70 懐かしい友
俺たちはその知人の家に転移した。
「うわあ!いきなり来るのやめてって言ってるでしょシャーロットおねえちゃん?」
「お久しぶりですエマさん。と言っても数日ぶりですがね」
どうやら俺の知らない間にシャルはエマちゃん、いやエマさんに会っていたようだ。
エマさんは「座って」と言うとお茶を出してくれた。
当然、俺の分はないが。
「テオおにいちゃんはどうしたの?仕事?」
「いや、仕事はもう辞めたのですよ。いまは一緒にアズルートで暮らしてます。いまもここにいますよ」
「え!?どこに?」
シャルは剣をエマさんに見せる。
「これです」
「まさか!冗談でしょ?」
『いやぁそれがマジなんだよ』
「…本当にテオおにいちゃんなの?」
『だからそうだと言ってるだろ?』
「実はかくかくしかじかで…」
シャルがなぜ俺がこんな姿になってしまったのか話した。
「なるほど。でもなんで私の家に来たの?夫はいないよ?」
「あなたは色々と情報通でしょう。元に戻す方法を知っていないかと思って」
「ちょっと待ってて。いまから探してみるから」
そう言うとエマさんは奥のほうに行ってしまった。
シャルがお茶を一飲みする。
『いいなぁ。俺も飲みたいわ』
「あなたは飲めないでしょう」
『ちぇ』
そうこうしている間にエマさんが帰ってきた。
「なんかそれらしいスキルを見つけたよー」
「なんというスキルですか?」
「それは…」
「それは?」
「それは…代々闇の国の国王だけが持つと言われているユニークスキル『黒魔術』」
「黒魔術…」
・・・ホワッ!?
なに?黒魔術?
そんなおっかないもんがこの世界にはあるの?
「『黒魔術』は噂によると自らの魂かたくさんの人の魂を削り特定の相手を呪うものらしいよ。ちなみに術者はこのスキルを手に入れた時点で魂の大きさが通常の何十倍にもなって魂の消費を抑えられるとのことであります!」
魂を削るってなに?
怖すぎるんですけど。
というか呪われてるの?
「私の持ってる情報はこれぐらいかな」
「ありがとうございます」
「いやあ、いいんだよー。友達みたいなもんでしょ」
「友達、ですか」
「そう!友達」
「ではそろそろ失礼させていただきます」
「もう行っちゃうの?もう少しここにいたら?」
「私はすぐにでもこの人を元の姿に戻してあげたいんです」
「そうだよね…うん、だってシャーロットおねえちゃんはテオおにいちゃんのことが昔から大好きだったもんねー」
「そ、それはっ!」
そうだったの?聞いてるこっちが恥ずかしいわ。
「冗談だよ」
エマさんがニヤリと笑う。
「また来てね」
「また来させてもらいますよ。次は私たちがお招きします」
「ほんと!?ぜひ!」
「はい。では、さようなら」
「うん、バイバイ」
俺たちは一旦、家に転移した。




