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一安心

 翌朝、ハヤトは目を覚ますと隣に寝ているリルを微笑みながら優しく頭を撫でた。

 しばらく撫でている目をぱちぱちさせてリルも目を覚ます。


「おはよう」

『うぬ……ふぁー……』


 時計見ると針は五時を指している。


「まだ、五時か……朝食まで時間あるから寝てていいよ」

『わかったのだ』


 リルは再び眠りに就いた。


「おやすみ。よし、顔を洗いに行くか」


 ベットから身体を起こし廊下に向かう手前にある窓で外の様子を見る。外は白一色になり先が見ない程になっていた。


「酷くなっているな……はぁ……」


 こんな天気で冒険者ギルドに向かわないといけないと思いハヤトは憂鬱な気分になった。


 洗面所に着いたハヤトはさっそく顔を洗う。タオルを取るため手を伸ばすがなかなか取れない。


「ハヤトさん。はい、タオル」


 後ろから声を掛けられて濡れてる顔を拭かずに振り向くハヤト。


「ハヤトさん、顔濡れてますよ」

「お、すまん」


 指摘されて思い出したかように拭き始めた。


「ロイド……もう、起きて平気なのか?」

「はい。特に問題ないかと。ご心配お掛けしました」


 ロイドは一回転して平気ですよアピールをする。


「よかった……アンネさんにはもう会ったのか?」

「これからです。洗面所に行くハヤトさんを見かけたので先に声を掛けました」

「そうか」


 ロイドも顔を洗い一緒に朝食の準備をしているアンネの所に向かう。


「アンネさん。おはようございます」

「あら、ハヤトさん。おはようございます」

「母さん……おはよう」


 ロイドは気恥ずかしく朝の挨拶をする。そんな様子をみてアンネは駆け寄った。


「気が付いたのね、よかった……痛いところない?」

「また心配かけちゃってごめんなさい。どこも痛くないよ」


 ロイドから腹の音が鳴る。倒れてからロイドは何も食べてない。鳴っても仕方いのだ。


「ふふふ、今ロイドの分も用意するわ」


 アンネはロイドが気が付いたことで安心しルンルン気分で鼻歌まじりで用意し始めた。

 

「あ、ハヤトさん。リルを呼んで来てください」

「はい」

「ハヤトさん、リルって?」

「あ……リルは……」


 どう説明しようか考えているハヤトに朝食を運んできたアンネが言う。


「説明は後にしましょ。ご飯が冷めちゃうわ」


 そう言われハヤトは自室に戻りリルを連れてくる。


「わふ!」

「わー!可愛いです!」


 リルのもふもふとしてる毛並みに幼い子狼の容姿をみてロイドは虜になる。


「触ってもいいですか?」

「触るのは後にしなさい。さぁ食べましょう」

「はーい」


 三人と一匹で朝食をとり始める。

 リルは昨晩と同じくハヤトの膝に上に座り、ハヤトは食べながらリルに食べさせる。そんな様子を羨ましいそうに見るロイドと楽しそうに食べてるアンネ。なんともほのぼのした空間だ。


 食事が終わり色々と説明をする為にハヤト、リル、ロイドはハヤトの部屋に移動する。アンネは食器を片付けてから来ることになった。

 部屋に着いたハヤトとロイドは部屋にあった椅子に座る。リルはベットの上で丸くなる。


「じゃあ最初にロイドに質問な」

「はい」

「俺とロイド、ミンシアさんと一緒に氷柱猪を討伐したのは覚えてる?」

「うん、覚えてます」

「その後は?」


 そう言われロイドは記憶を遡る。


「大きい狼を……見た気がします。その後【鑑定】を使って狼をみて……それから……気が付いたらベットの上で……あれ?」

「わかった」


 ハヤトが説明しようとするときち食器を片付け終わちらせたアンネが部屋に入ってくる。ロイドの隣にある空いている椅子に座った。


「あの日何があったか教えるね」

「うん」


 ハヤトはあの日の出来事を事細か伝えた。


「そんなことがあったんですね……ごめんなさい!」


 勢いよく椅子から立ち上がり謝るロイド。


「ロイドが悪いんじゃないわ。ハヤトさんもミンシアさんも。たまたま偶然が重なっただけよ」


 ロイドとハヤトをみてアンネが言う。 


「それにロイドも気が付いてもう平気ですし、この件はおしまい。まだ自分のせいだと言うならご飯抜きよ」


 微笑みながら人差し指をびしっとし言うアンネにハヤトとロイドはお互いに見る。


「アンネさんに敵わないな」

「そうですね」


 ハヤトとロイドは笑いあった。


「じゃ次はリルことね。ハヤトさんお願いします」


 アンネが催促する。


「リルは、ロイドが出会った神獣だよ」

「え!あの時のなんですか!」

「今は俺と契約してこの姿になってるんだ」


 ロイドはベット上で丸くなっているリルに近寄る。リルはちらりと見た後興味をなくしたのか目を閉じた。


「ハヤトさん、挨拶してもいいですか?」

「おう」


 身体をリルに向けてロイドは挨拶を始めた。


「えっと、俺の名前はロイドです。勝手に鑑定してしまってごめんなさい。それと助けてくれてありがとうございました」

『うぬ』

「わあ、喋った!すごい。俺もリルって呼んでいいですか?」


 面倒くさくなったリルは尻尾を動かし返事する。だけどロイドはどっちか分からず困惑してハヤトを見る。


「良いって」

「やった!よろしくお願いします、リル!」


 またリルは尻尾で返事をする。

 一段落して時計を見ると十時になっていた。外はまだ雪が降り続けている。


「行きたくないな……」


 ハヤトはそっと愚痴を溢す。


「どこか行くんですか?」


 ロイドに聞こえてたらしく尋ねられる。


「冒険者ギルドにね」

「この中行くのはやめておいた方がいいですよ?」

「そうだよね……」


 ロイドに言われ行く気が失せるハヤト。


『この雪を止ませればいいのか?』


 念話で話しかけるリル。


「そんなことができるか?」

『可能だ』


 リルは口角を上げてにやと笑った。


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