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オーディール テイム・オンライン  作者: 結城 縫熊
2.本当の冒険(仮)
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42.回想・2

先週は、何の連絡も無く更新せず、申し訳ありませんでしたm(__)m


(うぅ~~。僕が悪いからって、こんなに高いモノを注文させてー‼……でも、いつも決まった時間にログイン出来るわけじゃないし、これからどうしようかなー?)


 満足そうにふっくらとお腹を膨らませて、だらしなく四肢を投げ出して仰向けに寝そべるノワールを視界の端に捉えて今後の対応を考えて頭を悩ませていた。


案①:ログアウト前にノワールをお腹一杯にしておく。

案②:ノワールの食事を買って置いて、お腹が減ったら食べられるようにする。

案③:お腹が空いたらベテルギウスに行って貰う。料金はツケで。


 案①②は、自分がされたら嫌だと思ったので却下だ。

それに……食事とは、ただ空腹を満たせればいいというモノではない。

なら、案③はどうだろう?ノワールの好物は肉料理。

しかし、肉料理ばかりの食事では栄養バランスが偏る。


 結局、結論を出せないまま、満腹で動こうとしないノワールを抱き抱えてベテルギウスを後にした。



街を何の意味もなく歩く。もう見慣れきった街並みをのんびりと眺めながら歩く。


 眺めていた街並みに人垣が出来ていた。場所は、エピオンの大通りに所々設けられた露店商の一角。その人垣は、プレイヤーの集まりで構成されていた。人垣の隙間を縫ってその露店に並んでいる商品を観た。


≪主従の装輪そうわ≫、≪従属の装輪≫、≪隷属の装輪≫商品はこの三種類だ。


≪主従の装輪≫

 装身具の一種。

 主と従の対になる輪を装備することで、種族の異なる者同士でも互いの意思疎通を円滑に行うことが出来る意思伝達装備アイテム。


≪従属の装輪≫

 装身具の一種。

装備された者を半強制的に従わせる事の出来る意思伝達装備アイテム。


≪隷属の装輪≫

 装身具の一種。

装備された者を隷属させる強制の命令を下すことが出来る意思伝達装備アイテム。


以上、三つの商品が並べられていた。

この内の二つ……≪従属の装輪≫、≪隷属の装輪≫の存在は知識として知っていた。かつて、現実世界で僕ら人間が動物を(旧)ペットとして飼っていた時に、売られていた商品だ。


 この二つの商品は、飼い馴らしきれなかった動物達……

つまり、ドラゴンや幻獣をはじめとした強大な力を持った生物を飼う為の道具だ。


(何で……今頃になってこんなモノを……?)

 嫌悪感と拒絶感が芽生え、目を背けるようにその場から逃げるように去った。

それは、他のプレイヤーが露店に並べられた商品を購入する姿を観たく無かった故の行動だった。


―――僕らは、この世界にやり直しに来た―――


 それなのに、また同じ過ちを犯すかもしれない事を危惧しながら、胸に抱えたノワールを強く抱きしめた。その温もりを噛み締める様に抱いた。



◇◇◇◆◆◆◇◇◇



 それから、一週間が経った頃……僕らが今、何をしているかと言うと……


「ユウヤ、五番テーブルのオーダー!九番テーブルの皿を下げて、それから……」

バイトをしていた。場所はベテルギウス。役職はウェイトレス。時間は夕餉ゆうげどき。肉料理が最も、美味しく感じる時間帯だ。忙しなく働き回っていると時間はあっという間過ぎていき、客足が遠ざかるのを感じながらその日の営業時間を迎えるのを待った。


「はぁ~、疲れたーー……」

「オウ、お疲れ!まかないだ、食いねぇ!」

 上機嫌に熱々料理が乗った皿を僕らのテーブルに置き、亭主は今日の仕事を終える作業を始めた。

肉汁が迸って肉の香りが店内に新鮮な香りを漂わせ、食欲を滾らせる。


 そんな、香りに釣られて店内の片隅に寝そべっていた獣がこちらにやって来た。

ノワールだ。彼は本来の姿に戻って、料理を運んでくれていた。


 しかし、ノワールの本来の姿は御世辞でも愛らしいとは言えない。

そんな、彼が頭の上に御盆を乗っけて料理を運ぶ姿は、なんというか……とてもシュールな光景だった。正直な所、ちょっと面白かった。

 

 けど、鬱憤を晴らすように料理に齧り付く彼を笑い飛ばすことなんて出来ずに、陰湿な雰囲気が漂うのを堪えて料理を細々と口にした。


そんな、微妙な空気が流れる中、唐突に来訪者が訪れた。


「……申し訳ありませんが、もう営業時間の方は終わりまして……ッッ!?」

外の看板を替え忘れたかな?と疑問に思いながら、決められた口上を口にして頭を上げて来訪者を視認すると息を呑んだ。何故なら、そこ現れた人物が予想外の人で尚且つ、見知った顔だったからだ。


「飯を食いに来たわけじゃねぇ……ユウヤ、お前に話が合って来たんだ」


声の主はアスラさん。この世界に置いては、旧知の仲と言える間柄あいだがらの友人が鬼気迫る表情を浮かべていて、これから聞かされる話の重大さを垣間見た。


◇◇◇◆◆◆◇◇◇


「お待たせしてすいません。で、アスラさん……話って何ですか?」

まだ、ベテルギウスでのバイトが終わっていなかった為、アスラさんにお茶を出し、少しだけ待って貰っていた。


「ユウヤ、お前に折り入って手伝って欲しい事がある」

「構いませんけど……何かのクエストですか?」

生産を主にしているプレイヤーは、そのスキル構成から戦闘能力が高いとは言えない。よって、発生した専用クエストの内容によっては、懇意にしているプレイヤーに手伝いを頼むことがある。そんな話を聞いた事があったため、そう問い返した。


「いや、これはクエストの手伝いじゃねぇ……個人的にやってみたい事があって、それを手伝って欲しいんだが出来たら内密に事を進めたい……だから、話を聞く前に決めて……」


「良いですよ、どんなことでも手伝います」

「本当か!?たぶん長い間、付き合って貰うと思うぞ……それでも良いのか?」

「はい、問題ありません」

念押しするように、何度も確認してくる彼に間入れずに二つ返事で了承を伝えた。


「よっしゃ‼なら、詳しい内容を話すから場所を変えるぞ!」

そう言って彼は、勢いよく踵を返して店を出ていく、その後ろを追いかけた。


◇◇◇◆◆◆◇◇◇


 場所は変わって、アスラさんの持ち工場こうばにやって来た。いつ来ても、乱雑に置かれた色々な物が机の上や部屋のあちこちに錯乱している。正直に言って汚い。


 しかし、案内された場所は普段、彼が作業している部屋では無かった。

部屋の片隅に隠れるようにひっそりともう一枚の扉があって、そこに通された。


 六畳ほどの小さな部屋だった。その部屋の中央には、謎めいた大きなテーブルが置かれていて部屋の面積をほとんど奪っていた。彼は部屋の奥に進み、ホワイトボード的な何かを壁に立て掛けた。


 それを背に大きなテーブを覆っていた大きな布を豪快に剥ぎ取った。

全容を窺うことが出来なかった謎の正体が白昼の元に晒された。


「これが俺のやってみたい事の計画と目標だ‼」

口角を吊り上げて獰猛な笑みを浮かべた表情は、野望に満ちた漢の顔。


「それで……ユウヤ、お前に頼みたい事は………」

彼は、僕に頼みたい役割。それと計画の内容について熱弁を振るった。


 その願いを叶える為の道のりは、長くて険しい道だ。

話を聞いている内に胸の奥から熱が込み上げてくるのを感じた。

やろうとしている事は、とても難しい。けど、そんな事は小さな障害だ。


 やがて、アスラさんの工場を出る頃には、夜が明けていた。煌めく朝日が眩しい。


 宿に戻る帰路の道中で、彼が語った理想の未来を夢想した。


 また一つ、目標が出来た。それは、他人ひとが描いた夢を助ける事だった。


(明日から、忙しくなるな……そうだ!どうせならア《・》イ《・》ツ《・》に手伝わせよう)


 最初は、水面下で物事を進める必要がある。けど、僕とアスラさんの二人だけでは計画の遂行は不可能だ。計画が進むに連れて、徐々に仲間を増やしていく必要がある。


その最初の一人は、ア《・》イ《・》ツ《・》で良いだろう!

……きっと、アイツにとって……良い刺激になる。


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