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【連載版】ピンクブロンドの男爵令嬢は皆に感謝されている  作者: ひよこ1号


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それぞれの幸せ

「それでですね、わたくし先程も申し上げたのですけれど、ユイカさんには感謝しておりますのよ。中々断ち切れなかった悪縁を絶てる機会をくださって、意に染まぬ相手と連れそう境遇から救い出してくださったこと」


そうリューリエが切り出すと、ヘイディが頷いた。


「確かにですねぇ。わたくしもどうやって解消しようか悩んでましたけど、あっさり不貞してくれて助かったんですよね。これでごねられても振り切れるって思ったし、無理しないでいいんだって気づかされましたし」


「分かりますわ。とどめの一撃になりましたものね。契約書を幾ら作ったところで、申し立てる罪が無ければ無駄に終わりましたもの」


ヘイディの言葉に、今度はエステルが同意を返す。

ふう、とマルツェラも溜息を吐いた。


「前々からおかしな言動をしていたが、弱い者に暴力を振るう程の屑だとは思わなかった。この片はきっちりとつけてやるから、安心するといい」


頼もしい言葉に、ユイカはこっくりと頷いた。

ミリアムだけは、申し訳なさそうに、恥ずかしそうに言う。


「わたくしも、オットー様があまり好きではなかったので、ユイカさんに恋してくださって良かったと思うのです。お陰でヘイディちゃんと姉妹にもなれる良き縁も戴けましたし、心から感謝しておりますの。ですから、ユイカさんも幸せに過ごして頂きたいのですけれど……」


意見が出そろったところで、リューリエは各人に視線を向けてから頷いた。


「どうしたら、貴女は幸せになれるのか、教えて頂ければ手を尽くしましてよ」


「あ………私は……」



数か月後、傷の癒えたユイカは元気に店で働いていた。

あの後本当に、リューリエ達が望みを叶えてくれたのだ。

ユイカが望んだのは身の丈にあった幸福。

新しい両親は優しく快活で、娘時代をやり直しているようでユイカは楽しかった。

ルボルとは離縁して、アロッホ男爵家からは除籍して貰い貴族でもなくなり、法的にもきちんと食堂の店主夫婦の養女となったのである。

ユイカにも何かあった時の為にと幾許のお金を、慰謝料として渡された。

この先一生困らないだけのお金だが、お金で人が変わってしまう事もあると知っているので、銀行に預けたまま触れてはいないし、誰にも明かしていない。

ただの食堂の娘として、いずれは平民と結婚して、食堂を引き継ぐ道をユイカは選択したのである。


ルボルはユイカの決定に異を唱えずに受け入れた。

その代わり、身の回りの世話をする使用人を一人付けて貰えたのである。

オトマルやレオナード、オットーに関しては借金はそのまま半額での返済で良いとされた。

滞らなければ特に取り立てる必要もないからである。

彼らにとって罰になればそれで良かったのだ。

もう既に、断種という選択肢を選んでいる。

子を作る事も出来ない人間を夫として迎えたい人がいればそれはそれで。


ただし、害がありそうで、実際に罪を犯しているクロウだけは許されなかった。

ユイカだけでなくマルツェラや他の令嬢に対して恨みを募らせて、いつか復讐を考えないともいえない人物だ。

酒場で出会った女の所に転がり込んでいたクロウは、借金を全額返済するべく一番過酷な鉱山へと送られたのである。

犯罪者として、逃れられぬよう。


レオナードはいずれ父親を廃してフリージアを娶るか、父親に放逐され路頭に迷うかの人生の岐路に悩んでいる。


令嬢達はそれぞれに新しい縁を結んで、皆が幸せに向けて歩み始めていた。

リューリエは忍耐強さと機転、長年の苦労を鑑みて、次期王妃として改めて選定されたのである。

恋する相手がいればそちらと、という話もあったが長年縛られていた為、残念ながらそういう相手はいなかった。

第二王子か王弟を相手にと言われていたが、結局王弟ルヴェイが彼女の夫となる予定だ。

エステルは、長年思い合っていた友人と望み通りの婚姻を勝ち取った。

義母になる予定だった元公爵夫人には居心地の良い住まいを見つけ、時折見舞ってお茶を楽しんでいる。

今は独り立ちした夫人も行儀見習いを教える教師をして暮らすようになっていた。

ヘイディはアベスカ侯爵家の傍流から何人も有望な人間を見つけて育成中である。

その中で優秀な者がいれば、侯爵家を再興するが、そうでなければ王家へと返上して侯爵家の借金の一部を国庫から出させる心算だ。

王家としては余計な出費もなく、侯爵領の運営も無い方が良いとしてヘイディに近隣の領主と結婚してあわせてその領主の爵位を侯爵にする考えも提示している。

どちらにしろヘイディがアベスカ領を運営する事に変わりはない。

マルツェラはレインとの結婚をして、子が出来るまでは王族となるリューリエの護衛騎士を務める事にしている。

クロウとは違って紳士的なレインとの相性は悪くないそうだ。

ミリアムは、ヘイディの兄に溺愛され、毎日幸せに過ごしている。


身の丈にあった幸せが一番です。ちなみに今後ルボルはのんびり細々と屋敷で暮らして、オトマルもオットーも新しい相手と結婚するなり何なりするかもしれない。レオナードは父親と継母のさじ加減次第。

これにて完結です~最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
断罪後の話があるのが面白かったです。再生の話まであるのがいいですねぇ…。ルボルは王子であるより精神的にいいんじゃないのかな。 悪縁を断てた令嬢たちがそれぞれに幸せになれたのもなによりでした。
完結、お疲れ様です。 展開が楽しみで、ブクマして一気に拝読しました はじめの方は所謂テンプレ通りでしたが、ユイカ達のその後がかなり詳しくて、反省する者や生きる気力さえ失いかける者、現実を見て行動する者…
完結お疲れ様でした、ありがとうございます。 毎日楽しみにしていました。 皆が幸せまたは相応な結末で良かったです。 この世代の女性、男性共に結束が固くなりそうですね。 あと、名前を覚えるのが苦手なのです…
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