44.回想・ランクSS
先週は、予告しておいて更新できず、すいませんm(__)m
「アーちゃん、あまりユウヤお兄ちゃんに迷惑を掛けちゃダメだよ」
「……アリサ。君は、まだ若いから知らないだろうけど、大人になるって事は大変なんだ。……その為に僕は大人になる途中で少しの間だけ……そう、羽休めの最中なんだ」
「ふーん、大人になるって大変なんだね」
だらしない生活を続けようとするアキラを咎めるアリサ。それに対して、悟った風に自身の生き方を肯定する弁を振るう。その言葉に何となく雰囲気に呑まれ感心するアリサ。
「アリサ、そんな子の言葉を真に受けたら駄目よ。確かにね、大人になるには、大変な事や辛い事があって時には、立ち止まる事もあるさ……けどね、それと同時に楽しい事や幸せな事を経験して人は……大人になるんだよ」
「……だから、アキラ!あんたは、ユウヤちゃんと一緒に新しい世界を観てきなさい‼」
テレサさんは、アキラの弁を一蹴して、人生の先達者として重みのある言葉を放った。それが別れの合図のように僕らを取り巻く空間に静粛な間が流れた。
「ノーちゃん、アルちゃん。またね……」
「グゥウ」「ガゥウ」
名残惜しそうに二匹の獣を撫でながら別れを告げるアリサに呼応する二匹。
「それでは、テレサさん、アリサ。本当に長い間、お世話になりました」
「ユウヤちゃん。また来てね~、元気でね!」
「ユウヤお兄ちゃん、アーちゃん。またね~」
深くお辞儀をして、別れの挨拶を交わして僕達は、宿屋【レスト ステップ】を後にした。
◇◇◇◆◆◆◇◇◇
「ユウヤさん~こんな所に、いたいけな少年を連れ出して何をさせるつもりですか~?」
(こんな所って、ただの草原フィールドなんだけど……。いたいけって言葉は確か、純粋とか無垢な~って意味だからあながち間違ってはいないだろうけど……。
けど、アキラは純粋とか無垢って言葉が持つ意味のベクトルが逆な気がする)
引きずりながら、街から出て来てフィールドを少し進んだ所でアキラが再び喚き始めた。
「馬を何頭か捕まえようかと……」
「馬って、競馬とか乗馬で人を乗せて走る動物の馬ですかぁ?」
「そうだけど……それがどうかしたの?」
「ユウヤさん、僕が言うのも何ですけど……動物を使ってお金儲けをするのはちょっと……」
お金がない事と、偏った知識から出た推論によりアキラが僕に向ける目は冷たい。
「ちっ、違うって‼馬達には、ちょっと手伝って欲しい事があって……」
否定の言葉を口にしたが、やろうとしている事は、馬に働いて貰うという点では一緒だった。なので、言葉の最後の方は口調が弱かった。
「でも、結局の所、使うでしょ?」
「…………ッツ‼」
普段のふわふわとした口調からは、想像出来ないほど冷めた口調で言葉を投げられた。その時のアキラの表情は、まるで鉄面皮を被った様に冷めきった顔だった。
「まぁ、ユウヤさんのやりたい様にやれば良いと思いますよ~。で、僕は何しましょう?」
ゾッとする冷淡な表情を向けられ絶句していた僕に、アキラは何事も無かった様に振る舞う。
「……う、うん。アキラには、僕が捕まえて来た馬の保護をして欲しんだ」
「えー、それってレベル1の僕に出来ますかね?」
「まぁ、アルバもいるし出来ると思うんだけど……。どうかな、アルバ?」
平静を装いつつ、後方から少し遅れて来た……アルバと名付けられた存在に問い掛ける。
アルバは「グゥ」という低い唸り声で肯定の返事をした。
アルバは〈タイラント・レクス・グリズリー〉という種類の熊で、〈メイル・ベアー〉と似通った風貌を持つ生物だ。しかし、〈メイル・ベアー〉よりも二回りほど大きな巨体を持ち、深い藍色の体毛の熊だ。そして、ペットランクSS。
そう、アキラ……彼がテイムしたペットは、SSランクだった。
SSランクのペットの強さは、他のランクのペットとは違って一線を凌駕する。
例えば、僕のノワールはレートAAだったりするが、このレートの出し方はペットがレベル1の時、ステータスの総数値と保有スキルの数で決まる。
ノワールはレベル1の時、ステータス総数値165。初期スキルは持っていなかった。
ランクA以上の条件は、総数値150以上。スキル無し。である。150を15越えていた為、AAのランクに格付けされた。Sランクは、装数値200以上。スキルを一つ以上保有している事。
では、気になるランクSSのレート数値はというと……
アルバ
ステータス
Lv 1
HP:480/480
MP:255/255
STR:60
VIT:90
AGI:40
MIN:30
DEX:30
≪所有スキル≫
〈革命〉〈地眼〉
といった具合に、ランクSSの条件は総数値250以上。保有スキル二つ以上である。
ノワールのレベル1時と比べても圧倒的な差がある。
しかもこれに、レベルアップ時のステータスの上昇値のなどが加わるのだ。レベルは上がり辛いそうだが、それでも最終的には、埋める事の出来ない差が生まれてしまうのは誰の目から見ても明白だった。
羨ましいと思う気持ちが無いわけでもないが、数字でパートナーを……ペットを選んだ覚えは無かった。
アキラとアルバにこの場で留まるように言って、ノワールと共に草原を駆けた。




