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第二話サロメ

「転校してきて二三ヶ月になるぜ」

「同じ学年?」

「中学生にも見えるけど、同い年だぜ。幼顔の美形だから、ロリコンどもがよだれタラタラで群がったけど、あの子はやめとけよ」

「ロリコンじゃないし、ちょっかい出す気もないけど、なぜだよ」

「親父さんがヤバい人だったんだ」

「ヤバいって」

「ヤクザだったんだ」

「だったってぇのは」

「殺されたのさ。しかも家に首が投げ込まれたってぇから、いわくつきも半端じゃない。群がっていた男たちも一斉に引いたぜ。ヤクザの因縁つきなんてヤバ過ぎだろう。けどコレって、ひと頃校内もちきりの話題だったのに、知らなかったなんて、ハネちゃんの情報うといのも半端ないね」

 ヨシキの話しを聞きながらサロメの方を見ていると、カロリーメイトを食べ終えて、空き箱を潰して振り返った彼女と目が合った。紅河サロメは瞬きもせずにしたたかな一瞥を返すと、プイと顔をそむけて歩いていった。幼気な顔に、大人びた抜け目なさの透けて見える気がして、

ークソ好かんアマー

 がハネの第一印象だった。しかし数時間後、そのクソ好かん少女との出会いが自分の運命を変えてしまうことになるとは、神ならぬ身のハネ、知る由もないのであった。

「ところでハネちゃん、今日の放課後空いてる」

「シャケ弁デートならノーだぜ」

「違うよ。キクモリ公園にバンドが来るんだ。見に行かないか」

「なんてバンドだよ」

「さあね。売出し前の新人さ」

「行ってもいいけど、テロがな」

「そんなの気にしてたら、どこへも行けないぜ」

「「こないだも大勢死んでるんだぜ」

「警視庁だって黙ってやいないし、そうそう続かないさ」

「それもそうだな」

 このところ、なんとなく浮かぬ気分でいたハネは、気晴らしを求めてその気になった。


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