け取り召喚器とやらを見てみる。
「んー……? どう使うんだ?」
「簡単デース、ソノモンスターカードヲスラッシュスレバ登録完了デース」
「スラッシュ……」
デ○モンか、いや、形状は大きく異なっているし召喚されるのも悪魔ヨロシクな感じのデフォルメゼロパーセントのリアルモンスターなのだろうけれど……。
「アッ、スラるナラソレ買ウイイヨー」
「あぁ、売り物だものな、幾らだ?」
「二円」
「安ぅ!? ってこのやり取り前もやったぞ!?」
というか、二円ならもう無料配布しちまえよ……二円貰ってどうするんだ。
辛うじて切手は買えるだろうがネジ一本も買えんぞ。
「値段ノ大半ハオ客サンニ支払ウ賠償ニ消エルヨー」
「は? 賠償?」
「爆発ノ恐レアル思ウヨー」
「……ま、まあ一回目で爆発しなきゃいいか」
所詮は実験だ、今回は治療費とかも値段に含まれているということだから二円以上は払わないことにする。
……でもやっぱ爆発とか勘弁して欲しいわ。
「アッ、実験ハココデヤンナヨー? 一帯吹ッ飛ブカラヨー」
「何それヤバい」
爆発規模がヤバすぎる。
いや、もしシステムに魔法を組み込んでいるのなら可能か、俺は魔方陣一つで国一つ焼野原に出来る魔法を知っていた気がするし。
……ただ、魔法と科学を組み合わせたらしいこれに関しては全く知識が無い……いや、ただの魔方陣の知識も当然の様に存在しないのだが、何というか知っていた気もしない。
兎に角、ここ等一帯を吹き飛ばす訳には行かないというのは当たり前だ、それに一回目で爆発しなけりゃ良いか、なんていう安直な考えも当然のことながら考え直さなきゃならない。
いや、もっといえば購入を考え直さなきゃいけないレベルだ。
だ が 買 う。
逆に気になるし、もしかしたら何とかなるかもしれない。
出かけたばかりで直ぐに帰ってきた俺に慌てふためくランクモンキー達に何事かと思いその群れの中心にあるものへ目を向けてみれば、俺とランクモンキー達を模った今だ完成していないというのに最早異様なまでの完成度を魅せる石像なんていう模られた側からしてみれば悍ましい産物を目にしたものだからついつい自分の部分だけを圧縮してただのビー玉サイズの玉に変えてしまったなんていう些末な事はさて置き、『なんて器用にピンポイントでえげつない事を……』なんて項垂れながらに呟くランクモンキー達を尻目に俺は帰路の途中で買った工具で『真・召喚器EXver.7.94改』の解体を始める。
『うっうっ……う? 団長何ソレ』
「爆発物」
『何それヤバい』
「因みにここら一帯を焦土に変える爆発力があるとか」
『何それヤヴァイ』
と、言いつつも近寄ってくるランクモンキー達の胆力には脱帽する限りだ。
フレームを外すのは案外容易く出来た、分解しようとした瞬間にドカン! なんていう可能性も考えていたが杞憂だったようだ。
『この爆発物って本来は何なんだ?』
「召喚器、とか言ってたな」
『何だそりゃ、人間はよく訳わからん物を造るな』
「ダンジョン探索が楽になるものらしい」
『ほーん』
ランクモンキーは鼻をほじりながら興味なさげに言う。
後ろの奴にド突かれて指が鼻に突き刺さったせいで鼻血が噴き出した時点で犯人を追って全力で走り去って行ったが。
二匹減ってこの場にいるのは十二匹となった。
どの道一か所に固まるには多い。
『あ、これ魔法を転用してるやつか』
『俺等が力に慣れないジャンルのアレか。魔法を使えない俺等には巨大な液晶画面は造れても魔具は造れないんだよな』
「そうなのか? 俺にやった儀式とか『悪魔化』とかは?」
『儀式はそういうのが伝わってるってだけ、魔力の備わらない生物は居ないからそれを流して発動してるるって訳だ。『悪魔化』に関しちゃ俺等っつー種の特製であって魔法じゃない』
「ふーん、全然分からん」
違いが。
俺の脳内認識としては摩訶不思議な現象を引き起こすモノ全てが魔法に思える、例え儀式でもそれによって何か結果を残すのであればそれは魔法では? という認識だ。
『んーと、なんつったらいいのかな、魔法を使える奴は何の媒体も無しに現象を引き起こせて使えない奴は道具を用いて初めて魔法“のようなもの”を使うことが出来るって感じか?』
『それで大体合ってる』
『筈』
『多分』
『オイ』
「まあそういう認識で居れば間違いないって事なんだろ?」
『まあな。……そういや団長は魔法使わんの? 人間だし使えんだろ?』
「え、人間=魔法使えるが共通認識なのか?」
『むしろ、人間は魔法使えなかったら今頃、食物連鎖カーストの一番下にいるけど?』
植物以下かよ……まあ確かにダンジョン内に巣食う魔物は別にして、ランクモンキー達のように脳が発達している種が多く混在するであろうこの場所で人間みたいな軟弱な生き物が武器も無しに生き残れる訳もないか。……でも植物なのか?
俺の知っている常識内ではあくまで人間以外に知的生命体が居ない事前提での人間天下だからな。
「んー……じゃあ俺は魔法が使えるのか」
『あれ、使った事無い系?』
「あったような……あるような……無きしにもあらずのような……」
『記憶にはないが使った事有る気がする的な感じかぁ』
『曖昧な……』
『いや、まあ必要にもならなそうな感じもあったし……』
「…………」
記憶を失う前なら有ったかもしれない。
なんだろう、誰かに習ったことがある気がして、それを思い出せない事がどうしようもなく心を抉る。
この痛みは最近よくあるのだ、明智光秀との戦闘後、魔物と戦っている時に特に。
出来る気がするが、出来ない。
昔は出来た、だが、出来無くされたような。
その『できた』は、『大切』と培った大事な勲章であって、何かであった証を奪われたような……そんな感覚だ。
相手の好意を踏みにじる感覚に近い物があるだろうか。
契りではない、もっとフワフワしていながらに、俺の中では契り以上に価値を見出していた何か。
忘れるなんて有ってはならないと全身が叫ぶのに、思い出せない。
────嗚呼、痛い。
如何なる記憶を失ったとて、この痛みを消すことは叶わなぬだろう。
『……団長?』
「……ん? あぁ、何だ?」
『取り敢えず次進まないか? コレをどうするんだ? 分析?』
「あぁ、店員に爆発の恐れありと言われてその危険を無くしたいから自分で調べようと思って開いたんだよ」
『それ駄目な奴じゃね? 団長も正解知らないじゃん』
『爆発はしないが動かなくもなる展開が透けて見えるけど』
失礼な、俺を誰だと……記憶喪失の無知な若造だった。
けど、何と無く機械弄りは出来る気が……しないわ、壊滅的に出来る気がしないわ。
だが魔法なら……! 無理っすわ、ほぼ記憶にないし。
「じゃ、そのまま行く方向で」
『爆発は?』
「多分する」
『ならやんなよ!』
駄目か、でも二円で買っちまったし……。
『せめて専門家の所でやれ! 今大丈夫でも今後大丈夫じゃないなら団長の安否が不安過ぎる!』
専門家ねぇ……専門家と言われても、そもそも召喚器とやらの存在を俺は今日初めて知った訳で、俺の知ってる人間の中でそう言う事に詳しそうな奴は……残念ながら思い当たらない。
マリーとかなら知ってることは知ってそうだけど、最強さんやエンゼルさんは必要とすらしなそうだ。
うーん……機械に詳しそうな……それも召喚器を作っちまえる程……。
「あ」
『ん? 誰か心当たりが?』
「あぁ、良く考えたらこれしかない」
『ほお』
「爆発が怖いなら、造った本人に話しを聞けばいいだけの事じゃん」




