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斡旋

いつも乗り降りする駅で、高校の同級生を待っていた。


「ちょっといいですか?」


当時は宗教団体の勧誘の人や多種のキャッチセールスの人もいて、駅周辺や町にはカモを漁るような人達がわりといた。


突然話しかけて来たおばさんは着物姿で、見合い相手を探していると言った。


「あなた、結婚したくは無い?」

「·····これから進学するので」


春から付属の大学に行くことが決まっている私はそう答えた。


「そう。お見合いに興味は無い?」


なかなかしつこい。


「無いです」


女子高生を見合いの場に引っ張り出そうとする魂胆はなんだろう?


本当に見合いなのか怪しいと思った。

見合いのつもりで行ったら拉致監禁されたとか、誘拐とか売春させられそうになるとかだったりしないのだろうか。


私は色々想像して怖くなった。早く友人が来てくれないかと心の中で祈った。


携帯の無い時代だったから、お巡りさんはどこか、交番の場所を目で探した。



友人がやっと来てくれてそのおばさんから解放されたが、「私、あなたが気に入ったわ」と生暖かい手で名刺を渡された。


「なあに、あの人?」

「お見合いの斡旋みたい」

「ええっ?」


その名刺は家に戻るなりすぐに破いて捨てた。とにかく気持ち悪かったからだ。




それから十年ほど経って、東京行きの新幹線に一人で乗っていると、隣に座った煌びやかなマダムにいきなり声をかけられた。

今度は何やらセミナーへの斡旋のようだ。

ビジネス系だけれどマルチの匂いがしたので気の無いふりでかわした。


パーティーに参加でもするのか、エメラルドの大ぶりのペンダントに指輪、ゴージャス感が半端無い装いが、普通このような人は自由席ではなくグリーン車に行くのではないか?

それか運転手付きの自家用車で移動するものではないかという疑念がすぐに芽生えた。


どうにも胡散臭いなあ。


「あなたなら良いリーダーになると思うわ!」


何を根拠に!?


まだ十五分も話していないのに。


自分のアクセサリーをこれ見よがしにいじりながら言うので、私はそのようなものを欲しがるタイプでは無いし、ゴテゴテアクセサリーは逆におばさん臭くて嫌だ。

そんなもので釣ろうなんて甘いわと冷やかな視線を向けていた。


のらりくらりとかわし、不自然なゴージャスなマダムは新横浜で降りた。

その人も「待ってるわ」と名刺を置いて行った。


自分がゴージャスな生活をするためにカモを見繕っているだけでしょ?


ネットで調べたら、やはりマルチ系のセミナーだった。



見ず知らずの人に上手い話、儲け話をする方がそもそもおかしいのだ。

アタオカなスピリチュアルでも無い限りそんなことは無いし、スピリチュアルな人も自己満足のために斡旋しているに過ぎない。



それからも募金詐欺の人に声をかけられるわ、一人歩きの邪魔をする面々は後を絶たない。


SNSを通じて近寄って来る人も、結局はビジネス絡みの斡旋だ。

隙あらば何かを売り付けようとするものだ。

そういう人にあまり良い人はいない。


公私混同で自己中、ビジネスとプライベートの線引きができない面倒臭い人が多い。


なるべく結びたく無いご縁だ。


生保レディになって友達失くすのと同様に、生活かかっているから必死なのだとしても、友人や仲間を自分のノルマに利用する人は良い人ではない。



手段を選ばない人達はつるむ。


分別の無いシンママ同士、考えの足らない主婦同士でヤバいものに手を染めてゆく犯罪者脳グループができてゆくのだ。

友人や仲間のフリをした敵、テイカー集団が出来上がる。

そんな仲間にカモられているのに気がつかない。


本当に良いものは少ない。良いものであるかのように思い込まされているだけだ。


思考力、判断力が疎かで、一人になれない軸の弱々な人がターゲットになりつつ、そして自分も加害者側になってゆく。



褒められ馴れていない人とか、他人に持ち上げられるといい気分にすぐなってしまう人は、本当に良いカモになるのでしょうね。



「リッチになりたくは無いのですか?」

「ええ、別に」


鳩が豆鉄砲を食らったような顔で、キラキラ女神風ファシリテーター様を唖然とさせてしまったこともある。



私はキラキラ人生なんて求めちゃいないからだ。


リッチにゴージャスなんて、今時古くない?



リッチにゴージャスを極めたい人は勝手にそうすればいいだけなのだけど、でもそれが万人にとってのマストではない。



私は私で満足だ。



リッチでゴージャスこそが幸せという人は、そうならなければ幸せをずっと感じられないのだろうか?


それは随分と不自由なものですね。


リッチだろうがリッチじゃなかろうが、人それぞれの幸せがあると私は思っている。


ねずみ講みたいな、誰かの犠牲の上に成り立つ自分のリッチ&ゴージャスなんて糞みたいなものよ。


選民思想の最たるものだ。


幸せな自分を常にアピールしないといられない、それはもう見栄坊、病的な目立ちたがりでしかない。


本当に幸せな人は、いちいちアピールしないと思うのだ。


それに、周囲からウザがられる人は、大抵幸せではないよね。



「今日は良い話を持って来ました」


頼んでもいないのに、一方的に何かを斡旋しようとする人とは関わらないようになった。


だから揉め事は回避でき、カモられることもなく、悠々自適でいられるのだ。


悠々自適でこそが私の幸せだからだ。



(了)

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