表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「槿(むくげ)と桜」【前編】  作者: 船木千滉
20/41

第7話 ソウルプラザ(その2)

一日遅れで、第7話ソウルプラザ(その2)です。

少しペースダウンです。よろしくお願いします。

 支配人に呼ばれて中へ入ってきた二人は、個室クラブの従業員だった。支配人が話を聞いたところ、この夜9時過ぎ、矢部が酔って一人でクラブへ入ったことが発端らしい。


 あいにく店に日本語の出来る者がおらず、矢部がアガシを連呼するので、席に女性をつけた。それで矢部は機嫌を直して酒を飲んだ。


 やがて閉店となり請求書を渡すと突然矢部が怒り出したと言う。

 額面は30万ウォン、日本円で約9万円になる飲み代だった。


 怒鳴る矢部を従業員が取り囲むと、

「金はない。欲しいなら、ホテルへ取りに来い――」

 と言って、店を出てきたらしい。


 話を聞いていた支配人は二人に尋ねた。


「彼は警察を呼べと言っている。確かに彼は日本人だが、30万ウォンは高過ぎる。君ら警察を呼んだら、彼から金が取れるのか?」


 横でそっぽを向いている矢部は、まさか彼が店の肩を持つとは思っていない。ホテルはどんなことがあっても客の味方で、悪いのは法外な金を要求する店の方だと信じている。


 だが支配人の話に、二人は折れて値下げを承諾すると、支配人は彼らに言ったのだった。


「店の名を言いなさい。私の顔を立ててくれるなら、また他のお客さんを紹介しよう。ホテルとクラブは敵ではない。私が約束する。だから安くしなさい。損はないだろう」


 その言葉に、上役風の男がまるで親に阿るように、喜んで半額にすると言ったのだった。


 ある意味、矢部の目論見は当った。

 ホテルへ店の者を連れてきて、請求が半額になった。


 だがその訳を知らない。

 彼は支配人に値下げのことを聞いて、また男らに喰って掛かった。


 すると顔色を変えた支配人が声を荒げた。


「分かりました。この二人は請求を半分にしました。でもお客さんが不服なら、彼らに私の顔が立ちません。警察を呼びます。あとはご自分で交渉をなさってください」


 そう言って、大きな額に端正な顔を顰める支配人に、矢部は言葉を失ったのだった。


(つづく)

余談ながら「アガシ」と言うのは、日本語で「お嬢さん」である。

もう少し年輩の女性なら「アズマ」となり、その境はファジー!

食堂で何か注文する時「アガシー」と呼ぶ声は、底抜けに明るい。

まあ日本で言う「ねえちゃん!」よりも、いかにも耳障りが良い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ