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第三十六話 愛紗の修業(前編)

【鈴々】

「うりゃりゃーっ!」


空気を唸らせ、鈴々の丈八蛇矛が振り下ろされた。しかし、星はそれをひらりと躱し、再び鈴々の間合いから僅かに距離をとった。

一歩じゃ届かない、二歩か三歩で届く距離…その微妙な距離が、鈴々の攻撃を誘発し、彼女を疲弊させた。


【鈴々】

「ちょこまかと…いい加減、当たるのだぁっ!」


再び、丈八蛇矛を振り上げた鈴々…と、不意に彼女の表情が変わった。


【鈴々】

「はれ?」


【星】

「?」


事態が飲み込めずきょとんとした顔は、間違いなく本来の彼女のそれだ。


【鈴々】

「鈴々、何してたのだ?」


【星】

「正気に戻ったのか?…そうか、主が…」


【鈴々】

「なんか分かんないけど、星と戦ってたのか?なら、続きをやるのだ!」


【星】

「え?いや、ちょ、違…鈴々、今はそれどころでは…」


【鈴々】

「うりゃあっ!」


【星】

「話を聞けーっ!」


結局、鈴々が正気に戻っても、ここの状況は何も変わらなかった。むしろ、正気に戻った事で、鈴々の動きは格段に良くなり、かえって星は苦戦を強いられるのだった。


【星】

『主~、助けて下され~。(泣)』


蜀軍随一の豪撃を誇る鈴々の丈八蛇矛を受け止めながら、星は一刀に救援を求める念を送り続けた。




【一刀】

「桃香!おい、起きろ!」


【桜香】

「桃香お姉ちゃん!」


【桃香】

「……ん?」


一刀と桜香の呼びかけに、桃香はやっと目を覚ました。どうやら、意識を失っていたらしい。


【桃香】

「あ、二人とも…おはようございます。」


【一刀】

「おぅ、おはよう。じゃねぇよ!急に意識失くしてぶっ倒れたから何事かと思ったぞ。」


【桜香】

「ふぇぇん!お姉ちゃん!」


桃香が起きて安心したのか、桜香は泣きじゃくって桃香に抱き着いた。


【一刀】

「ほれ、この子もこんなに心配して…」


しかし、泣きじゃくっていたはずの桜香は、桃香の胸に顔を擦り寄せ、もうヘラヘラ笑っていた。その笑顔は、何処かのアニメのおバ可愛幼稚園児に似ている気がした。


【一刀】

『…この子の将来が心配だ。』


男女問わず、こういう子も小さい内はよく居るものだ。気にしなくていい。


【桃香】

「そうだ!のんびりしてる場合じゃないよ、ご主人様!」


【一刀】

「いや、一番のんびりしてるのはお前だ。」


【桃香】

「はぅっ!ぅぅ…そんな事より、愛紗ちゃんが大変だよ!このままだと、処刑されちゃう!」


桃香は、全てを話した。彼女が于吉と企てた計画の全てを…彼女が表に出ている間も、外の情報は共有されていたのだ。


【一刀】

「なるほど…事態はだいたい分かった。要は、呉でも同じような事が起きてるんだな?しかも、俺を抹殺する為に…」


【桃香】

「うん、たぶん…彼女は、そんな事許さないって言ってたけど…」


【一刀】

「そう言えば、アイツは?もう、桃香の中からいなくなったのか?」


【桃香】

「ううん。ここにいるよ…今は、眠ってるみたいだけど…」


【一刀】

「そうか…まぁ、桃香がそれでいいなら、別にいいんだけど。」


少し複雑そうな表情でそう言って、一刀は玉座の間の出口へ向かった。


【一刀】

「…俺はこれから、呉に行って愛紗を助けてくる。その間に、兵を纏めておくんだ。魏が、間違いなく動き出すはずだからな。」


【桃香】

「うん。」


【一刀】

「あと、もうすぐ俺の刀のうちの一本…緑色の鞘の刀を預けておいた男が来る。名は華陀。医者で、俺の命の恩人だ。その子の病気も、診てもらうといい。」


【桃香】

「ご主人様…ありがとう。待ってて、今すぐ纏められるだけ兵の皆を纏めておくから…」


そう言って立ち上がった桃香だったが、一刀は首を振った。


【一刀】

「いや、呉には俺一人で行く。」


一刀のその言葉に、桃香は目を丸くした。


【桃香】

「な、何を言ってるのご主人様!言ったでしょ?向こうの狙いは、ご主人様なんだよ?一人で行くなんて、自殺行為だよ!」


【一刀】

「確かにな。でもな、桃香…俺が呉に行く目的は、愛紗の救出ってのもあるが、呉と同盟を組んでおきたいからでもある。でないと、あの蒼馬さんもいる魏の大勢力に、太刀打ち出来ないからな。それなのに、殺気立った兵を連れて行ったりしたら、かえって話がこじれるだろう?」


【桃香】

「それは…そうかも知れないけど…」


一刀の言ってる事は確かに無茶だ。理想を語る事しか出来ない桃香にでも、その無謀さが分かるほどに…だが、そうしなければいけない事も事実だった。

兵を率いて行くという事は、備え…つまり、警戒と疑心を示す行為。それは同時に、相手にも同じ鎧を着込ませる事を意味している。相手に、その警戒という名の鎧を脱がせる事が、交渉という対話には最も重要なのだ。


【一刀】

「まぁ、大丈夫だ…たぶんな。」


【桃香】

「たぶんって…」


【一刀】

「根拠があるわけじゃないけど、う~ん…強いて言えば、勘かな。何となく、何とかなる気がする。」


【桜香】

「…お姉ちゃん。このお兄ちゃん大丈夫?」


【一刀】

「子供に心配された!?」


そりゃ、根拠もなしに大丈夫とか言ってたら子供じゃなくて不安がるだろう。


【桜香】

「子供じゃないもん!名は劉璋、真名は桜香だもん!」


散々、一刀に子供子供言われて気に障ったのか、桜香はぷんすか怒りながら真名を名乗った。


【一刀】

「へぇ。君が劉璋か。俺は北郷 一刀。真名は無いから、好きに呼んでくれていい。」


【桜香】

「じゃあ…一刀兄たん…」


その愛苦しさに、一刀は堪らず桜香の頭を撫でていた。


【一刀】

「桜香。華陀の言う事を聞いて、早く病気を治せ。お前が生きる平和な未来、俺たちが作ってやるからな。」


そう言って、一刀は玉座の間を後にし、城を出て呉へと向かった。




その頃、蒼馬と愛紗は…


【愛紗】

「…蒼馬殿…」


かちゃかちゃ…ゴシゴシ…


【蒼馬】

「ん?何だい?」


ゴシゴシ…パリン……


【蒼馬】

「あ…」


パキッ…


【蒼馬】

「…ありゃ~?」


【女将】

「何やってんだい!」


【蒼馬】

「い、いや~、女将さん…ゴメンよぉ~…」


前々回の話で、色々あって食い逃げをしようとした二人だったが、食べに食べていた事もあって、全力で走れず、結局捕まって店でタダ働きさせられるハメになっていた。しかし、先ほどから蒼馬は皿を洗っては割り、洗っては割りを繰り返すばかり…。


【愛紗】

「はぁ~…」


自らの置かれた現状に、思わず溜め息が出てしまう愛紗…。

本来なら、今ごろ蒼馬と共に五胡勢力を相手に獅子奮迅の大暴れをしているはずだったのだが…何が悲しくて酒屋で皿洗いをさせられているのだろう…多くの武勲を立ててきた彼女がそう思うのも無理はない。

その後、二人が解放されたのは店の後片付けまで全て終えた深夜の事だった。


【蒼馬】

「いや~、疲れたねぇ~…酒家の仕事がこんなに大変だったなんてね~。」


【愛紗】

「全くです…」


慣れない仕事をさせられ疲労困憊な二人だが、呉では無一文同然の二人に泊まれる宿もなく、呉から少し離れた荒野で野宿するより他なかった。


【愛紗】

「考えてみれば、蒼馬殿なら他にいくらでもやり様があったのでは?」


愛紗の言う通り、わざわざこんな労働をしなくても、蒼馬なら逃げる術なり何なりあったはずだ。自力で走らなくても、空間転移で事は済んだハズである。


【蒼馬】

「それはまぁ、そうなんだけd…ぐっ、あ!」


その時、またしても蒼馬を発作が襲った。


【愛紗】

「蒼馬殿?」


急に顔色を変え、腰を押さえて苦悶の声を上げる蒼馬…。


【蒼馬】

「ぐ、ああああっ!が…ぁっ……」


【愛紗】

「蒼馬殿!しっかりして下さい!何処が痛むんですか?」


これはただ事ではないと思い、愛紗は蒼馬が必死に押さえている腰に目をつけ、彼の手をどかし服を捲くった。


【愛紗】

「こ、これは!?」


紫色に変色した傷口が、未だにぽっかり口を開けていた。


【愛紗】

「蒼馬殿、この傷はいつから…」


【蒼馬】

「……み、見られちゃったね~…いや、洛陽で、不覚をとってね…呪いの矢らしくて、おじさんの持ってるあのお水…月下の雫でも、回復できなくて……」


【愛紗】

「大丈夫なのですか?」


【蒼馬】

「ふぅ~ぃ…大丈夫、とは言えないねぇ~。力を使うと、後からこうして発作が起きるし…命も蝕まれているわけだからねぇ~。」


何を考えているのか、蒼馬は愛紗に包み隠さず話してしまった。自分が弱っているという事を、自身の弱みを…。


【愛紗】

「では、もう戦えないのでは?」


それは愛紗にとって、いや蜀にとっても呉にとっても最高の朗報だ。魏の死神・蒼馬…その恐怖は、両軍の兵たちの記憶に刷り込まれているのだから。


【蒼馬】

「そうだね~…無茶は出来ない…でも、まだまだ寝たきりになるつもりはないよ。それに、一刀君とも戦わないとね~。」


【愛紗】

「…ご主人様と?蒼馬殿、ご主人様は…」


もう、すでにいない…そう告げようとした愛紗の言葉を遮り、蒼馬は真顔で、しかしどこか冷たい目で言い切った。


【蒼馬】

「天の御遣いは生きている。」


【愛紗】

「!?」


【蒼馬】

「…今、ちょうど蜀を発って、こっちに向かってきているみたいだ。恐らく、君を助けに来るつもりだろう。」


【愛紗】

「ご主人様が…生きている…」


蒼馬のその言葉は、彼女胸に落ちるや否や、大きな津波を起こした。

そして、その波が原動力となり、疲弊していた彼女の体は突き動かされる…


【蒼馬】

「…?関羽ちゃん?」


立ち上がった愛紗は、蜀の方角に向かって走り出した。

後方から、呼び止める蒼馬の声が響いているが、もはや愛紗の耳はその言葉を拾おうともしなかった。


【愛紗】

『ご主人様が生きてる…ここに向かっている…会いたいっ!ご主人様!』


しかし、彼女の願いを踏みにじるかのように…


【蒼馬】

「待てって言ってるだろうが!」


【愛紗】

「きゃっ!」


背後から、蒼馬が押し倒してきた。そしてそのまま、愛紗を地面に組み敷き、もの凄い力で押し付ける。彼女がどれほど力を入れようと、びくともしない程だ。


【愛紗】

「ぐっ!そ、蒼馬殿!放して下さい!私は…」


【蒼馬】

「気持ちは分かる!彼の生存を告げるにしても軽率だった、謝る!だから頼むから、最後まで話を聞いてくれ!」


【愛紗】

「蒼馬殿?」


愛紗がやっと落ち着いたのを見計らって、蒼馬は彼女から手を離した。


【蒼馬】

「ふぅ~ぃ、ごめんよぉ。ケガしなかったかい?」


【愛紗】

「えぇ…普通に話して下さって結構ですよ?」


【蒼馬】

「…もし、このまま君が彼の下に戻り、蜀軍の筆頭として戦場に立ったとしよう。そうなれば君が戦う相手はウチの春蘭…夏侯惇だ。そしてその場合、今の君じゃ間違いなく殺される。それも、数合と打ち合えずにだ。」


【愛紗】

「なっ!?」


【蒼馬】

「それだけ、彼女は強くなっている。反董卓連合の頃とは比べるべくもないほどに。俺がその術を教えたからというのもあるが、その成長は著しい。」


他の誰かの言葉なら、そんな事あるものかと言いたかったが、他ならぬ蒼馬に言われては、愛紗も受け入れざるを得なかった。


【愛紗】

「…私では…役不足だと?」


【蒼馬】

「今のままの君では、な。そして、君にもしもの事があったら、たぶん彼は怒り狂うだろう。下手をすると、また暴走するかもしれない…それは、俺にとっても不都合極まりない。」


蒼馬はすでに、一刀の気配から彼がパワーアップしている事を察知している。それも、春蘭の成長以上だという事が。それにともない、精神面も強くなっているのだが、他ならぬ愛紗の死に直面したら…蒼馬にとってそれは、最悪の事態なのだ。


【蒼馬】

「だからこそ、君を呉から連れ出したんだ。戦が終わるまで、俺の目が届く範囲に置いて、保護しておくのが一番だからな。というわけで、大人しくウチの保護下に置かれてくれないか?」


【愛紗】

「…敵国に保護され、仲間が命懸けで戦っている間、暢気に戦が終わるのを待っていろと?そんな事がどうして許されましょうか!私の死がご主人様を苦しめるというのなら、この関羽、何があろうと死にません!夏侯惇殿がどれほど強くなられていようが、負けません!負けないくらい、私が強くなればいいのでしょう!」


【蒼馬】

「そんな無茶なk…」


蒼馬の言葉を遮るように、愛紗は青龍の切っ先を蒼馬に突き付けた。


【愛紗】

「夏侯惇殿を強くした方法とやら、私にも教えていただきます!」


【蒼馬】

「…教えるとでも?」


蒼馬の目つきが変わる…細められた瞳の奥から、脅しとは思えない殺意がひしひしと伝わってくる。


【愛紗】

「力ずくでも、教えていただきます!」


【蒼馬】

「…小娘が…下手に出とればつけ上がりおって……年寄りの忠告は聞くもんじゃぞ?」


【愛紗】

「……」


しばらく、そのまま二人とも動かなかった。いや、愛紗の方は動けなかったという方が正しい。強気な態度と言葉とは裏腹に、昼間のあの恐怖が、彼女の胸に押し寄せてきたからだ。殺されはしない…そう思っていても、目の前の男の底知れぬ力に対する畏怖は拭いきれない。


【蒼馬】

「…ふぅ~ぃ、仕方ないねぇ~。」


蒼馬の溜め息とその一言で、その場の緊張感がふっと消えた。


【蒼馬】

「敵に塩を送るのもどうかと思うけど…大人しくしててくれないじゃ、おじさんも責任持ちかねるからね~。」


【愛紗】

「では!」


【蒼馬】

「春蘭ちゃんに殺されない程度には、強くなってもらうよ~。」


そう言って、蒼馬は突き付けられている青龍の切っ先を摘んだ。


【蒼馬】

「……ふぅ~ん…これは、春蘭ちゃんの時より、骨が折れそうだ。」


青龍の魂を感じ取ったのか、蒼馬は小声でそう呟いた。




その頃、一刀は川辺に立ち寄り、馬を休ませていた。急ぎたいのは山々だが、ずっと走らせっぱなしでは、馬も疲れてしまう…場合によっては、死んでしまう事もあるのだ。


【一刀】

「…今日はもう疲れたよな?」


一刀が優しく尋ねると、馬は鼻息を立てて答えた。一刀に馬の言葉を理解する術はないが、どちらにせよ今日はもう休ませるつもりだった。

逸らないわけではない…ただ、どうしてか一刀の心は、愛紗が呉に捕われているという状況にあっても、不思議と落ち着いているところがあった。彼女が心配じゃないからではない…何故か心の何処かで、大丈夫だと確信している彼がいるような…そんな感覚だった。


【一刀】

『桃香だけじゃなくて、俺の中にも誰かいるのか?勘弁してくれ。』


そんな不安を覚えはしたが、手頃な木の根元に腰を下ろして寄り掛かると、三秒と数える前に寝息を立て始めた。本当に、図太くなったものである。




愛紗と蒼馬の二人は、まだ寝ていなかった。二人とも疲れているにも関わらず、早速修業を始めたらしい。もっとも、修業と言っても…蒼馬が教えた事は春蘭の時と同じ、武器との対話のみだが…。


【愛紗】

「……」


ただ違う事は、愛紗の方がこの修業に真剣に打ち込んでいるくらいだ。

両手で青龍をしっかり握り締め、その手に青龍の息吹を感じようと集中している…そんなに眉間にシワを寄せたままでいては…今さらか。


【蒼馬】

『いい感じだね…これはひょっとすると、春蘭ちゃんより期待できるかもねぇ。魏としては嬉しくない事だけど。それはそうと、さっきから一刀君の移動が止まっているね~。意外だな~、休息なんか取らずに、無謀に突き進んでくるかと思ってたのに…。』


愛紗の様子を見ながら、蒼馬は一刀の気配を感じ取っていた。

蒼馬が考える愛紗の修業のタイムリミットは、一刀が呉に到着するまで。それまでに彼女が武器の魂と対話できるようになれなければ、捕虜として彼女を連行するつもりだ。


【蒼馬】

『あのまま一刀君が突き進んでいたら、朝には到着して一波乱あったろうけれど…少し時間に余裕が出来たかな?まぁこれ以上、関羽ちゃんに余計な事は言わないでおこう。』


蒼馬はあえて、この傍から見れば不毛なだけの修業を続行させた。愛紗に見込みがあると思ったからなのか、彼女の寝不足による修業失敗を狙っているのか…恐らく後者だろう。実に狡猾である。


【愛紗】

「……青龍…頼む、答えてくれ……」


目を閉じ、手の中の青龍に念じる愛紗…心なしか、青龍が熱を帯びてきたような気がしたが、それは単に彼女の手の温度が移っただけだった。


【愛紗】

「くっ!蒼馬殿、他に何かやり方は無いのですか?」


【蒼馬】

「え?やり方?」


【愛紗】

「こうしたらいい、とか…本当に、夏侯惇殿はこれで?」


何かコツとか、そういうものを知りたいらしい。当然だ、この修業のやり方はあまりに漠然としている。正直、見ていてバカみたいだ。それは言い過ぎとしても、ハナがない。


【蒼馬】

「これは理屈云々じゃなくて、感覚のものだからね~。こうすれば正解ってやり方は無いんだけど…強いて言えば、思い返す事かな?」


【愛紗】

「思い返す?」


【蒼馬】

「その武器を初めて手にした時から、これまで…共有してきた記憶を思い返してみるんだ。」


【愛紗】

「分かりました。やってみます。」


【蒼馬】

「素直でいいねぇ~。ウチの子とはエラい違いだよぉ~。」


どの子かは言うまでもない。

蒼馬のアドバイスを受け、愛紗は心の中に、青龍と過ごしてきた日々の記憶を思い返し、同時に念じ続けた。

どのくらい、そうしていただろうか…不意に、青龍の様子に変化が見られた。


【愛紗】

「こ、これは!?」


【蒼馬】

「っ!」

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