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古竜の大地と歌う旅人たち  作者: 白鴻露
9/9

白翼王国の銀の魔女

水鳥のハヴェールドから馬車で6日ほど北上したところに、竜の右大陸ドラーコデクストラ最大の都市・白翼王国ブランカブロコレグランド、通称BBRがある。

空から天の御使いが現れて始祖に建国を勧めたとされるその国の紋章は、白い一対の翼と王冠。

多くの国が精霊術士を中心とした魔道士団を結成している中、世界でも有数の聖術士と結界魔道士を中心とした魔道士団を擁し、大陸中にその名は轟いている。


白翼王国のシンボルともなっている石造りの双塔。そのうちの1つは結界魔道士団の詰め所である。

「結界魔道士団、集合!急げ!」

士団長の声に多くの者がばたばたと駆けていく中、アガサもいた。

紅茶色の髪、木々の幹の色の目に細い銀色のフレームの眼鏡をかけ、痩せた小柄な体をショートマントと、結界魔道士団の深い緑色の団服が包んでいる。

結界魔道士の勤めは街道に張られた結界の維持、管理。白翼王国は十分な数の結界魔道士を擁することもあり、その周囲の結界は他の場所と比べても堅固。

それが破られた。


知らせのあった地点まで出向いた結界魔道士達は、思わず息を呑んだ。

「ひどい、、」

「こんなの普通の魔物にできるの、、?」

動揺を口にする同僚の中、アガサは結界の残滓から未知の気配を感じ取っていた。

「どうだ、アガサ。何か感じたか?」

気がつけば後ろに立っていた団長に問われ、

「はい、魔物とは違うもっと意図的な、嫌な気配です」

「ふむ」

アガサは結界魔道士の中でも優秀で、かつ気配探知に関しては魔道士団一と言ってもいい。だから、その発言には軽視できない重みがあった。

「後でまた話を聞く。結界を急いで張り直すぞ」

後半の台詞は周囲の結界魔道士達に向けたもの。はい!という返事がそこかしこから起こり、破れた結界がまるで布のように繕われていく。

「これで良し、と言いたいところだが、ここ以外も破れが発見された。そちらに移動するぞ」

……本当に何なんだろう、この気配、今まで感じたことがない

アガサは表情を曇らせると、結界を張り直すべく魔力を集中させるのだった。


その日の夜。王国に帰り着いた結界魔道士団は、聖術士だけでなく魔道士団を統べる団長であるテセウスから、ある事実を聞かされる。

それは、世界各地で人間が起こしたとは思えない事件を引き起こしている者たちがいるということ。

結界の破壊、旧い魔導遺跡の起動、滅ぼされた町や村多数など。

今までも魔物に滅ぼされる村や町はあったが、どれも単発的だった。

これほど連続的に発生するのは初めてのことで、しかも現場で目撃されたのは魔物を率いる人のような姿があったと。

いずれも目的は謎ながら、大陸の平和を担うBBRとしては無視できない出来事である。

ただ、迎撃しようにも相手の目的が分からない以上、対応が後手にまわりがち。

そのためか、テセウス団長は端正な顔に苦渋の色を浮かべている。

額に華のタトゥーが入っているため、”華印の”という呼び名で呼ばれることも多い美丈夫であり、その魔力は世界でも有数と目されている人物だ。

長い水色の髪は高く結い上げられ、すらりとした長身に鋭さを感じさせる雰囲気をまとっている。

魔道士団長としては非常に若く、各大陸の有力者が集い、平和を推進するという名目で開かれた会議にBBR王の護衛として参加した時、その年若さを侮った他国の魔道士団長を一撃で黙らせたという逸話も持っている。

「各魔道士団とも、今後警戒を怠るな。いつでも出撃できるよう、準備もしておけ。では解散」

テセウスの言葉が終わり、アガサもざわめく同輩たちと共に兵舎に戻るべく歩き出した。

兵舎の自分の部屋にたどり着くと、思わず大きなため息がでた。

……どうなってしまうのだろう、これから

言い知れぬ不安に包まれ、アガサがぽすっと寝台の上に座った時、壁にかけている鏡がほの青く発光している事に気づいた。

「え、何これは」

初めて見た現象に、アガサは恐れながら鏡に近づいていく。

そこに映し出されたのは、自分に良く似た、しかしもっと年若い子供の姿。

「サラサ、どうして……」

郷里にいるはずのたった一人の妹が、どこか苦しそうに手を伸ばしている。アガサも手を伸ばすが、当然のごとく冷たい鏡の表面に触れただけだった。

「お、ねえちゃ、、ん、たす、、、け、、」

サラサの言葉が切れ切れに伝わってくる。

アガサは眼鏡越しに、サラサの姿をよく見ようと目に魔力を集中させた。

サラサがどこにいるのか探ろうとしたのだが、その周囲は暗く、サラサがどこにいるのかは分からない。ただ、黒い闇のような魔力がどろりと凝っているのが感じられた。

……この気配、まさか

昼間、結界が破れた場所で感じた嫌な気配と同種のもの。

「サラサ、サラサ、どこにいるの」

焦って何度も呼びかけるも妹から返事は無く、ふいに映像は消えてしまった。

冷や汗がアガサの額を伝う。心臓は激しく動悸していた。

「団長に相談しよう」

決めると行動は早かった。アガサは塔に向かって走り出した。


もう少しで塔というところで、アガサは伝令部隊の者から声をかけられた。

「アガサさん、丁度良かった。緊急のフクロウ便があなた宛に来ています」

そこで受け取った手紙は、アガサの家からのもので、サラサが何者かにさらわれた事を知らせていた。

……やはり、そうなのね

嘘であって欲しい、見間違いと思いたかったがそうはいかなかったようだ。知らず握りしめた手紙がくしゃりと折れ曲がる。

団長に相談すべくアガサは塔にある執務室を訪れた。

各地から寄せられる異変の報告に目を通していたらしいテセウスは忙しそうだったが、アガサの顔を見て何かをしながら聞くような事ではないようだと察したらしい。机の向こうで手を止めてじっとこちらを見つめながらアガサの言葉を促した。

アガサの話を聞き終わるまでテセウスは黙っていたが、

「妹が狙われたのはあの力のせいか?」

短く問われ、アガサはできる限り考えないでおこうと思った可能性を直視せざるを得なくなった。

「……そう、、なのかもしれません」

絞り出した声はかすれていた。

「お前の里の、いや血筋の宿命とはいえ難儀なものだな」

その言葉に含まれる優しさに少しだけアガサは自分を取り戻す。

「妹を探したいだろうが、とにかく情報が少なすぎる。俺もいろいろ当たるからまた何か分かり次第お前に伝えよう」

「ありがとうございます」

何とかお辞儀をして執務室を辞したアガサだったが、頭の中は不安や疑問でいっぱいだった。

自室に戻って鏡を見つめてももはや鏡には何も映らず、アガサはまんじりともしないで朝を迎えた。


鉛が詰まったかのように重い頭を抱えながら、それでも勤めは待ってくれない。

青い顔をしているアガサを、テセウスは気の毒そうな眼差しで見やった。

この日も街道の結界修復作業が待っている。結界が破られている場所は徐々にBBRに近づいて来ていた。しかも、今回は被害者まで。

襲われたのは行商人の一行らしかった。らしい、というのは死体の損壊が激しかったためだ。獣に食い荒らされたような様子に、任務で死体を見る事もあるため慣れている団員たちからも目を背ける者がいたほど。

アガサは凄惨な現場に立ち、ひたすら気配に集中する。やはり、昨日感じたのと同じ魔力の気配が感じられた。眼鏡を外してより深く探知したいが、それは禁じられている。

もどかしい思いを抱えたまま、アガサは同輩と結界復旧を始めるのだった。


BBRに帰り着いたのは夕方だった。

兵舎に戻ろうとアガサが双塔の入り口近くを通りかかったところ、何やら騒がしい。

が、アガサはサラサの事で頭がいっぱいで、これ以上の問題を抱え込むキャパシティは無かったのでそのまま通り過ぎようとした。

と、アガサの肩がぴくり、と動く。

……感じたことのない気配、これは何?

きびすを返し入り口の門まで戻ると、自分と大して年も違わなそうな4人組が、門番と押し問答の最中だった。

「だから、ここの偉い人に会わせて欲しいんですが」

「手遅れになる前に」

「ここの結界魔道士団の誰かを呼んで下さいよ」

口々に言い立てるその顔は真剣だが、ちょっと話が見えなくてアガサは門の陰からこっそり観察する。

気配は、一行の中で黒いマントを羽織っている人物から感じられるようだ。きりりと立つその姿から男か女かは判別できない。

視線に気づいたのか、黒マントが

「そこの隠れている奴、出てこいよ。のぞき見すんな」

少し声を荒らげてアガサの方を向いたので、アガサは仕方なく陰から出て一行の前に立った。

「どうしたの?」

まずは門番たちに声をかけると、

「あ、アガサさん。こいつらが団長に会わせろと押しかけて来たんです」

困り果てた様子で言いつのる門番たち。

「何でも結界が破られている原因を知っている、と」

「それは、話を聞いた方がいいような。でも団長はお忙しいからいきなりは無理ね、、。

私が聞いて話を私から団長に報告するという事でどうかしら?」

後半は一行に向けた言葉。一行は顔を見合わせて少しの間何かを話し合っていたが、やがて

「それで構わないわ。話をちゃんと聞いてくれる人がいて良かった」

にこり、と笑んだのは小柄で華やかな感じのする少女。

「下っ端に話して本当に上に伝わるのかよ」

そう言ったのは黒マント。

「シーファーったら、、ごめんなさいね。だいぶここで待たされたから少し気が立っているの」

華やかな少女は慣れた様子で仲間の非をわびる。

「アガサさん、大丈夫なんですか?」

「大丈夫。さぁ、こちらへ」

アガサは先頭に立ち、一行を塔の中に誘うのだった。


結界魔道士団と聖術士団はそれぞれの塔に分かれて待機しているが、塔同士は通路で繋がり、共通の用途で使われる部屋も多々有る。

そのうちの1つの小部屋に一行を案内するアガサ。

部屋に入って扉を閉めると、とたんにシーファーが顔をしかめた。

「封魔結界か」

「申し訳ないけれど、あなたたちが信用できるかどうか分からないから我慢してください。ちなみに、私でないと扉は開きません」

この部屋は入る者の魔法を封じる結界が張られており、こういった話し合いには最適。

「魔法がなくとも4対1ならどうとでもできるが?何なら俺だけでもおまえを締め上げて部屋を開けさせる事もできるぞ?」

挑発的なシーファーの言葉に、眼鏡の奥からじっとシーファーを見つめたアガサは、

「魔道士団の拠点でそんな騒ぎを起こして無事でいられるかどうか位は分かっていますよね?」

「チッ」

冷静な指摘にシーファーはそっぽを向く。

小部屋に用意された椅子に各自が座り、

「それで、、結界を破っている者たちのことを知っているというのは本当ですか?」

早速本題を切り出すアガサ。

「ええ、私たちは楽団兼冒険者でいろいろな場所を旅しているのだけれど、、、」

リーナと名乗った少女が話したのは、依頼をこなす中で人に似た人で無い、混沌を招くハオサという存在が関わってきたこと、その力は多くの魔物を凌ぎ、結界を易々と破壊し、しかも自分たちを封印した人間を憎んでいることなど。

「混沌を招くハオサですか、、、俄には信じがたい話ですがでも、結界が何か分からない者に破られているのは事実です」

アガサは腕を組んで暫し考え込む。

……この話が本当ならば、サラサをさらったのもそいつらなの?

「私たちはそいつらと会ったし戦ってもいる。第一こんな嘘をついても何のメリットもないよ。だから信じて欲しいんだけど、、、」

リーナの後ろに座っていた大柄な少女・キョウキョウが言いつのる。

「話は分かりました。私から団長に報告してみます。今日はいったんお引きとりを」

アガサは立ち上がった。

「あ、私たちは城下町のここの宿屋に逗留しています。何かあればそちらに連絡ください」

リーナがメモを渡してきたので受け取って、アガサは部屋を開く。

すれ違いざま、全く言葉を発しなかった、鋭い氷青の目を持つ少女・リアンが一言。

「気づいているとは思うけれど、余計な事は詮索しない方がいい」

その言葉にアガサは僅かに眉をひそめるが、無言で一行を塔入り口まで見送った。


「それはどこまで信じられる話なんだ」

アガサの報告にテセウスは困惑の表情を見せた。

「荒唐無稽な感じはしますが、嘘をついている感じではありませんでした」

……嘘はついてないけれど、いろいろ秘密はありそうな人たちだった

特に人とは違う気配をまとったあの黒マント。混沌を招くハオサが人でも魔物でも無い存在と仮定したら、まさにそれに当てはまるのはあの者では無いのか。

しかし、結界が破られた現場で感じた気配とあの気配は違う。それはアガサの胸の中に今は納める事にする。

「結界破壊はこの国に近づいている、間もなくそのハオサとやらと戦うことになるだろう。

それにはおまえの力が必要だ。今すぐにでも妹を探しに行きたいだろうが、堪えて欲しい。分かるな?」

「……はい、、」

テセウスの言葉に、様々な感情を飲み込みながら頷くしかないアガサ。

……私は何も、できない、、

団長の前を辞し、アガサは沈鬱な表情で部屋への道をたどっていた。

……どうすれば、いいの

サラサを助けたいのに、自分では動くことができない。その事がアガサを苦しめていた。

団長は精一杯のことをしてくれている。これ以上迷惑はかけられない。

……サラサ、無事でいて


「あの娘、かなりの使い手だったわね」

宿屋の一室で、城から戻った一行がこれからのことについて話し合っていた。

「魔道士でもないのに何でそう言い切れるの?」

「勘だけど、このリーナの勘は外れないの♪あの娘、欲しいわね」

「止めとけ、国付きが冒険者なんざになるはずないだろう」

辛辣な意見はシーファー。リアンも頷く。

「ぶっちゃけ、今日の話だって上に上げたかどうだか」

「それはそうだけどさぁ、まともに話聞いてくれたのあの娘だけなんだし、もうちょっと信じても、、」

「甘いわね」

キョウキョウの意見はリアンの短い言葉に否定され、自分が甘い事は承知しているキョウキョウはうぐ、と言って黙った。

「それよりもハオサの奴らだ。あと何日くらいでここに来るか分かるか?リアン」

「はっきり言えないけど、あの進度だったら1w(7日)はないわね」

「槍も何だかいつもより赤いような気がする、、」

キョウキョウの槍にはめ込まれたハオサを感知できる宝玉が、平時は青いのだが今は確かにうっすらと赤みがかっている。

「ねえ、何であの玉ってハオサの接近が分かるのかしら」

リーナの素朴な疑問に、

「ハオサの存在を知っている人が警戒のために作った、とか?」

キョウキョウが答える。

「もっと作ってくれれば、いろんな所に配って警戒してくれるようにできたのに」

リーナが残念がると、

「この街は警戒してくれるといいけれど。最悪、信じてくれなくて、ハオサが来た時大混乱という事もあり得るわね」

リアンがはぁっとため息をつく。

「で、どうするの?」

「知らん顔して今のうちに避難、という手もあるけれど、ああいう忠告をしておいて自分たちは無関係、というのは流石に少し良心がとがめるわね」

「ただ働きはごめんなんだが」

シーファーの不服そうな声に、

「きっと協力したら国から報酬とか貰える、、かも?」

「かも、かよ」

まだ文句がありそうなシーファーをなだめるリーナ。

リアンは少し遠い目をして小さく呟いた。

「戦いは近い、か」




カンカンカンカン

静かな夜を切り裂く、緊急事態を告げる鐘の音。

あの会見から数日が経っていた。

「来たか」

跳ね起きた4人は既にいつもの装備を身に着けている、

もしもの時を想定して、ここ数日は装備のまま眠りについていたのだ。

宿を出て石畳の道を駆け、王国の外へ続く門に向かう。

門は固く閉ざされ、その外から大勢が叫ぶ声、戦闘の音が聞こえてくる。

「そこを通しやがれ」

「魔道士団が対応中だ。一般冒険者は街から出るなという命令が出ている」

シーファーが噛みつきそうな勢いで門番の顔を睨む。

「敵が中に入ってきてからでは遅いだろうが」

「命令は命令だ」

クソッと毒づくシーファー。

「まぁ信用はされてないと思ったけど、ここで足止めとはね」

リアンがやれやれといった顔で言う。

門は石と鉄でできており、それ以外の場所は壁がぐるりとBBRの周りを囲んでいる。シーファーの攻撃魔法でもぶち破るのはかなり手間だろう。

しかも、魔法国家らしく門には耐魔結界がかけられているようだ。

外の騒ぎはますます大きくなり、魔法のものらしい光が盛んに空を染めている。

どうする、と4人は必死に考える。

門番を排除しても、扉は4人では開けられない。門を越えるにはかなりの高さを飛ばなければならない。唯一可能そうなのはキョウキョウのノークトだが、ノークトには乗れて1人。しかもノークトに命令できるのは召喚主のキョウキョウのみ。

……私だけ外に出ても、、、4人でここを突破するにはどうしたら

キョウキョウも頭をフル回転させていた。

きょろきょろと辺りを見回し、使えそうなものがないか探す。

「壁の上に上るぞ。ここからでは状況が分からん」

シーファーが壁の上に続く階段を上り始めた。他の者も続く。

壁の上の通路に上がると、外の様子が一望できた。

先に上り切ったシーファーが無言で眼下を見つめている。

魔道士団が戦っているのは巨大な黒い塊に見えた。

その魔物に魔道士団は盛んに魔法攻撃を仕掛けているらしく、何度も何度も魔法の光が散っている。

「ハオサだよ、珠が真っ赤だ」

キョウキョウが槍についた宝玉を示す。宝玉は深紅に発光している。

壁の上に上った事で、壁の高さが否応なく感じられた。地面は遥か下だ。ロープを垂らして降りる方法は、訓練を積んだ者でなければ難しいであろう高さ。

「やっぱりノークトで1人ずつ降りるしか、、」

と、真横にいたシーファーが何かを唱えながら壁の外に向かって飛び降りた。

「ちょ」

驚愕する仲間をよそに凄い勢いで地面に迫るシーファー。地面まであと少しというところで魔法を発動させた。

風の渦が局地的に発生し、シーファーの体を受け止める。

……風魔法は得意じゃないんだが、うまくいった

「お前らはノークトで降りろ。俺は先に行く」

「はー、、もぅ勝手なんだから」

安堵と呆れを声に滲ませるリーナ。

「キョウキョウ、お願いできる?」

ノークトは既に呼び出されていたので、残りの者たちは順に壁を下り始めた。

シーファーは戦いの場に向けて走った。戦っている割には場は整然としている。

……これがBBRの魔道士団の力か、お手並み拝見だな

黒い塊の全容が近づいて見えてきた。

それは、巨大な、朽ちた鯨のように見えた。

肉はところどころ無く、白い骨が覗いている。

溶けかけたようなヒレからは鋭い骨がぎざぎざと飛び出しており、それを使って地面をゆっくりと移動している。

辺りには腐臭が漂っているが、それに動じている者は流石にいないように見える。

そして、魔物の上には、背の高い人影が。

ただし、人間でない証拠に頭から羊のような丸まった角が二対あり、顔は目の部分に三日月のような切れ込みが入った白い仮面を被って隠している。

……亜人種か ハオサにも色々いると見える

前に戦ったり話したハオサは外見は人間そっくりだったことを思えば、少し意外な気もした。

人影は仮面と同じ白い長衣をまとっており、何らかの魔法を発動させているらしく、魔道士団の魔法を一定距離で弾いている。

まるで、自分を中心に鯨の魔物と円形の結界で包まれているかのように。

……結界を何とかしないと攻撃が通らないか

シーファーは移動する鯨を追いながら攻撃の機会を伺う。

「シーファー、先に行き過ぎ!」

「で、あれは何?」

そうこうしているうちに仲間達も壁を下り、シーファーに追い付いてきた。

「でかい鯨の死体とハオサだよ、見て分かれ」

「うぅ、この匂いはきつい、、」

キョウキョウが鼻をつまみながら顔をしかめた。

と、攻撃を繰り返していた魔道士団の魔法がぴたりと止んだ。

鯨は構わず城門へゆっくりと向かっている。

「何か仕掛ける気ね」

リアンが言ったとたん、凛とした声が響いた。

「結界魔道士団、撃て!」

と、鯨を取り巻く魔道士団から、やや後方に陣取った一団から光の幕のような物が放たれて鯨とハオサを覆う。

ハオサと鯨の少し上、一見何も無く見える空間が光の幕と干渉し、バチバチバチと光が爆ぜた。

その衝突は暫く続いたが、やがて大きく一度光が弾けて消え去った。

「結界が、破れた」

鯨はいつの間にか止まっている。

ハオサは何か印を結んで魔法を、恐らく再び結界を張ろうとしたが、

「させるかっ、魔道士団一斉攻撃」

再び団長・テセウスの声が響いて外側に配置された聖術士、内側に配置された結界魔道士たちから魔法攻撃の奔流がハオサと鯨に襲い掛かった。

ハオサは印を変え、自らに向かってくる魔法を迎撃し始めた。無防備な鯨には魔法が当たって、鯨は苦痛に身をよじり、大きな鳴き声を上げる。

「よし、効いている」

魔道士団の中心に位置するテセウスは、次の攻撃に備えて魔道士団に指示を与えながら敵の出方を伺う。

鯨が魔法が当たるごとに体を動かすので、その上に立つハオサはついに立っていられなくなり、片膝をついた。

鯨の肉は魔法によって削げ、骨だけの姿になりつつあった。

それでもなお動くのはさすがに不死系の魔物といったところ。

だが、不死系の魔物を連れてきたのは誤りだったかもしれない。ただでさえ不死には強い聖術士のその中でも、BBRの聖術士団は不死系魔物退治のエキスパート。

聖術士団の攻撃が鯨に集中しだした。鯨に花火のように魔法の光が咲く。

そして魔法の当たった部分から鯨の肉体は消滅しだしている。

「すごい、、これがBBR魔道士団の実力」

「さぁて、あれはどう出る」

一方、結界魔道士団による攻撃はハオサを捉えている。

ハオサが結界を展開しようとしても、すぐに結界魔道士団の魔法がそれを打ち消し、ハオサ自身にもダメージを与えていく。

……これは出番無しかな

魔道士団と離れた位置から見守る4人がそんな事をちらと思っていた時、

ざら、、、と鯨が砂のように崩れた。

そこからダンゴムシのような魔物が無数に排出され、聖術士達に襲い掛かった。

ダンゴムシは大きな犬ほどの大きさで、動きは素早く、頑丈な顎で魔法を唱えていた聖術士に噛みつく。

「うわぁぁぁ」

魔法を唱えている術者は物理攻撃に弱い。

相手が不死ということで外側に配置されていた聖術士団だったが、結果、ダンゴムシの攻撃に真っ先にさらされる事になった。

「怯むな、対魔物陣形を取れ」

ダンゴムシにたかられていない者を中心に聖術士の陣形が変わっていく。

結界魔道士達はハオサへの攻撃を一旦止め、聖術士たちを助けようと魔法を使う。

その隙をハオサは見逃さない。印を結び何かの魔法を紡ごうとしている。

「させるかっ、天より至れ雷っ」

シーファーの右手が天を指し、そしてハオサに向いたとたん、ハオサの頭上から一条の雷が落ちる。

雷光に一瞬包まれたハオサだったが、雷はハオサを直撃することなく、僅かに逸れて落ちた。

「くそ、弾かれたか」

それまで魔道士団の方を向いていたハオサの白い仮面が、ゆっくりとシーファーの方を向いた。

「来る」

ハオサが片手を上げたと思った瞬間、シーファーが立っていた地面が丸くえぐれた。

一瞬早く飛びすさっていたシーファーには当たらなかったが、攻撃は続く。

避けた場所の地面が次々弾けるようにえぐれる。

「ノークト、あいつを攻撃!」

キョウキョウがノークトに命じ、ノークトは飛んでハオサの上から噛みつきにかかる。

シーファーに集中していたハオサは思わぬ位置からの攻撃に、ひるんだ。

「光の葬列っ」

十字架型の光が何本も矢のようにハオサに降り注ぐ。リアンの聖魔法だ。

ハオサはシーファーへの攻撃を止め、見えない力で魔法とノークトを弾いた。

弾かれた魔法は消滅し、ノークトは見えない壁にぶつかって下がる。

……光の盾のハオサ版みたいな魔法か

「シーファー、攻撃を合わせて。ノークトも」

「了解」

「分かった」

この世界の結界は、同じような結界をぶつけるか、結界の耐性以上の魔法をぶつければ消える。

「いくよっ」

リアンが杖を振りかぶる。

シーファーは片手を上げ、キョウキョウはノークトの攻撃タイミングを見計らう。

「光の、葬列」

「天より至れ雷!」

「ノークト、いけっ」

リアンの聖魔法とシーファーの精霊魔法、ノークトが空を飛んでそれに続く。

また火花が散るが、今度は魔法は弾かれずに通った。

バリバリバリ

キュイィィィン

雷光と聖魔法の光に包まれるハオサ。声はないが、身にまとったマントが焼け焦げているところを見ると、ノーダメージではない様子。

ノークトは魔法の後に噛みつきに行ったが、ハオサはそれはかわしていた。

「ノークト!」

キョウキョウが叫んだとたん、ノークトはくるりと向きを変え、長い尾でハオサを狙った。

攻撃はハオサの顔面をかすめた。

と、ハオサの白い仮面がぱさり、と落ちた。

そこにあったのは、鼻も口もない中央に輝く赤い一つ目の異形。

人間離れしたその姿に一瞬息を呑むPT。

その一瞬のためらいのような時間に、異形は、何かをマントの中から取り出した。

小さな瓶に丸いものが入っている。

「まさか、それは、、」

結界魔道士団の最前列にいたアガサがそれを見て、いやいやと首を振る。

ハオサは構わず自らの赤い目に指を突き立てて、引きずり出した。

そして、瓶の中の銀色の目を自らの目のあった場所にはめ込んだ。

キィィィィィン

急激にハオサの魔力が高まるのを、魔道士達は共鳴のような音と共に感じた。

銀の目になったハオサは、両手を前に突き出し、何かを押し出す動作をしたかと思うと、ハオサに近い位置にいた聖術士たちが吹っ飛んだ。

そんな中、1人、ハオサの前に立った。アガサである。

「その目は、、、まさか」

アガサの両手がぶるぶると震えている。

「アガサ危ないっ、下がれ!」

テセウスの声もアガサは聞いていない。ただ、埋め込まれた銀の目を見つめている。

ハオサがアガサに向けて片手を振るった。だが、攻撃はアガサを逸れ、周囲の地面をえぐっただけだった。

アガサは結界を自らに展開しながらハオサに近づいていく。

「返しなさい、それはあなたのじゃない」

アガサは低く言い、片手をハオサに伸ばす。ハオサは見えない結界に押されてザザッと下がった。

だが、ハオサも押し負けまいと印を組み、新たに見えない結界を展開。結界同士が干渉し、火花のような光が舞う。

パキ、と小さな音と共に、アガサの眼鏡のつるにヒビが入る。そして眼鏡はそのまま、干渉の余波で地面に落ちて砕けた。

そこにあったのは、一対の銀の目。普段は茶色いアガサの目が色を変えていた。そう、ハオサに埋め込まれた目と同じ色の。

「アガサ止めろ、下がれ」

「下がりません」

テセウスの叫びに小さく、しかししっかりと答えるとアガサは両目に力を込めた。魔力が、自分の隅々に行き渡っていくのを感じる。

アガサは特別な血筋の生まれであり、その血を受け継いだ証は魔力を使うと発現する銀の目。

普段眼鏡をしているのはその力を隠すため。眼鏡は魔術具でアガサの力を封じている。

そして、その目の力は、魔力を見るだけでなく、すさまじい魔力を使用者にもたらす。

……まだだ、まだ足りない

拒絶プロテスティ

増幅アムプリーフィ

増幅アムプリーフィ

結界魔法の反射呪文と増幅呪文を唱えながら、ハオサに近づいていくアガサ。

2つ同時の魔法展開は普通できることではない。魔力コントロールが難しいのと、双方の魔法の性質の違いによって反動が起きたりするからだ。

だが、今のアガサにはさほど難しい事ではなかった。

ハオサも負けじと目に力を込めた。ハオサの結界が複雑な魔力の模様を描いて膨れ上がるのが、アガサには見えた。

「あいつ何か仕掛ける気だ。援護しろ」

シーファーが鋭く叫び、ようやくダンゴムシの群れを掃討したらしい魔道士団を振り返った。

「聖術士団、攻撃を、結界魔道士団、周囲に結界を張れ」

テセウスがアガサの方に急ぎながら指示するのが見え、シーファーはハオサの方に向き直った。

聖術士たちの攻撃魔法が、ハオサの見えない結界にぶち当たって火花が散る。

「足りないか。光の葬列!」

テセウスが片手で素早く印を組み、魔法を発動させて聖術士たちに加勢する。

火花は激しく散っている。だがハオサには届いていない。ハオサの結界はそれだけ強固なのだ。

「竜よ 我らに力与えたまえ」

唐突に辺りに響き渡る澄んだ歌声。リーナが歌が聞こえる範囲の魔法攻撃力を上げる歌を歌い始めたのだ。

歌に力を得て、火花の勢いが増し、攻撃が徐々にハオサに迫り始める。

それと時を同じくして、アガサの3つ目の呪文も完成した。

破砕フラカーソ

増幅に増幅を重ねた魔力をすべてつぎ込んで、アガサが呪文を放つ。

結界に相手を包み込み、結界ごと相手を破壊する、結界魔道士最大の攻撃魔法。

アガサの魔力がハオサの結界を包み込んで、収縮して中のハオサを潰そうとする。ハオサは銀の目の魔力で抗うが、1つの力より2つの力が強いのは道理。

徐々に押されて、ハオサは自らの体を腕で抑え込んで消滅に抗っている。

そこへ、

大聖堂カテドラーロ

リアンの魔法が追加され、ハオサの足元から魔方陣が出現し、聖堂がそこから立ち上がる。

さらに

「黒雷撃!」

シーファーの黒い雷が何度もハオサに降り注ぐ。

降り注いだ後の白い結界の光と聖堂の光。

光が溢れて、全てを包み込んでいく。

「っく、眩しい」

恐らくアガサ以外の全員が目を閉じたであろう光の洪水。

そして、それは唐突に止んだ。

「ハオサは、、?」

キョウキョウが目をしばしばさせながらハオサのいた場所を見ると、ハオサは、半分消えかかっていたがまだ存在していた。

「……あれだけの攻撃で滅び切らないとはね、、」

リアンがハオサの強靭さに感嘆の声を漏らす。

「でも、もう終わりだよ」

ハオサの輪郭がだんだんゆらいでいき、やがて跡形もなく消え去った。

最後は片角と、銀の目がその場に残されていた。

ノークトがとことことそれに近づくと、ぱくり、と片角を飲み込んだ。

「ちょ、ノークト、そんなもん食べちゃだめだってば、あーあ」

キョウキョウが慌てるがノークトはもう用事は済んだというかのように、キョウキョウの影に帰っていった。

アガサは魔法の反動で体中が痛かったが、それでもよろよろと前進して銀の目を拾い上げる。

「サラサ、ごめん、ごめんね」

アガサはただ一つ残された銀の目を手に、泣いていた。

その声だけが沈鬱な空気の中流れていった。



それから、、

後片付けは魔道士団に任せて、4人は一足先にBBRの中に戻っていた。

程なく、後片付けを終えた魔道士団が街に戻り、魔物を倒したということで、市民たちから歓迎の声を浴びているのを4人は宿で聞いていた。

「やっぱりただ働きかよー」

不満を漏らすシーファーに

「大丈夫、すぐにお呼びがかかる」

リアンが素っ気なく答える。

「お呼びって、、、」

とシーファーが何か言いかけたとたん、宿の扉が開いた音と共に、

「先ほどの戦闘に協力した冒険者たち、出てきなさい」

そんな声が階下から聞こえ、ほら、とリアンは目くばせするのだった。


4人が案内されたのは塔の上にあるテセウスの執務室。

「この度はご苦労だった。BBRはお前たちに報いたい。何が望みだ?」

単刀直入に問われ、誰より早く

「ではお金を」

答えるリーナ。

「リーナ、そんなはっきりと、、」

キョウキョウの苦言にも悪びれる事なくリーナは、

「だってお金が一番手っ取り早いでしょ。それに一番役に立つし」

「ま、まぁ」

「宿だって無料じゃないんだしー。あー私も喉が痛くて、、」

「分かった、相応の対価は支払おう、他には?」

苦笑しながらテセウスが問う。

「あの結界魔道士さんスカウトしたいかなって」

「それはダメだ」

「何でですか?」

「彼女の力はBBRに必要なものだ。やすやすと渡す訳にはいかないのを、見て分かっただろう?」

「それは、まぁ」

「だからその件は諦めてもらう。ただし、といっては何だが滞在中は魔道士団の食堂で好きな物を食べるがいい」

「飯で懐柔とは安く見られたものだな」

フン、とシーファーが言う。

「まぁ好きな物っていうくらいだから何食べてもいいんでしょ。分かりました。後で無しって言わないでくださいよ」

「BBRの魔道士団長として保証しよう」

「じゃ、早速行ってみましょ。ほらほら、私お腹空いちゃったのよね」

「はいはい」

リアンがやれやれと後に続こうとした時、テセウスがリアンに

「おまえ、何で全力を出さなかった?」

ぴたりと足を止め、最後尾にいたリアンは振り返らずに

「どういう意味?」

その声は固かった。

「あの聖堂を見れば、おまえがどのくらいの腕前かは分かる。使えるのだろう?聖十字サーンクタトランシーリを」

「……あなたにそれを言う必要性は無い」

速足で去っていくリアンの背中を見ながら、テセウスは小さく呟いた。

「やれやれ、外にあれほどの術者がいるとはな。俺ももっと精進するか」


塔を下りながら、

「ちょ、リーナってばあれで良かったの。もっと色々言った方が良かったんじゃ」

キョウキョウが少し残念そうに聞くと、リーナはチッチッチと指を振り、

「あのねえ、こういう場合、お金くらいで解決する奴らって思われてた方がいいの」

「そ、そういうものなの?」

「だって分不相応な願いを口にしてこいつら面倒くさい、闇に葬ろうってなったら嫌だもの」

「え、えー、そういう事あるのかなぁ?」

「あるんだよ、こういうでかい国はな」

シーファーが色々思い出したかのように言うので、キョウキョウも不承不承納得した。


その後、予想より多めの報奨金を貰い、美味しい食事も毎食無料で食べられ、それなりに満足していた一行ではあったが、何となく居心地の悪さ、のようなものも感じていた。

それはあの後、銀の目がアガサの妹・サラサの物らしい、と聞かされた後味の悪さもあった。

アガサはあの事件以来、食堂でも全く見かけなかった。噂では寝込んでいるらしいと聞いた。

あんな無茶苦茶な魔法の使い方をしたらそうだろうな、とシーファーやリアンは納得していたが、魔力の使い方が違うキョウキョウにはピンと来ない様子だった。

そんなこんなで、あの事件から1w後、PTはBBRを出ていくことを決めた。


気持ちの良い朝。出発にはいい朝と見えた。

食堂で好きな物をたらふく食べた一行は、それぞれ馬車に乗り込んだり御者台に座ったりして門をくぐった。

開いている門を誰も咎める者なく出たところで、細い影が、一行の前に走り出た。

「あのっ、私を、連れて行ってはくれませんか」

そこまで一気にいってからぜえぜえと息を吐くアガサ。その姿は以前見たときより痩せており、よく似合っていた緑の団服は今日は着ていない。

「連れていきたいのはやまやまなんだけど、団長さんに断られちゃったのよねー」

リーナが残念そうに言うと、

「団長とは話し合って、分かって貰えたと思います。多分」

「多分ってなんだよ。BBRから脱走したとかで追いかけられるのはごめんだぞ」

と、シーファー。

「まぁ、うち訳アリばっかだからねー」

その訳アリの1人でもあるリーナが言う。

「でも、決めたんです、私。サラサのもう一つの目を探し出して弔いたいんです。それが、せめてもの、、姉としての想いです」

「そっか、、、」

そう言われると皆、何も言えず、黙り込んだ。

そんな空気を払拭するかのように、リーナが明るく聞く。

「アガサちゃん、何か楽器できるー?」

「えっと、横笛、、なら少し」

「決まりね。ソフィアが行っちゃってから楽器無しの楽団だったもんね。アガサ、よろしくね」

「よろしく、お願いします」

アガサは深々とお辞儀した。

いつも大抵の事に文句を言うシーファーすら、何も言わず一瞥しただけだった。


新たな旅の仲間を加えて、旅はまだ続く。


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