表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/56

第三十八話 謀略、知略、時々政略?

呉の都、建業の市のど真ん中で、一刀は明命と剣を交えていた。

自身の身の丈ほどもある長刀を、信じられないほど巧みに操る明命…一瞬でも気を緩めれば、一刀の体は真っ二つになるだろう。


【蓮華】

「ちょ、ちょっと明命!もう止めて!こんな所で…」


市の人たちは大混乱だ。何しろ、明命の刀は先にも言ったように長刀だ。振り回せば周囲への被害は避けられない…。

逃げ惑う民たち…母親とはぐれ、泣きじゃくる子供の姿もあった。


【子供A】

「うわぁんっ!お母さぁんっ!」


それまで、明命の攻撃を躱しながら後退していた一刀だが、背後にその子の姿を見つけると、その場に踏み止まって明命の攻撃を受け止めた。


ガキィンッ


【一刀】

「くぅっ!重てぇな…」


顔をしかめる一刀…だが、次の瞬間、彼は右手の掌底で明命の顎を捉えていた。


【明命】

「っ!」


その速さに反応できず、明命は仰向けにその場に倒れ、動かなくなった。気絶したらしい。


【一刀】

「ふぅ。」


【蓮華】

「北郷!」


すぐに、蓮華が駆け寄って来る。


【一刀】

「気を失ってるだけだよ。すぐに目を覚ますとおm…」


【蓮華】

「貴方こそ、ケガは無いの?」


【一刀】

「え?あぁ、大丈夫。」


【蓮華】

「良かった。でも、どうして突然、明命がこんな事を…」


彼女が知る限り、明命は街中で刀を振り回すような将ではない。ましてや、民の安全も顧みずにだ。


【一刀】

「その辺りの事についても話があって来たんだけど…まずは話より愛紗をすぐに引き取りたい。君なら話が通じると思って声をかけたんだ。事情は、後で話すから…」


【蓮華】

「関羽を?ごめんなさい…関羽はもう、ここにはいないわ。昨日、魏の死神が突然現れて…関羽を連れて行ってしまったの。」


【一刀】

「蒼馬さんが?」


それを聞いた一刀は、急に脱力したようにその場に蹲った。


【蓮華】

「ほ、北郷?」


【一刀】

「なんだ…愛紗、無事なのか…良かったぁ~。」


【蓮華】

「え?え、え?」


一刀の反応が予想外だったのか、蓮華は言葉にならない声を発しながら戸惑うばかりだ。


【一刀】

「いや、だったら話は早い…孫権、呂蒙将軍について、最近おかしな事はないか?」


【蓮華】

「亞莎?いえ、特に思い当たる節は無いわ…強いてあげれば、独断で関羽を捕らえに行った事かしら。」


【一刀】

「だが、愛紗は手薄になった魏の許昌を攻める為に、寡兵で出ていた。見つからないよう、細心の注意を払ってだ。そんな愛紗の軍を、どうやって呂蒙将軍は見つける事が出来たのか?」


【蓮華】

「…何が言いたいの?」


【一刀】

「俺の命を狙って、暗躍してるヤツらがいる。そいつ等に、呂蒙将軍は洗脳されている…そして、昨日までウチの桃香も同じような状況にあった。」


一刀の話に、蓮華は驚きと戸惑いの入り混じった表情をした。そんな彼女に構わず、一刀は話を続ける。


【一刀】

「桃香によって、蜀の将兵の多くも洗脳された。恐らく、その彼女もそうなんだろう。」


【蓮華】

「そんな…明命まで…」


【一刀】

「このまま蜀のように、呉の内部にも洗脳が広がっちまうとマズい。呂蒙将軍を、一刻も早く正気に戻す必要がある。」


【蓮華】

「でも…どうしたら?」


【一刀】

「明確な方法は分からない…」


桃香の場合、一刀への思いと愛紗への嫉妬、桜香に対する母性愛がない交ぜになった人格が生まれていたが、亞莎の場合はどうなっているのかまだ分からない。


【一刀】

「…直に会って、話をして、必要なら戦うしかない…機会さえあれば、向こうから飛び掛かってくるはずだ。孫権、彼女を借りていいか?」


一刀は明命を指して訊ねる。


【蓮華】

「明命を?」


【一刀】

「それと、言伝を…」




【雪蓮】

「ふぅ~ん。北郷が生きてたとわね~。」


【冥琳】

「それで、蓮華様…明命を連れ去った北郷は、関羽を引き渡せと?」


城に戻った蓮華は、姉である雪蓮とその軍師である冥琳に事の次第を話した。


【蓮華】

「えぇ…それも、関羽を捕らえ、その部隊を壊滅させた将…つまり、亞莎に連れて来させろ。さもないと、明命の命はない…と。」


【雪蓮】

「そう言われても、関羽は蒼馬に渡しちゃったし…事情を話して諦めてもらう?」


【蓮華】

「砦の兵を皆殺しにされてあの怒り狂い様だった北郷が、『はい、そうですか。』と諦めるとは思えませんが…」


【冥琳】

「そうだな…魏の勢いを考えると、蜀を丸め込んで同盟を組んだ方が呉としてはいい。」


【雪蓮】

「あ、じゃあ蒼馬が攫って行った事にして、北郷の怒りを魏に向けさせるのはどう?」


雪蓮は名案を思い付いた、みたいな顔で得意げに言っているが、冥琳は渋い顔だ。あの砦での一件は、彼女にとってかつてないトラウマとなっていた。


【蓮華】

「姉様!もっと真面目に考えて下さい!すでに北郷は、明命が手も足も出ないほど強くなっています!そんな嘘で誤魔化そうとして、また余計な怒りを買えば…魏の死神に次ぐ脅威となり得ます!事情に関しては、偽りなく話すしかないとして…最悪の事態に備え、こちらも準備していかないと…」


【雪蓮】

「その時は、また私が出るわ。そんなに強くなってるなら、むしろ楽しみね。」


【冥琳】

「はぁ~…兵を集めよう…」


頭を押さえる冥琳だが、その後すぐに部隊の編成に取り掛かった。当然、出陣する将の中には、亞莎の名前も含まれていた。

蓮華は部屋に戻り、ひとまずほっと胸を撫で下ろしていた。


【蓮華】

「何とか姉様にもバレずに、事を運べたみたい…」


勘の鋭い雪蓮に、作戦が見抜かれないかヒヤヒヤしていた蓮華…


【蓮華】

「でも、大丈夫なのかしら…自分から、兵を出させろなんて…」


そう、一刀は彼女に、兵を出してくるようにと作戦を指示していたのだ。自分が不利にしかならない事を、何故あえて指示したのだろうか?


【蓮華】

『一体、何を考えてるの?北郷…』




その頃、一刀に連れ去られた明命は…縄でぐるぐる巻きにされて、木に逆さ吊りにされていた。


【明命】

「ちょっと!何なんですか!?これは…そこの貴方!今すぐ下ろしなさい!むしろ下ろして!下ろしてください!」


力一杯に暴れる明命だが、前後左右に揺れるだけで何も起きなかった。


【一刀】

「しばらくの間、そこで大人しくしててくれ。君は大事な人質だからね。」


【明命】

「こんな事をして、タダでは済みませんよ!うぅっ!」


一刀の背中を睨みつける明命…しかし、一刀が振り返ると、その表情は一変した。


【一刀】

「安心してくれ。呉の人たちが到着したらすぐn…」


【明命】

「お猫様!」


一刀が何処からか連れて来ていた猫を見ると、明命は自身の状況などすっかり破顔した。


【一刀】

「…孫権の情報通りだな…」


一刀はボソッと呟いた…どうやら明命を大人しくさせる為の、蓮華の入れ知恵らしい。


【明命】

「あぁ、もふもふ…モフモフさせて下さい…」


【一刀】

「もふもふ?」


一刀は恐る恐る、抱き抱えていた猫を明命の顔に近づけた…猫は喉を鳴らして、明命の頬に頬擦りした。


【明命】

「あぁぁ、もふもふ~♪」


幸せそうな明命…そんな人質らしからぬ明命を見て、一刀は一度猫を下ろすと、明命を木に吊り下げていた縄を切った。


【明命】

「わひゃっ!」


頭から真っ逆さまに落ちそうになる明命…その体をキャッチし、ぐるぐる巻きのままの彼女を地面に下ろす一刀。

猫が再び、明命のもとに寄ってきた。


【一刀】

「とりあえず、そこで一人でモフモフしててくれ。」


【明命】

「もふもふモフモフ……」


【一刀】

「……さて、そろそろかな?どのくらいの兵で来るか…呂蒙将軍がどう仕掛けてくるか…」


それからしばらくして、建業の都から出てくる呉の兵たちが見えた。その数、およそ千人…


【一刀】

「わぉっ!一騎当千と評価していただけたようで…」


一刀はそれを見ると、怖気づくどころか何故か嬉しそうに微笑んだ。


【一刀】

「あれだけの大勢で来れば、呂蒙将軍も仕掛けてきやすいだろう。後は…そこでどうするかだ。ま、それはその時に考えよう。」


いい加減、この行き当たりばったりな性格は直らないものだろうか?

一刀は明命をその場に残し、自らも呉の部隊に向かい歩き始めた。と言っても、向こうの方が何倍も移動が速いので、大した時間短縮にはならなかったが…。


【雪蓮】

「……」


【一刀】

「……」


そしてついに、一刀と雪蓮がお互いの顔が見えるほどの距離まで来たところで、双方対峙した。


【雪蓮】

「…蓮華の言う通り…随分と強くなったみたいじゃない?」


【一刀】

「そうか?彼女が何と言ったか知らないが、後ろの兵の数はどうも過大評価に思えるな。」


【雪蓮】

「…関羽は返せないわよ?」


【一刀】

「そうみたいだな。後ろの兵を見る限り、たぶんそういう事だろうとは思ったさ。」


【雪蓮】

「明命は?」


【一刀】

「あの木の下で、猫と戯れている。猫が逃げてなければだが…」


【雪蓮】

「…そう…なら、始めましょうか?」


【一刀】

「何を?」


【雪蓮】

「…剣を抜きなさい。」


雪蓮は南海覇王を抜き、一歩前に出た。そして、二歩、三歩と…一刀に歩み寄る。あと数歩で、彼女の一足一刀の間合いに入る。

一刀も剣を抜いた…そして、一歩踏み出す…。


【雪蓮】

「っ!」


息を吐き、雪蓮は一気に間合いを詰めてきた…が、次の瞬間、彼女は横に転んでいた。


ガキンッ


【雪蓮】

「!?」


振り向くと、一刀の背中があった。

そして、一刀の振り抜いた星の太刀が、何かを弾き飛ばしていた…それは、先端に刃のついた鎖だった。


【一刀】

「…主君を巻き添えにしてもお構いなしか…」


その鎖を操っていたのは…


【雪蓮】

「亞莎?」


【亞莎】

「……」


瞳に精彩のない、亞莎だった。


【一刀】

「…会いたかったぜ、呂蒙将軍。桃香同様、あんたにも目を覚ましてもらわないとな。」


【亞莎】

「…天の御遣い、北郷…ここで、死ネ!」


今度は幾本もの鎖が、彼女の袖の中から飛び出してきた。それらは一本一本が、まるで意志を持った生き物かのように、別々の動きをしながら一刀めがけ襲いかかる。


【一刀】

「…はっ!」


それを、刀一本で全て弾き返す一刀…。しかし、今度は兵たちが同時に攻めてきた。


【一刀】

「ちょっ!危ないって!」


弾かれた鎖が、兵たちの顔などに当たってしまっているが、兵たちはそれでも構わずに突っ込んでくる。


【一刀】

「怖っ!この人たち怖っ!」


亞莎に操られているのだろうが、ダメージも厭わず突き進んでくる彼らの勢いは、畏怖を覚えるに十分だった。


ひとまず、距離をとるため撤退する一刀…雪蓮も、その後を追った。


【雪蓮】

「ちょっと!どうなってるのよ!?」


兵たちの異様な様子に、雪蓮もさすがに混乱していた…それに、亞莎の先の行動…一刀に突き倒されていなかったら、殺されていたかもしれないという事実が、彼女の判断力を著しく奪っていた。


【一刀】

「彼女は今、正気じゃない。そして兵たちも彼女に操られている。状況説明以上。」


【雪蓮】

「分かり易い説明ありがと。で、どうしたらいいの、これ?」


【一刀】

「周泰の状態から察するに、兵たちは気絶させればいい。後は、呂蒙将軍を正気に戻せばいいんだけど…桃香とは様子が違うしな~。」


【雪蓮】

「亞莎!止めなさい!命令よ!」


しかし、亞莎は攻撃を止めなかった。それどころか、一刀と共に雪蓮まで葬るつもりなのか、雪蓮に構わず攻撃を激しくしてきた。


【一刀】

「おっとっと!危ねっ!うぉっ!」


下手に弾き返すと、兵たちがケガをしてしまうので、迫って来る鎖付きの刃物を躱しながら逃げるしかない一刀と雪蓮…その様子を見ていた明命は…


【明命】

「雪蓮様…このままじゃ、雪蓮様が…何とかして亞莎を止めないと…」


主君の危機に、己を奮い立たせ何とか縄から抜けようと試みる…しかし、肩から足首までほぼ隙間なくぐるぐる巻きにされていては、抜けられるはずもない。


【明命】

「くっ、ダメか…」


その時、彼女の目の前にいた猫が鳴き声を上げた。


【明命】

「お猫様!お願いです、この縄を切ってくれませんか?」


人の言葉が通じるはずもないのだが、それでも彼女の真剣な気持ちは伝わったのか、猫は一鳴きすると彼女の背中に飛び乗った。そして、両手の爪を立てて縄をバリバリ引っ掻き始めた。


【明命】

「ありがとうございます、お猫様♪」


一方、一刀と雪蓮は、徐々に追い詰められていた。


【亞莎】

「いつまでも逃げられるとでも?はぁっ!」


再び、亞莎の操る鎖が伸びてくる…兵たちの間を縫うように、意志を持っているかのように動く鎖…さらには意志も感情も、痛みや恐怖すらなくした兵たちに、手出しのしようがない二人は逃げ惑うしかなかった。


【一刀】

「はぁ…はぁ…くっそ!これじゃじり貧だ…いっそ、一か八か突撃してみるか?」


【雪蓮】

「無理よ…亞莎は兵たちのずっと奥よ?闇雲に突っ込んだって届くはずないじゃない…」


【一刀】

「だよなぁ~。うぉっと!」


その時、一刀の左後ろから鎖が…そのまま立て続けに飛んでくる鎖…


【一刀】

「ちょっ!うわっ!ぎゃああっ!」


間一髪のところで躱していくが…気づくと一刀は、


【一刀】

「あ、あれ?しまった!」


鎖に囲まれ、逃げ道をほぼ失っていた…


【雪蓮】

「北郷!くっ…」


そして雪蓮も、同様に鎖で周囲を囲まれている。二人とも、もう逃げられない…。


【亞莎】

「終わりです、お二人とも…」


【一刀】

「ま、待て!俺を殺すのは目的だから仕方ないとして、孫策は関係ないだろう!それに、仮にも君の主君だぞ!」


【亞莎】

「だから何です?王なんて、代替えすれば済む話です。それに蓮華様の方が、操りやすいですし、好都合です。」


【一刀】

「俺を殺すのだけが目的じゃないんだな?一体、何を…」


【亞莎】

「これから死ぬ貴方には、関係ない事です。では…死ネっ!」


鎖で繋がれた刃が、一直線に一刀めがけ飛んでくる!身動きがほとんど取れない一刀の、心臓めがけて…


【一刀】

「……フッ…感謝するぜ、孫権。」


【亞莎】

「?」


ヒュッ ドンッ


【亞莎】

「がはっ!?」


突然、鳩尾に走った衝撃に、亞莎は体のくの字に曲げて呻いた。

薄れゆく意識の中、彼女が見たのは…刀の柄頭で自身の鳩尾を突いている明命の姿だった。


【亞莎】

「明命…洗脳が……」


亞莎は倒れた…と、同時に、彼女が操っていた鎖も力を失い地面へ…一刀めがけ飛んでいた鎖付きの刃も、彼の足元に落ちて地面に刺さるだけだった。


【一刀】

「意外なところで、役に立ってくれたみたいだ。」


木の側で、明命を縛っていた縄で遊んでいる猫を見て一刀は独りごちた。




その後、亞莎に操られていた兵士たちも全員正気に戻り、数人の兵がケガをしただけで、皆無事に城に戻る事が出来た。一刀も、事情を話し、呉と同盟を結ぶ為に、一緒に城まで来ていた。

そして、玉座の間で、一刀は事の次第を呉の将たちに話して聞かせた。


【雪蓮】

「なるほど…亞莎は、貴方を殺そうとしてる何者かによって、操られていたと…」


【一刀】

「そういう事だ。同じ様に操られていた桃香から、事情を聞いて駆け付けたんだ。愛紗も心配だったし、このまま孫呉が乗っ取られたら、俺たちも困るからな。」


【冥琳】

「我らと同盟を結ぶ為にも、か?」


【一刀】

「ま、そういう事だ。というか、それが最大の目的かな?たぶん、もうすぐ魏が動く…蒼馬さんが来たんだろ?」


【雪蓮】

「えぇ…ごめんなさい。彼には借りがあったから、関羽を渡してしまったわ。」


【一刀】

「むしろ、ありがとう。でなきゃ、俺は呂蒙将軍に殺されるしかなかった…あの人は、たぶん分かっていたんだと思う。俺の命を狙ってる連中の存在に…そして、そいつらより後手に回らないように、魏に戦の準備をさせているはずだ。あの人は強いし、頭もキレるからな。」


【冥琳】

「確かに、あの男の強さは化け物だ。それに、官渡での借りも、まるでこの事態を見越していたかのようだった。」


【一刀】

「というわけで、どうだろう?ウチと手を組まないか?」


一刀は孫策の方に手を差し出して、曇りなく笑って見せた…かつて、砦の兵を殺され、土地を追われた過去など、忘れてしまったかのように。


【雪蓮】

「…フッ。えぇ、いいわよ。呉蜀同盟…ただし、一つだけ条件があるわ。」


【一刀】

「条件?」


【雪蓮】

「北郷…貴方、蓮華と結婚なさい。」


【蓮華】

「……はぁっ!?」


子供のようなニコニコ笑顔でとんでもない事を言い出した雪蓮に、蓮華は思わず大声を上げてしまった。その声は、玉座の間に幾度も反響し、完全に聞こえなくなるまで十秒以上かかったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ