【0】:始まりのステージ
――八月×日。
都内某所で、アイドルグループ『|STARDUST NOISE』の野外ライブが開催されていた。
炎天下の会場。
疾走感あふれる音色に、軽快なテンポで流れる音楽は、爽やかながら熱さを取り入れたロックを奏でていた。
ステージ中央からは歌声が響いていた。
スポットライトを浴びるのは四人の青年。
白い衣装を身に纏い、軽やかなステップと鋭いターンで観客を魅了する。
「 煌さまー!」
「王子ー!!」
「今日もキラキラしてるよ!」
長い衣装の裾を翻し、自信ありげに口角を上げ、笑みを振りまくのは、ゴールド担当の 煌。
彼は表現力を見せるように、アレンジの効いたダンスを披露し、観客を魅了した。
「 快くーん!!」
「こっち向いてー!」
「今日もミステリアスで素敵……!」
涼やかな目元の彼は、薄らと笑む。
片手をそっと上げ、観客に向かって手を振るのは、紫担当の 快。
彼の囁くような優しい歌声が、観客をその世界観の余韻に浸らせた。
「漣ーー!!」
「クールだわ……ッ」
「カッコイイーー!!」
表情は澄ましているが、瞳には熱さを残した、青担当の漣。
安定した体感でキレの良いダンスを披露し、全体の空気を締めていた。
そして――。
「悠人ー!!」
「リーダー!!」
「最高ーー!!!」
四人の中心で、誰よりも明るい笑顔を浮かべる青年。
オレンジ担当の、このアイドルグループのリーダーである悠人。
真っ直ぐ響く歌声で観客の心を掴む彼は、両手を大きく振った。
「みんなー! 応援ありがとーー!!」
ワッ!! と盛り上がる会場からの歓声。
「STARDUST NOISE!!」
「スタノイー!!」
「最高ーー!!」
揺れる会場。
溢れ出す熱気。
人々の想いが重なり、世界を満たす熱狂。
熱狂度は、天を突き抜けるほど高まっていた。
空気を震わせるほど、拍手が鳴り響き続ける。
誰もが、このライブを成功だと思った。
――しかし。
(俺たちがやりたい音楽は、これじゃない)
笑顔を浮かべていた悠人の表情が、ほんの僅かに曇る。
(……けど)
悠人はアイドルらしい笑顔で、観客へ手を振り続けた。
◇
――数ヶ月前。
都内某所。
オフィス街の一角にある芸能事務所。
そこには、四人の青年と一人の男が向かい合っていた。
「今日から、あなたたちにはアイドルになってもらいます」
予想外の言葉に、全員の空気が固まる。
「……は?」
悠人は、聞き間違いかと思った。
「いや、俺ら……V系バンドなんだけど!?」
彼らはまだ知らなかった。
この日を境に、自分たちの音楽人生が大きく変わることを。
これは、元V系バンドマンの四人が、アイドルという新たな世界で、自分たちだけの音楽を探していく物語。
彼らの物語は――ここから始まった。
初めまして、雪見もち子と申します。
本日より、【熱狂維持指定バンド】STARDUST NOISE、
略して『スタノイ』の連載を開始します。
0話だけ見るとシリアス?重い話?
と見えるかもしれませんが、そんな事はないです。
一言で言えば、
『V系バンドマン4人が契約書をまともに読まずに、アイドルになった話』です。
一言が長い。
次回▶︎
明日、8時、12時、20時に【1-1】〜【1-3】まで投稿予定。
明後日、12時、20時に【2-1】、【2-2】まで投稿予定。
以降は、
定期更新:金曜の20時。
不定期でSSも公開予定です。
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