12 なんでなんで症候群
アズルートの朝はとても穏やかだ。
耳をすませば小鳥たちの声がきこえ噴水の近くでは元気な老人が集まって体操をしている。
俺は屋敷の食事処にあたる部屋にいた。
おかしい。
いつも誰よりもはやく起きるシャーロットがいない。
病にでもおかされているのだろうか。
俺は心配になってシャーロットの部屋まで来た。
ドアをノックする。
「シャーロット!起きてるか?」
返事はない。
まさか死んでたりして…
広い屋敷内で殺人事件が起こる。
それはよくある推理小説に必須なイベントであり物語のはじまりでもある。
だが、これは死神が主人公の物語でありそのようなイベントはないと思われる!
いや、俺はそう思いたい。
「はいるぞ」
俺はドアを開けた。
「はえ?」
俺の口から変な声が出てしまった。
なぜならそこにいたのは寝間着姿でぐうスカ寝ているシャーロットだったからだ。
「…寝坊?」
あのしっかり者のシャーロットが?
マジで言ってる?
俺はそんなことを思いながらシャーロットに近づいていった。
そして額に触る。
うん、死んでない。
俺はいったん適当なタオルを水につけに洗面所に行き、終わると部屋に戻った。
その水につけたタオルをシャーロットの額に落下させる。
「ひゃわっ」
シャーロットが飛び起きた。
「おはよう」
シャーロットは俺の姿を確認すると顔を赤らめまた布団に潜ってしまった。
シャーロット、意外と可愛いー。
いつもクールだからギャップがエグイ。
「ちなみに今、何時か分かってる?」
朝食の時間帯。
シャーロットは俺のことをずっと睨んできた。
「ねえ、アズルートおねえちゃん。なんでシャーロットおねえちゃんはテオおにいちゃんのことをじっと見てるの?」
「さあ?なんででしょうね」
「ねえ、なんでなんで?」
出たよ。
小さい子あるある第一位。
その名もなんでなんで症候群!
エマちゃんぐらいの年頃の子は好奇心旺盛でなんでも知りたがるのだ!
「シャーロットおねちゃんはテオおにいちゃんのことがすきなの?ねえ」
ん?
シャーロットがやたらに「すき」という単語に反応しているような…
気のせいだろう!
はははっ!
「テオおにいちゃん、なに笑ってるの?気持ち悪いよ」
気持ち悪い…だと?
うわーん!
エマちゃんに気持ち悪いって言われた。
え!?
俺そんなに気持ち悪かった?
どうしようエマちゃんに嫌われちゃったかも。
もし本当に嫌われていたとしたら…
「見てください。この人、エマちゃんに気持ち悪いって言われたことをすごい気にしてますよ。やはりロリコンでしたか」
「そうみたいですね」
「ちっ違う!」
「ねえねえ、ロリコンってなに?」
「ほら、エマちゃんが変な言葉を覚えちゃったじゃないか!」
二人は依然として笑顔のままである。
「ねえねえ、ロリコンってなんなの?ねえ、なんで教えてくれないの?みんななら教えてくれるよね?」
部屋にはエマちゃんの声が響くだけであった。




