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Mission-30 『丼とフライと大食い女子?』


「はい、と~ちゃっく! ここが我が学校が誇る学食だよ~」


「でっけ~」


 目の前にある本当にでかい学食を眼にして、俺は思ったことそのまんまの感想を漏らしていた。


 伏見が先頭を歩く形で教室から学食へと向かった俺たち四人・・

 そう四人ということは、渡辺を誘うことには成功したということだ。

 まぁ、正確には「えっ、ええ…? あのっ、わたし?」と困惑する渡辺を「よし、いこいこ。話しは飯でも食べながらしよっ」ってな感じで若干無理やり気味に誘ったわけだけど。


 いまさらながら、別の他のクラスの友達を待ってたってわけじゃないよね…。俺メッチャ余計な悪い事したわけじゃないよな…。

 いやっ、多分それは無いと思うんだよなぁー。なんかそんな感じじゃなかったとしか言えないけど。

 うーん、ちょっと強引過ぎたかなぁー。


 と、まぁそんな風に少し不安になりながらここまで歩いてきたわけだけど、そんな不安ビクビクの状態の俺がそんなシンプルな感想を思わず口にしてしまうほどに学食はでかかったというわけだ。

 

「でも、やっぱかなり人いるな」


「そりゃあ美味しいしね~。あっ、でも人数いるぶん席も大量にあるよ。だから座れないパターンはないから安心して」


「おっ、そりゃよかった。四人だし、俺が先に行って席一個確保しとこうと思ってたんだけど、その心配もいらないなそりゃ」


「うん、席確保係がいらない程に席があるのだよ!」


 そうやけにハイテンションの伏見を先頭に俺たちは学食の中へと入って行く。

 ちなみに、


「へぇー、そうなんだね――」


「うん、実は――」


 と俺と伏見の後ろでは委員長と渡辺が話していた。

 どうやら二人は知り合いのようで、会話も弾むまではいかなくとも途切れなく続いている。

 それが俺の「あれ、もしかして来たくなかったのに無理やり誘っちゃった?」的な不安を少し和らげてくれた。


「おーい、蒼。ここ学食だからこれで食券買うんだよ」


「ん? あー、了解。…って凄い量だな」


「でしょ~。うちの高校の学食は県内でもトップだよ。トップクラスじゃなくてトップね、ここ大事」


 そんなわけで軽く不安が解消された俺にいつのまにやら券売機の前に立っていた伏見がそう丁寧に説明をしてくれる。

 ちなみに券売機が思ったよりもでかい。そして、でかいということはそれだけメニューが豊富ということを表しているわけで券売機のメニューのボタンがすっごいいっぱいある。

 そして、そんな俺の感嘆のリアクションに横では伏見が満足げな顔でニヤニヤしていた。


「すげーメニュー豊富だな。どれがいっかな~」


 そのリアクションそのままの魅力的な食券に俺が悩んでいると、


 ――ピッ。


 と横で同じ券売機の音が鳴り伏見が早くも食券を手にしていた。


「ちなみに私は完全にその日の気分と本能に従って、毎日違うものを食べてるわ。今日は四川風麻婆丼よ」


「ガッツリいくな~。――あっ、これ凄いね。ミックスフライ定食。鶏の唐揚げとメンチカツとアジフライついてる」


「あー、運動部の男子とかよく食べてるイメージあるね。結構なボリュームだよ」


「へぇ~」


 ――ピッ。


 というわけで後ろも詰まってそうだし千円札を入れて購入。

 したのだが…、


「って買うんかい!?」


「うおっ、ビックリしたっ!? なんだよ伏見?」


 そんな俺に本気で驚いた様な伏見のツッコミが横から炸裂する。

 

「いやっ、まさかそんなに迷いなく即買うとは…。さっきも言ったけど結構なボリュームだよ、それ。って、しかも大盛りだし!」


「+100円で大盛りできるんだからそっちのほうがいいだろ? それに今日朝から色々あってお腹減ってるんだよ、大丈夫残したりはしないから」


 なんせ、男の娘になろうとも胃はガッツリ男だからね。

 これくらいペロリなのさ。

 …まぁ、確かに昼から女子が揚げ物の定食大盛り頼むとかレアだなと今さらながら思うけど買っちゃったものはしょうがない。


 そんな俺に「残す残さないの心配をしてるわけじゃないんだけどねぇ~」と伏見が呆れつつも愉快そうに笑う。

 そして、


「なるほどなるほど、蒼は大食漢ってことね」


「…男ではないけどな」


 何気なく言ったこれも相手が先生だったら即アウトなんだよな。

 恐ろしい話だぜ。

 だが当然ながら伏見には相手の嘘を見破る力はないため会話は滞りなく続き、


「ん、確かに。じゃあ大食い? まぁ、いいや。そんで丼とか麺とか定食ごとに並ぶ列は違うからね。定食の配膳は一番端だよ」


「あいよ」


「きっと定食が一番できるの遅いから、私ら先に席座ってることになるだろうから頑張って探してね~」


「おー、りょーかいだ」


 そうして、俺は定食の列に一人並ぶのだった。

 

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