↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【熱狂維持指定バンド】STARDUST NOISE ―元V系バンド、アイドルになる―  作者: 雪見もち子
第2章:スタノイ始動編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/14

【3-2】:「星屑とノイズ!?」

「はい。今後、皆さんはBLACK CROWNではなく――」


「STARDUST NOISEです」


 加納がバインダーごとテーブルの上に置く。

 表題に書かれている文字を全員が覗き込んだ。


「は……?」


「STARDUST NOISE……」


「って、星屑!?」


 煌がバンド名を確認する。

 悠人は驚きに目を丸くしたまま、直訳したそれを口にした。


「それにノイズ……雑音か?」


「異端って意味もあるよね」


 漣が悠人に続いて声を出すと、快が補足するように告げた。


「ふーん。星みたいに輝くアイドルじゃなくて、星屑ってさ、俺ららしいじゃん」


「どこがだよ!!」


 煌はどこか納得したように頷き、悠人が振り向く。


「けど、音楽性としては間違ってないんじゃない?」


「確かに……それは、一理あるような?」


 快の言葉に、悠人は首を傾げつつ曖昧な反応を見せる。

 だが。


「いや、けど、アイドルなのにノイズはなくね!?」


「会社の方針ですので、異論は認められません。あと、センスへの苦情は私ではなく、担当へお願いします」


「マネージャーらしくそこは仕事してくれよ!」


 淡々とした口調で言い切る加納に、悠人はガバッと身を乗り出した。


「確かにアイドルグループらしくないですが、貴方たちの色を消していない名前で、私はいいと思いますよ」


「……加納さん」


 悠人を見つめる加納の口元が、微かに緩んでいた。

 その表情を見た悠人は何かを言いかけ、再度口を噤んだ。


 二人の間に流れる空気に快が首を傾げていると、加納は表情を戻し、全員に向き直った。


「では、このまま説明を続ける前に、そろそろ昼休憩にしましょうか」


「それ賛成。そろそろ頭も回らなくなってきたし、腹ごしらえもしないとコイツらまともに話も聞けないだろうし」


 煌があっけらかんと言い放ちながら、漣に視線を向け悪戯っぽく笑いかける。


「……おい、俺を見て言うな」


「お昼はどこで食べる? 近くに何かいいお店あったっけ?」


「今日は初日ですので、こちらでお弁当を手配してあります」


 快の疑問に加納が返すと、その言葉に悠人がパッと顔を上げた。


「マジで? 加納さん、太っ腹じゃん!」


 悠人の加納を褒めちぎる声が響く。

 全員から呆れ混じりの、だが概ね同意だと言うような笑みが浮かんだ。


「好みはまだ分からなかったので、種類は多めにしておきましたよ」


「手厚いな」


「選べるのも有難いよね。何があるのか楽しみだなぁ」


「あ、この事務所って喫煙所ある?」


 最年少の二人が期待に胸を膨らませる向かいで、煌がズボンのポケットを指先で叩いた。


「各フロアにありますが、控え室も換気設備が整っていますので、こちらで吸っていただいても大丈夫ですよ」


「マジで? 良かった。こういう所だと大体禁煙だからさ」


 煌が立ち上がると、加納は壁際の戸棚から灰皿を取り出し手渡した。

 灰皿を受け取った煌は、全員から少し離れたメイクスペースの椅子に腰掛ける。


「やっぱりここって大きいから色々と設備も整っているんだね。他には何かあるの?」


 見た目とは裏腹に、好奇心旺盛な快が加納に問いかける。

 加納は再び鞄を漁り、目当ての社内フロアマップを取り出すと、全員が見やすいようにテーブルの上に広げた。


「ビル内にはレッスンスタジオや共有スペースなど、所属タレントが活動するための設備も整っています。必要であれば自由に利用してください」


「やっべ、中広すぎじゃね? 全然覚えらんねー……」


「ふーん。確かに、ここなら専用スタジオもあるみたいだし、ほぼ社内で完結するから便利だな」


 悠人がワンフロアの大きさにげんなりとした顔で呟く。

 煌は火のついた煙草を燻らせながら近づき、テーブルの横に立ったまま地図を眺めた。


「マジ? やべ、どんだけ設備整ってんだよ!」


「けど、これならあっちこっち移動しなくて済むから合理的だな」


 悠人は驚きに声を上げ、煌は感心したように頷く。


「え、7階に共有スペースってのがあるんだ。食堂もあるみたいだし、今度のお昼はここに行くのも良さそうだね」


 フロアマップを捲り他の階層を見ていた快が、広さに驚きの声を上げる。


「社員も使いますが、様々な部門の方々もこちらを利用しますから、いい交流にもなりますよ」


「ああ、そういや俳優とかお笑い部門とかあるもんな」


「楽しそう……。ちょっと気になる……」


 快と悠人が向かい合いながら7階のフロアを見つめる横で、煌は最上階の真下にあるフロアへ視線をずらしていた。


「あれ、これって……」


 ふとした呟きを漏らしたが、それを遮るように控え室の扉が叩かれた。


――トントン。


 加納が即座に扉へ向かう。

 弁当を幾つか持ってきたスタッフが顔を出し、加納が袋ごと受け取った。


「さて、お昼が届きましたので、皆さん食事にしましょう」


「おう。テーブルの上片付けるぞ……って、漣、メシの時間だからゲームは終わりだ」


 漣は黙々とゲームを続けていた。


「ああ、悠人さんも快さんも、ありがとうございます」


 手伝いを申し出た悠人や快と共に、加納が弁当を並べていく。


「午前は色々と詰め込み過ぎましたし、お疲れでしょうから、一息入れてください」


 そして、スタッフからドリンクの追加を受け取った加納が後を引き継ぐ。


 出入りの扉が閉じられ、五人だけが控え室に残ると、各自が弁当を選び始めた。


「エビチリだ。中華、最近食べてなかったんだよね」


「……ハンバーグ、チーズ入りのはこれか」


 最年少の二人が先ほどと同じ席に座り、テーブルの上にある数種類の弁当を見比べていた。


 二人が選び終わると、向かいに座る煌と悠人が残りの中から選び始める。


「お、唐揚げ弁当あるじゃん。俺これにする」


「じゃあ俺はこの幕の内もらおうかな」


 悠人が弁当を手に取り、隣にあるドリンクを選び始める。

 続いて煌が、残った弁当の中から彩りのいい食べやすそうなものを選び手に取ると、ふと顔を上げた。


「加納さんも一緒に食べてくでしょ? 俺たちが選んでもまだ余るし」


 煌が加納に向かって声をかける。


「私もですか……そうですね。では本日は皆さんとご一緒させていただきます」


 加納は最初こそ遠慮していたが、煌に促されるまま静かに頷いた。


 すると、快と漣が右端に体を寄せてスペースを空ける。

 そこへ快が笑みを浮かべながら手招くと、加納が端のスペースに腰を下ろした。


 悠人はその光景を見て満足そうに頷くと、全員が揃ったのを確認し、手を合わせた。


「それじゃ、揃ったことだし。いただきまーす」


「「「いただきます」」」


「……いただきます」


 加納は微かに目を見張るも、自然と食べ始める四人に続いて、やや遅れて声を出す。

 

 そして、全員で談笑を交えながら弁当を食べ始めた。


 揃っての食事は、午前の慌ただしい空気とは違った和やかな時間だった。

次回▶︎定期更新:金曜の20時。


ページ下部の『☆』や『ブクマ』で、評価・応援していただけると、

世界の熱狂度が上がります。

面白いと思っていただけたら、ポチッとお願いします。


お読み頂き、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。