登場人物について
サナ、福留紗凪。
トリップ当初は19歳。五年後24歳。
主人公、黒髪黒目。見た目と言葉は穏やかだが、内心はなかなか口荒い。最初はイイ性格をしているのが見た目に現れていたが、痩せて足萎えになると、薄幸美人さが出て幽玄な色気も出てしまった。
自分の信条が邪魔されなかったら、あんまり物事を気にしないし考えない所がある。だからよく流される。
友人曰く「詐欺師に簡単に引っ掛かるカモネギ女の才覚あり」
恋愛感情や恋愛観は枯れていたりする。なのによく照れる。そして流される。
ジェヒュー・シアボールド
当初は22歳。五年後27歳。
ライトブラウンの髪、褐色の瞳ははっきりとしていて、利発そうな顔をしている。宰相補佐で、よく気のつく人。若手官僚の雰囲気。
下級貴族の出身で、出世欲のある才覚ある青年。政治の場では切れ味鋭いカミソリ男。色々と執念深い。
サナに対して恋慕と執着があり、色々と裏工作やら周旋やらして最終的には手に入れた人。チェスター国を一領地にする政策では、生き生きと活動していたりする。
サルヴァトル・イングラム
当初は24歳。五年後29歳。
赤茶の髪をきっちり撫で付けて、翠の瞳はとても優しげ。細面で、鼻は高め。
新任教師の雰囲気がある。押しに弱いし、人も良い。
フィールドワークを得意とする、若手の歴史学者。属性は完全に柔和なオタクである。
かなりの健脚なので、彼が計画する旅に参加をすると山登りや崖降りを何度もする羽目になる。
サナについては、最初は内心で少し反発していたり。学者が文字の読み書きを教えるとは何事だ。けれども、自分が夢中になっている分野の話を嬉々として聞いてくれるので、一気に好感度が高くなった。口が軽くなって歴史を喋っちゃうね。牢獄からの手紙もとても嬉しかった。
だけども、五歳差の親子は気不味い。気不味いが、親子になったことで気軽にお喋りや外出が出来ると気付いて、それはそれで美味しいと思い直す。感覚としては親子の情というより、同好の士である。
セロン・ウォード
主人公入獄時33歳。看守。
焦げ茶色の髪の毛を短く刈って、鋭い瞳を持っている。
真面目実直。多弁ではないが、喋るときは喋る。そしてちょっと優しい。
妻と娘がいる。サナの有様を見て、自分の娘が何の咎無く幽閉されたら、という想像をしてしまい、チェスター国を裏切ってしまう。
ユーイン・ギスカード
オレンジの髪の毛を伸ばしている。容姿端麗で、瞳の色はグレー。良く鍛えられた体をしている。
三十路半ばで、女好きの女たらし。特に着飾った娘を褒めることは呼吸するのと同じ。騎士の皮を被ったラテン系。
この人が戦の習いで騎士団長になってしまった時は、自他共に似合わない役職に就いてしまったと思った。
サナについては期待していなかったが、会ったら可愛かったのできちんと褒めそやしたし、ちゃっかり役得をするように行動した。
エドガー・ジョーエル・オブ・チェスター
当初は20歳、五年後25歳。
金髪碧眼の麗しの王子。貴族らしい貴族の見た目と性格をしている。つまり、冷淡。
苦労すると冴え冴えとした冷艶の様を見せる。触れれば切れそうな面立ちは現実的でない美しさ。
戦後、グントラムの貴妃を貰い受け、正妃との仲が更に淡々となる。政務もグントラムの圧力と借金があるので更に苦労する。
サナがもし王国に居て、弄んでやれば少しは気が晴れないかなあ、という想像をしてみたり。ちょっと逆恨みが入ってる。
クロード・エリック・オブ・チェスター
エドガーの父なだけあって、端正な顔立ち。
冷淡、ドライな貴族的な性格はエドガーにも遺伝。順調に太っていたのに、グントラムとの戦争での激務とストレスで激痩せする。
帝国の気風が肌に合わないし、アタナージウスも気が合わないし、という事で不仲。敗戦交渉時の暴発は、完全にやけっぱち。
アタナージウス・カルル・フォン・グントラム
40歳。ダークブロンドの髪の毛。戦中に伸ばして、戦が終わるとバッサリ切る願掛けをしている。苦味走った男前な顔立ち、鼻梁が通っており高め、瞳は甘さの無い狼のような琥珀色。体格が良く足が長い。軽く一九〇センチある。
見た目と口調で恐ろしがられるが、意外と気安い。他国からはグントラムの餓狼と呼ばれている。
既婚。正妃を産後の肥立ちの悪さで喪い、そのままで過ごしていた。サナを世話するまで側女も置かず、政務に邁進していた。
サナについては、最初ジェヒューの話から存在を知る。ジェヒューを王国攻略の足掛かりにするため準男爵、宰相補佐に任じる。異世界の話が興味深かったので欲しがる。そして魔力も欲しいと思っていた。そしてサナと話してみたら、気の良いかなり暢気なサナに庇護欲が湧いてしまった。こいつ、放っておいたら簡単に破滅するぞ。だったら見た目も中身も好ましいし、全部欲しがれば良いのだと、さくっと決断。
死因はまさかの風邪を拗らせての肺炎。寒い時期に狩なんてするから。
テオドシウス・アヒム・フォン・グントラム
14歳。難しい年頃に突入しつつある。見た目はアタナージウスの青年期ミニマム版。鋭い目付きをした体格の良い少年。父親より怖くない。ちょっとやんちゃな子。母親に似ているところは瞳の色がグレーなところ。
サナを同い年だと最初勘違いする。意地悪や悪戯を妾になったサナにしてみるが、手応えがなさ過ぎてすぐに止める。姉のような妹のような、そんな関係に感じていたり。皇帝即位後に、前帝の妾を側には置けないので、サナを裕福な修道院に寄附金と共に送ろうとしていた。なのでアタナージウスの遺言が出て来た時には、少し喜んでいたりする。会おうとすれば会える距離と身分になるので、丸くおさまった。
あと、サナの所為で女性の好みが暗い髪色の少女めいた見た目の娘になってしまい、頭を抱えている。
フレーバーテキスト。
詩人ゼカリア〝我々凡夫が下した仕儀、ただ天を仰いで地を這うのみ。未来は神が握り見えぬ〟ゲーテ風の人。
百年前に旅行記を残している。観光はミーハー好き。