麗しの姫君
今宵はセレスティア王国のお城で舞踏会が開催されている。
華やかなとタキシードとドレスを着飾った参加者たちが食事と
飲み物を堪能し大いに盛り上がるなか美しい瞳を宿す女性がいた。
「レオンハルト国王陛下、今日は素敵な舞踏会に招いていただきありがとうございます」
ドレスの裾を持ち上げアリシアは丁寧にお辞儀をする。
艶やかな白銀の髪、澄んだ藍色の瞳。
赤いバラが施されたピンクのドレスも
また見る者を魅了させる。
セレスティア王国はこの時期になると毎年舞踏会が開かれ、
サイファ王国の姫である彼女も招かれた。
「今夜は思う存分楽しんでいってくれ、アリシア姫」
「はい。それではお言葉に甘えさせていただきます」
「そうだ。良ければうちの息子と一曲踊ってやってください」
レオンハルトはよく通る声で「シリウス」と名前を呼んだ。
「お呼びでしょうか、父上」
端正な顔立ちに若葉のような明るい黄緑色の髪、金色に輝く瞳。
豪華な王族服とマントを羽織るその姿はまさにセレスティア王国の王子シリウス。
「シリウス、こちらはサイファ王国の姫アリシアだ」
アリシアは一歩前に出てお行儀よく挨拶をした。
「お初にお目にかかりますシリウス王子殿下。私はサイファ王国から来ましたアリシアと申します」
「これはご丁寧な挨拶を。私はセレスティア王国の王子シリウスです」
シリウスも丁寧に自己紹介をする。
「シリウス、せっかくだからアリシア姫と踊って来なさい」
「分かりました。父上」
シリウスは優しくアリシアに手を差し伸べる。
「それでは行きましょうか、アリシア姫」
アリシアはまだ気づいていなかった。
まさか自分がこのあと攫われてしまうなんて思いもよらずに。




