10 クリムゾン学院の七不思議③
その時、鳴らないはずのチャイムが鳴った。
「ヘンリー、俺の手を掴んでろ」
「ああ」
ヘンリーが俺の手を掴む。
「このチャイムが鳴ったということは死の世界に迷い込むことになる。だけど俺の結界なら死なずに済むと思う。死の世界に迷い込むということは死ぬってことだからな!」
俺はヘンリーの手を引っ張って走り出した。
後ろからなにかが追いかけてくる。
振り向くと風がこちらに向かって勢いよく砂埃をあげて迫っていた。
俺は鎌でそれを防ぐ。
風が結界に阻まれて四散する。
「死の世界に迷い込むということは不可能。でも迷い込んでいる。ということはソイツは迷い込んだんじゃなくてただ殺されたことに気づいていないだけなんじゃないか」
「でもそうだったら俺がアンタの手を掴んでいる理由がなくなるんだが」
「俺の結界の範囲は鎌の所有者と鎌の所有者が触れているものまでなんだ!死にたくなければ掴んでろ!」
次はまわりのあちこちから突風が吹いてきた。
だが鎌がそれを防ぐ。
『立体起動』発動。
俺は鎌を体のなかに戻すとヘンリーを脇に抱えてジャンプした。
なにもない空中に魔法陣が展開されて床となる。
俺は着地するとまたなにもない空中に足を踏み出す。
それを何回も繰り返す。
まるで階段を上っているような感覚だった。
そこを空気の玉が襲った。
出所をを探す。
「…見つけた」
『空間転移』発動。
魔法を発動した張本人の後ろに転移する。
「ハロー。七不思議のNO.6」
そこにいたのは小っちゃくて可愛い猫のような耳としっぽをはやした女の子だった。
「獣人…?」
ヘンリーがその正体に驚愕した。
「そう、これが七不思議の6番目だ。さあ、どうする?獣人」
「おこんない?」
「ああ」
「実は人間に家族が皆殺しにされて復讐したかったの」
「うん」
「家族を殺した人間どもに復讐するためにはスキルを上げなきゃいけなくて…グスッ。それで人間は殺すといっぱいスキル入ってくるから…それで…」
「話してくれてありがとう。でも君は殺してしまった人たちに悪いと思ったことはあるか?」
女の子は「うん」と頷いた。
「そうか。なら良かった。君、家は?」
「ない」
「じゃあ、俺のところに来い。メシもたらふく食わせてやるしそいつらも倒しに行こう。どうだ?」
「いいの?」
「もちろん!」
そう言うと女の子は泣き出してしまった。
俺はそのちっちゃな背中をさすってやった。
「…グスッ…でもはやく逃げないと死んじゃうよ」
「誰から?」
「あれ」
そう言うと女の子は俺たちのうしろを指さした。
振り返るとそこには俺たちそっくりの黒い人影がいた。
「あーヘンリー。七不思議の最後ってなんだっけ?」
「七つ目を知ると不幸が起きる、だ」
「うん、逃げよう」
『転移魔法』発動。
全員でアズルート図書館に転移した。




