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新たな力

『行くぞ』


 そう言った後リムは部屋のドアを器用に開け玄関に向かう。


「ちょ、待って!」


 リルを追いかけてハヤトも玄関に向かう。遅れてロイドも付いてくる。

 玄関にはリルの姿が無く扉は開いて既に開いており隙間から少しの雪と冷気が入ってくる。


『さっさと来い』

「今行くから!」


 リルに急かされ靴を履き、ローブを纏いドアノブに手をかけるとき呼び止められた。


「ハヤトさん、気を付けて」


 心配しそうな顔で言うロイド。


「心配しないで。直ぐ戻ってくるからさ」


 右腕を伸ばしロイドの頭を撫でるハヤト。


「行ってくるよ」

「はい、いってらっしゃい」


 外に出るとリルは扉の前で待っていた。


「お待たせ」

『遅いぞ!』

「ごめんって。寒い……それでどこ行くんだ?」


 余りの寒さにハヤトは息を手に吹きかけ温めながらリルに目的を尋ねる。


『門の外だ』

「え……これから外出るの?」

『行くぞ』

「了解……」


 さっさと終わらせて温かい部屋に戻りたいとハヤトは思うのだった。


 視界が悪い中リルに誘導してもらいながら門にたどり着いた二人は見知った人物を見つける。


「アーケンさん、お勤めご苦労様です」

「ハヤトさん!こんな天気なのにどうしたんですか?」


 こんな天気に普通は家から出ることはない。それなのにハヤトが門まで来ていることにアーケンは驚く。


「ちょっと外に……」

「これから外に行くと!」


 目的を話すと更に驚くアーケン。至近距離で大声で驚いたためハヤトは両耳を手で塞ぐ。


「アーケンさん、うるさいです」

「わふ」

「おっと悪かった」


 少し距離を取りアーケンに外出が出来るのか尋ねるハヤト。


「外出れます?」

「構わないが……危険だぞ?」

「すぐ戻ります。それにリルもいるんで大丈夫です」

「わふ!」


 尻尾振りながら元気よく返事するリル。


「わかった」

「ありがとうございます」

「わふ!」


 アーケンは門についてる扉を開けくれた。外の景色も変わらず白一色で先まで見えない。

 扉が閉まるとリルは元の姿に戻り、ハヤトを背に乗せて村から三時間程離れたところに一瞬で移動した。


『ここでいいだろ』


 そう言いリルはしゃがみハヤトは降りる。


『我の武器を出してみろ』


 リルに言われ昨日やった通りにに氷獄の手甲を装備する。


『問題ないな。なら三位一体やるぞ。やり方は分かるな?』

「大丈夫。やるのは初めてだけど行けると思う」


 三位一体。

 契約者・神獣・武器が同化、一体になり神に近い存在になり神獣の力を全て行使することができる。


「行くよ」

『いつでもいいぞ』


 目を瞑り集中し始めるハヤト。そして目を開け言葉を紡ぐ。


「氷獄の銀狼よ、我と一つとなりて具現せよ。フィンブルリル!」


 リルは光の粒子に変わり両手の手甲に吸い込まれる。するとハヤトの容姿も変化した。黒よりの茶髪だったハヤトの髪がリルの毛色と同じく銀色に。瞳も黒から黄金に輝く金色に変わる。


「すごい……力が溢れてくる!それに姿も変わった!」


 薄い氷を作り即興の鏡を作り姿を確認する。


『我の力を使えてるな?』

「うん」

『なら、とっととこの邪魔な雪を消すぞ』


 リルに言われハヤトは両手を地面に置き空まで届く氷の柱を作る。


「ここまででいいかな……次はっと」


 今度は両手を空に向ける。すると空一面を覆ていた雲がハヤトの両手に螺旋を描きながら集まってくる。

 

『うぬ。初めてにしては上出来だ』

「どうも」


 初めてリルに褒められてハヤトは照れる。

 雲は次第に減っていき、やがて雲一つもない快晴な空になった。そんな景色を氷の柱の頂上から眺めるハヤト。手には雲を集め凝縮した結晶が握られている。


「ふぅー疲れた。それにしても凄い力だな」

『そうだろ!我は最強だからな!』


 リルを褒めると自慢げに念話で語る。


「よし、戻るか」


 景色を十分に満喫したハヤトは空中にある水分を凍らせて足場を作り下り始めた。


「この柱、邪魔だよな……壊すか」


 柱に手を添える。すると柱の頂上から細かい雪に変え柱を消す。


「よし、これでいいかな。リル解除するぞ」

『うぬ』


 ハヤトは三位一体を解除したことでリルも元の姿に戻る。


『では村に戻るぞ……ってお主』  


 リルは顔をハヤトに近づかせ驚く。 


「え?なんだよ?」

『お主の目と髪の色が変わってるぞ?』

「え!」


 ハヤトは【無限収納】から手鏡を出して確認する。この手鏡は転生前にクレアから貰ったものだ。

 

「そ、そんな……」


 手鏡で容姿を確認したハヤトは驚く。前髪右側頭部の髪が少し銀色に、片目が金色のオッドアイに様変わりした。


「これ、どうすんだよ!」

『我に言われても困るぞ。そんな副作用があるなんて知らなかったぞ』

「え、そうなの?じゃリルが武器を授けた人はならなかったの?」

『奴は元から銀色の髪に金色の瞳をしていたからな』


 リルの答えを聞いてハヤトは深い溜息を吐く。


「……はぁ……これ直ると思う?」

『分からぬ』

「そうか……直るといいな……」


 落ち込んでるハヤトに珍しくリルがフォローを入れる。


『きっと直るぞ。心配するな。それに似合っているぞ。我とお揃いではないか!なにか不満でもあるのか?』


 そんなリルをみてハヤトは笑う。


「ふふ……ありがとうリル。そうだね、リルとお揃いか……なんかいいな」

『ふん』


 リルはそっぽを向くが尻尾は激しく振っている。


「村に帰ろうリル」

『おう』


 リルにまた背に乗せてもらい村に帰還するハヤトであった。


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