夢見る過保護ちゃん さん
ラストです。
あまりにも仕事のできなさっぷりに、お姉さまのひとりが事細かに聞き取り調査をした結果、小針さんはうちに来る前にバイトをしていたことが判明した。
いや、バイトくらい誰だってねぇ? と周りは笑ったが、内容を聞いたら誰も笑わなかった。
初めてのバイトはコンビニで。なにも覚えることができずに3日でクビになったらしい。ああ、まぁ、ねぇ?
次はファミレス。3ヶ月いたらしいけど、ひとりでオーダーが取れなかったらしい。マジか。
「なんか? あのオーダーとる端末? が使えなくてー」
いや、3ヶ月もやったら嫌でも覚えるだろと。
まぁ、そんな感じで最後は尋問みたいになったけど、なんとか聞き取りは終わったらしい。
平穏な日々が戻るかと思われた日。帰りの駐車場で、私の車優先レーン走行中、彼女の車が一時停止無視で突っ込んで来た。
もちろん急ブレーキかけたよ。ありえないと文句言うために車降りたら、その間にあらゆる一時停止場所無視で逃げられたわ。マジか。
目撃していた他の社員と唖然としたわ、なんなのあれ。しかも次の日になっても謝罪なし。総務に報告したわ速攻。
「車にのせて説明したのに!?」
え、教習所並の説明でも理解不能ってアホなの?
数々の伝説を作りすぎた彼女が、管理課所属の検査に引き取られることになったのは、ようやくのことだった。
社員の総意としての苦情と嘆願と苦情と恐喝が実を結んだ結果だけどね。なんか新しいプロジェクトにそのまま放り込むつもりだったみたい。
そのプロジェクトに巻き込まれてなし崩しに異動を余儀なくされたお姉さまが、彼女には(どうがんばっても)無理だよ? と上に伝えた所、腰掛けの仕事以外も教え始めたとか。
もうそこしか居場所はないから、上司を胃痛にさせても泣かせてもがんばってもらうしかない。
そんな小針さん、彼氏作って寿退社のためにマッチングアプリに手をだしたのだとか。
学習能力皆無な彼女に、幸せはやって来るのだろうか。謎。
また面白い話を聞いたら書くかもですが、一応完結にしときます。