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第11話 夏だ! 水着だ!

いつも通りスルー推奨で。

<第11話>


「ふい~、今日も暑いわねえ~」


 ここは敬と凛の通う小学校の児童会室。

 所詮田舎と都会の中間的な地方の小学校である。エアコンなんてものが完備されているわけもない。


「そうだね~。暑いね~」

「凛、敬。たれてないで仕事して下さい。学期末のイベントのチラシが完成していません」


 キリッとした顔でファッショナブルなメガネを押し上げたのは、児童会書記の弥生(やよい)一葉(かずは)だ。

 凛と敬とは同学年の六年生女子。

 背はとても低く、140cmとちょっとしかない。本人もそれを非常にコンプレックスに思っているようだ。


「うー、かずちゃんは真面目なの~」

「凛が不真面目なだけです。っていうか、かずちゃんは止めて下さいってあれほど・・・」

「可愛いからいいじゃん~」

「嫌味ですか? 嫌味ですよね? とりあえずその身長を10cmほど分けて下さいね」

「カッター構えて近づかないで~!」


 定番のやりとりである。

 他の児童会役員が苦笑している。


「おーう、終わったか~?」


 ドアをがらりと開けて教師が入ってくる。

 児童会を担当している男性教諭で、東郷純一郎という、非常に古風な名前の厳つい男であった。


「まだです。チラシが出来ていません」

「そうか。あと15分で放課だ。とっとと働いて終わらせよう」

「仕方ない、15分だけ本気出しますかあ!」


 机に突っ伏してたれていた凛がガバッと身を起こすと、急に真面目な顔つきになる。

 そこからきっかり15分。

 全ての仕事は予定通りに片付いていた。


「よし。じゃあ、印刷は先生やっとくから。お前らはちゃんと片付けて帰れよ」

「はーい。先生さようならー」

「はいよー。気をつけてなー」


 教師が去り、4年生と5年生の役員が先に帰っていった児童会室で。


「明日は土曜だね」

「そうだねえ」


 最後の片付けをしながら凛が言い、敬が答える。


「休みだし、なんかすごく暑くなるみたいだよね?」

「天気予報ではそう言ってるねえ」

「じゃ、明日10時からプールでデートってことで」


 凛がにっこりと笑って言う。


「プール? いいけど」

「じゃ、迎えに行くから、ちゃんと準備して待っててね?」

「了解~」


 明日はデートと相成ったのである。





 さて翌日。


「よし、忘れ物はなしと」


 気合い入りまくりの凛は、朝から二度目の持ち物チェックであった。


「凛ちゃん、もう少しセクシーな装いでもいいんじゃないかしら?」

「うーん、あんまりあからさまに行くのも悪手な気がするのよ、お母さん」

「それもそうねえ。相思相愛の二人なんだから、そこでアピールする必要もないわよね。変な虫が寄ってきちゃっても困るわけだし・・・」

「そうなのよね。最近、街を歩いていても変なのに声かけられたりしてちょっと困るのよね」


 凛は6年生になってからさらに順調な成長を続けており、とても小学生には見えないのだ。

 敬も順調に成長しているのだが、身長的には大体似た感じになってしまっている。


「まあ、敬といると、何故か大事にはならないからいいんだけどねえ」

「敬君、ああ見えて結構すごいしね」


 何がすごいのか。


「水着は新調したから、そこでしっかりアピールしてくるわ!」

「ええ。頑張んなさい」


 いざ出陣である。


 敬を迎えに行って、二人連れだってバスで市営プールへ。


 凛は淡いブルーのシャツワンピにキュロットスカート、軽く日焼けしたすらりとした生足を惜しげもなくさらし、グラディエーターサンダルで足下をきゅっと引き締める。

 実に可愛らしい。


 対して敬は、白を基調としたグラフィックTシャツとブラックのスリムジーンズ、足下は定番のスニーカーというラフな出で立ちである。


 似合いの二人だ。


「いやあ、予報通り暑いね」

「プール日和ってことでいいんじゃないかしら?」


 二人並んでバスの座席に腰掛ける。

 凛はなるべく距離を近づけようと涙ぐましい努力をしているようだ。


「凛ちゃん、いい匂いだね。シャンプー変えた?」

「わ、わ、分かる!?」


 そういうところに小憎たらしいまでに気付くのが西都敬という男であった。

 まだ子どもだ。


 爆発すれば良いのに。




 そうこうしているうちに市営プールに到着。

 駐車場を見る限りでは結構な混雑のようだ。


「じゃ、入り口のところで合流しましょ」

「オッケー。じゃ、後でね、凛ちゃん」


 二人は更衣室へ消えていった。


「お待たせ~!」


 凛が笑顔で手を振る。

 水着に着替えるのだから、女子が男子より遅いのは当然である。


「新しい水着だね。可愛いよ、凛ちゃん」


 イエローのホルターネックのタンキニだ。

 大きく描かれた花柄が凛のかわいらしさを引き立たせる。


 だいぶメリハリの付き始めたボディが眩しい日差しに照らされて光っている。


「似合ってる?」

「勿論だよ。凛ちゃんは何着ても似合うけどね」


 敬も成長著しい凛の身体にドキドキワクワクなのだが、そこは鋼の精神力で耐えている。

 思春期の男子には色々あるのだ。


「よし、じゃあ、泳ごうか!」

「そうだね~」


 マジ泳ぎするほどの空気読めない子ではない二人は、暑い夏のプールデートを満喫だ。


 そして、それは造波プールで起こった。


「きゃんっ!?」


 何の偶然か、凛のホルターネックの紐が解けてしまったのだ。

 ただし、周囲にはたまたま人がおらず、そのハプニングを楽しんだのは敬だけだった。


 それに、紐が解けたところで全て解けるわけじゃあない。

 いきなり丸見えになるわけではないのである。

 ちょっとドキドキする程度のことだ。


「見た?」

「解けるところは見たよ?」

「それだけだよね?」

「それ以上は無理だったよ。全部脱げるわけじゃないし」


 肩をすくめる敬。


「それでもよ。乙女心は複雑なの」

「うん、何となく言いたいことは伝わったよ」


 小学校最後の夏の一コマである。





 やはり爆発すれば良いと思うのだが。

 


 

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