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幼馴染ともう一度  作者: BUG
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京子

 すみません、ほぼ2週間ぶりになってしまいました。<(_ _)>

 雅哉が決断します。

 初美の言っていた通り、京子は初美よりも成績が悪かった。数学については、今の由美乃のレベルと同じくらい、小学校5~6年でもどうかという感じだ。それを由美乃の前で話すとなると、プライドの高い京子には耐えられないのは明白だ。

 京子と一緒でなければ、由美乃がこの場に来ることができない。だが、由美乃と同レベルのことを、一緒に教わるなんてことは、おそらく受け入れては貰えないだろう。


 だから俺は、京子のためではなく、自分のために行動することを選択した。考えてみればひどい話だが、由美乃との時間をどうしても失いたくなかった。

 由美乃の前では中学校の範囲を教えるようにして、別に宿題を出したのだ。もちろん、宿題の範囲は京子が躓き始めていると思われるところで、今の京子でもそう時間をかけずに解けるものだ。由美乃のいない場所でなら抵抗なく取り組んで貰えると思ったのだ。

 だが、初美の時は全て対面で教えていたので、それを初美から聞いた京子が不満を漏らすようになり、それでも文字通り騙し騙し続けていると、その宿題をやらなくなってしまった。


 「あれっ? 京ちゃんって、私のやってるのと同じことやってるの?」


 さらに由美乃が、京子に出した宿題の内容を見て、そう言ったことにより、京子は来なくなってしまった。そうなると、由美乃も来られなくなる。一度、初美に由美乃と一緒でもいいかと打診してみたが、理由を聞かれて言葉に詰まった。まさか、本当のことを話すわけにもいかないが、適当な理由を思いつかず断念せざるを得なかった。


 京子の家庭教師はなくなったが、初美の方は順調に続いていた。だが、初美は成績が飛躍的に上がってからは要領を得たというか、俺が殊更教えずともどうにかなるくらいになっていた。おそらく、家庭教師を辞めたとしても大丈夫だろう。

 だが、そういう状況を知った京子の祖母は、孫が初美に遅れを取るのがどうしても嫌だったのか、家庭教師が嫌なら、宿題だけでも続けるようにと命じたのだ。それなら由美乃になんだかんだ言われることもないから、今の京子にとっては最善策かもしれない。


 だが、由美乃が来られないことには変わりはない。そのせいか、俺の方が親身に対応できなくなり、京子の成績は伸び悩んだ。しかも、俺自身のことにも全力で取り組めなくなった・・・ 要するにやる気が失せてしまったせいで、自身の成績が1学期の期末テストから急降下してしまった。期末テストでは、家庭教師継続のため、もともとの俺の記憶を活用して成績を上げるという反則技(チート)を使ったが、今回はやる気を失っていたため、中学入学後で最低の成績になってしまった。


 それでも、これまでの貯金があるので、その1回が致命傷になるほど、いわゆる内申点が悪くなるというほどではなかったし、公立ならもともとの俺でも問題なく合格していたので、俺は「ちょっとやらかした」程度にしか思っていなかった。


 「まーくん、あなた、家庭教師なんかやってる場合じゃないでしょ? 受験のことをもっと真剣に考えないと。」

 「大丈夫だよ、かあちゃん。ちょっと調子が出なかっただけで、公立なら余裕なんだから、問題ないよ。」


 俺は実際一度クリアしてるし、心配させないように母にはわざとそう言ったのだが、それが親父を怒らせてしまったようで、いきなり頭をはたかれた。


 「ばかやろう! 本番で調子が出なかったなんて言ってもやりなおせないんだぞ! だいたい、誰が公立でいいなんて言った? お前なら国立だって狙えるんだから、楽しようとするな!」


 そう言えば、同じようなことをもともとの俺も言われてたな。ここで、「()()()()、じゃなく、()()()()()なんだよ。」などと言ってはたかれた記憶があるが、その時とは状況が違う。今、そんなことを言ったら、手のひらではたかれるんじゃなく、拳で殴られるに違いない。


 「でも、授業料はむしろ公立の方が安いし、国立は歩いて行けないから交通費がバカにならないし、だいたい誰も知ってる友達がいないところなんて・・・」

 「そんなことはお前が考えることじゃない! それに、友達なんてどこでだってできる。もっと向上心を持てってことだ。」


 まあ、正論だよな。もともとの俺も同じことを言われていたが、その時の成績では逆立ちしたって国立は無理だった。だが、今は違う。おそらく今の俺ならなんとかなるだろう。だが、違う進路を目指すことが本当に正しいのかはどう考えても結論は出てこない。由美乃との将来を望むなら、どちらが正解なんだろう?


     *     *


 結局、俺は家庭教師を辞めた。初美は少しがっかりした風に「仕方ないね。」とつぶやいたが、俺の進路が決まったら、また再開するよう申し出てきた。初美の場合、高校受験のことを考えて俺に頼んできたのだから、少なくともそれまでは続けるべきなんだろうとは思うが。

 一方、京子の方は、というか、京子の祖母は、どこから聞きつけたのか、俺の2学期の中間テストでの急降下を知っていて、こちらから断る前に中止を申し出ていた。京子は京子で急降下が自分の責任だと思ってしまったらしく、合わす顔がないとばかりに俺を避けるようになってしまった。・・・いや、京子はおそらく俺の本当の気持ちを悟ったのかもしれない。だが、そもそも急降下は京子のせいではなく、俺の自業自得だ。責任を取るべきなのは俺の方だ。


 俺は、ある日の下校途中で京子と初美を待ち伏せ、人気のない場所で2人に話をした。


 「2人に言っておきたいことがあるんだ。」

 「何よ、こんなところに連れてきて、愛の告白でもするつもり?」


 初美はこういうことを平気な顔で言うから油断ならない。だが、今は好都合だ。


 「そうだね。似たようなものだよ。その前に、2人とも、家庭教師の件では迷惑をかけてゴメン!」

 「うん、その話だったら、もともと1学期だけって話だったし、まーくんの高校が決まったらまた再開してくれるんでしょ? それなら私は構わないよ?」

 「それは約束するよ。はっちゃんが希望する高校に行けるように俺も頑張る。・・・で、京ちゃん!」

 「・・・はい?」

 「ゴメン!」

 「えっ?」

 「俺は・・・俺は由美ちゃんが好きだ。京ちゃんとはケッコンできない!」


 別に正式に婚約していたわけではない。5~6才の時に京子が「将来はまーくんとケッコンする」って言いだして、それ以来何かにつけて、そう言ってアプローチしてきていたから、周りの人達は、そして京子自身も、それが決定事項みたいな受け止め方をしてきたのだ。俺自身、あの一件がなかったら、巻き戻った理由が京子だったと思ったかもしれない。

 だが、今の俺はあの時、抱きしめた由美乃の感触、ぬくもり、匂いに捕らわれたままだ。さらに、行動を制限され、そして会う機会まで失われた今は、由美乃のことばかり考えてしまって、このままだと成績がさらに急降下を続けそうだ。京子の気持ちを考えると、可哀想な気もしないではないが、うやむやにせずはっきりさせるべきだと思ったのだ。そうしなければ、皆が俺のせいで不幸になってしまう気がした。


 俺は、京子に罵詈雑言を浴びせられるとか、泣かれるとかを覚悟していたが、京子は驚くほど冷静に、淡々と話した。


 「やっぱりそうだったんだね。見てれば分かるよ。でも、どうして私の時に由美ちゃん呼んだの? あれって、私への意地悪としか思えなかったよ?」

 「ゴメン、事情は話せないけど、由美ちゃんと2人だけでは会っちゃダメだと言われているんだ。」

 「ああ、だから私に由美ちゃんが一緒じゃダメかって聞いてきたのね? まあ、別に良かったのに、私こそ、まーくんに意地悪しちゃったね。ごめんね?」


 初美は俺の気持ちに気づいていたみたいだ。


 「でも、そうなると、まーくん、由美ちゃんに会えないよね? 大丈夫なの?」

 「正直言うと、不安で仕方ないよ。でも、俺がそれなりの結果を出していれば、いつか認めてもらえると思ってるよ。」

 「うーん、なんか腹が立って来たよ。まーくん、やっぱり一発殴ってもいいかな?」

 「えっ? うん、いいよ。京ちゃんには殴られても仕方ないと思うよ。」


 俺は京子に向き合い、顔を突き出したが、京子は俺を殴らなかった。正確に言うなら右手で俺の頬に軽く触れただけだった。


 「バカ・・・ そんなこと、できるわけないじゃない・・・」


 京子が俯くと、初美が京子の肩を抱き、俺に目配せしてきた。後は任せろということだと察した俺はゆっくりとその場を離れた。初美がいたので務めて冷静に振る舞っていたのだろう。だが、由美乃を選んだ以上、いつかはこうなっていたはずだ。俺は振り返ることなく、その場を後にした。

 もともとの雅哉は、初美を意識するあまり、2人から距離を置く形になってしまい、京子に嫌われたと勘違いされて終わってしまいましたが、今回ははっきりと伝えました。それが最善なのかどうかはわかりませんが・・・

 次回で1周目が決着しますが、それだけでは当然終わりません。

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