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第122話 贅沢な昼ご飯


「おおっ、こりゃうまそうだな。やっぱし自然の中でバーベキューグリルを使って焼いた肉はそれだけで最高だぜ!」


「雄二の気持ちもわかるよ」


「キュキュ、キュキュウ!」


 ジュウジュウと焼ける骨付きのうまそうな肉。肉の焦げた香りも漂い、目と耳と鼻を使って食べる前から楽しめている。雄二だけでなくハリーもとても興奮しているようだ。


 俺が持っているバーベキューコンロよりも大きいこの本格的なバーベキューコンロには温度計や蓋まで付いている。さすがグランピング施設といったところだろう。独り身では大きいかもしれないけれど、リリスやヴィオラがいることだし、俺もこれくらい大きな物を購入してもよかったかもしれないな。


 そしてその奥には美しい青空の下に雄大な富士山がそびえたっている。山頂付近に残る白い雪とあの高さはうちで見る景色とはひと味違う。


「こいつはうまそうだぜ!」


「……おいしそう」


 ヴィオラとリリスも焼けている肉をじっと眺めている。異世界で食べたドラゴンの肉もすごくおいしかったが、こちらの世界の高級肉もすばらしい。肉の質自体はあちらの方が上かもしれないが、こちらはプロの人たちの管理によって絶妙な熟成時間かつ、肉の中でも高級な部位だけを切り出している。


 あのアースドラゴンの特殊個体の肉をこちらの世界のプロの精肉所とかに持ち込んでみたら、きっともっとおいしくなるのだろうな。……まあ、さすがにドラゴンの肉とは言えないが。


「よし、まずはこっちの甲州牛の骨付きリブロースのステーキからだ。まずは塩コショウのみで食べてみて、そのあとは好みでソースをつけて食べてみてもよさそうだな」


「骨付きなんて随分と贅沢だぜ。おっと、ちゃんと撮っておかないと」


 雄二がスマホのカメラでパシャリと撮る。こういう料理も記憶に残るものだ。


 牛の肩から腰にかけての肉は肩ロース、リブロース、サーロインに分けられる。リブロースは赤身と脂身のバランスがちょうどよく、きめ細やかな肉質と濃厚な旨味が特徴らしい。そして肉というものは骨周りがうまいのである。見かけがいいから骨周りが選ばれているわけではないのだ。


 焼き加減についてはみんなお任せとのことだったのでミディアムレアくらいだ。個人的にはこれくらいの焼き加減が一番肉の味を味わえると思っている。


 焼き上げたステーキを皿に載せ、コンロの横にあるテーブルに運んでみんなで座った。ここにはコテージの中だけでなく、外で食べられるようにテーブルとイスがある。


「まずは乾杯からだ。みんな飲み物は持ったな、それじゃあ乾杯!」


「「「乾杯!」」」


「キュキュ!」


 持っていたコップをぶつけ合う。俺と雄二とヴィオラはビールで、ハリーはコーラ、リリスはリンゴジュースで乾杯だ。


「ぷはあ! やっぱしこのビールってやつは最高だぜ!」


「おっ、ヴィオラさんもいけるくちなのか。確かに乾杯の時にビールは外せないよな」


「おう、このスッキリとしたのどごしはたまんねえ。最初はこれに限るよな」


 早くもヴィオラは雄二と意気投合している。まあ、雄二は誰とでもすぐに仲良くなるからな。……それにしても、ヴィオラもだいぶこちらの世界の酒に染まったものだ。まあ、ビールの最初の一口のうまさは二人に同意するが。


「さて、ステーキのお味はどうかなっと……うん、こいつはうまい!」


「っ! 柔らかくてすごくジューシー!」


「キュウ~♪」


 甲州牛のステーキの脂が舌の上でとろけていき、甘みと旨みが口いっぱいに広がる。噛むたびに柔らかい肉の繊維がほどけ、ジューシーな肉汁が溢れていく。さすがブランド牛だけあって見事な味だ。シンプルな塩コショウの味が肉の味を最大限に引き出している。


「こいつはいけるな。こっちのガーリックソースもうめえし、そっちの醤油ソースもうめえぞ!」


「本当だ。それにステーキの焼き加減も絶妙だぞ。料理は健太に任せて正解だったな」


「最近はずっと自分で料理をしているからな」


 みんなのご飯を作り続けたことで俺の料理の腕も少しずつ上がっているらしい。特にステーキは何枚焼いたかわからないくらいなので、焼き加減はばっちりである。


「おっと、こっちの方もいい感じだ。信玄どりの方は味がつけ込まれているからそのままいけるよ。こっちのアヒージョはこうやってパンにオイルをたっぷりつけて食べるとおいしいよ」


 ステーキを食べながら焼いていた料理も続々と出来上がってきたようだ。


 信玄どりのほうは醤油と味噌の2種類の味が付いているので、焼いてそのまま食べることができる。アヒージョはエビや貝の海鮮アヒージョのようだ。フランスパンもたくさん用意されている。


「くう~こっちもいけるぜ!」


「ああ、どちらもワインに合うなあ。ヴィオラさん、こっちのハイボールは俺のおすすめの銘柄なんだ」


「おっ、ありがたくいただくぜ」


 料理を食べつついつも以上に酒が進んでいるヴィオラ。雄二も酒が好きだからだいぶ話がはずんでいるようだ。酒飲みはうまい飯を食べて酒を飲むとすぐに仲良くなれるのである。


 すばらしい景色とうまい酒に最高の料理。たまにはグランピングというのもいいものである。

 

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