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プロローグ
その日、北海道は全域晴天だった。長い冬をようやく終えた北の大地は、陽光に緑は輝き、吹き渡る風も爽やかに、憩うかのようであった。
しかしこの日、都市部からも遠く離れた、広大な原野が広がるその一帯では、鳥や獣が異様に騒いだ。彼らこそ暖かさを取り戻した大地で春の喜びにひたりたいはずなのに、鳥はせわしなげに飛びたち、群れをなして走る獣は、なにかに追いたてられているようであった。
「北のミサイルでも飛んで来るのか」
初めての光景に、そんなことを口走る者もいたが、しかし、この日降って来たのは、もっと、遥かにとんでもないものであった。




