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オーディール テイム・オンライン  作者: 結城 縫熊
1.冒険の始まり…
3/44

3.修練所にて旅路への支度

「ここだ!」

 ソロクさんに案内された部屋には射撃場だった。

「修練《トレーニング》モード!タイプ弓」

台座の前で、イソロクさんは呟く。すると見慣れた弓道場に切り替わる。

「さぁこれ使って、ちょっと射てみな!」

 と言って、いつのまにか取り出した弓と矢筒を放り投げてくる。


 僕は慌ててキャッチして、射位の場所へと移動する。

一本の矢を、矢筒から取り出し弓を手に持つ。

 そして深く深呼吸し、弓を構え…的に集中して弦を引く。矢を放つ。

この一時は自分の時間が止まって、世界の一つになったかの様な錯覚を覚える。


 固定された世界で矢を離した。そして時間が動き出す。

次の瞬間、矢は吸い込まれるように的に刺さり「シュトン」と音を立てていた。

矢は的中とはいかなかったが、中心から少々離れた場所に刺さる。


「なかなか旨いじゃないか!しかしスキル補正やステータスを

設定していないのに、よく的に当てられたな…これなら弓スキルが

習得できるようになっているはずだ、メニューを開いてみな!」

と言われメニューを開く。


 新しいスキルが習得可能ですと、システムメッセージが表示された。


〈弓〉スキルを習得しますか?

〈YES/NO?〉もちろんYESを選択する。

 僕の身体に吸い込まれる様に一つの光が流れ込む。そして〈弓スキル〉の習得できたとのシステムメッセージが流れた。


「よし!ちゃんと習得できたな!次はステータスの設定をしてみようか、この

ゲームは、レベル制+スキル制で職業《ジョブ》や役職《クラス》などは

存在しない。プレイヤーであるお前たちは、初期に貰えるステータスポイントと

レベルアップによるポイントでキャラを成長させていく!」


「そしてスキルは、使い続けることによって熟練度が成長する。

スキル熟練度の上昇で、様々なアーツや強化オプションを取得して

使うことができる。ここまでは、理解できたか?」

 つまりは、レベルとスキル。この二つを成長させることで、この世界の僕の分身は強くなっていくということか。

「はい。大丈夫です!」

「なら初期ステータスを設定してみろ!ステータスはSTR、VIT、AGI、MIN、DEXだ。この5種類の単語の意味はわかるか?」

 STRは筋力値、VITは耐久値、AGIは敏捷値、MINは魔力値、DEXは器用値だ。大体わかるぞ。


「初期ポイントは120だ。弓などの射撃武器はDEXを重視しているから、その辺考えて振れよ!」

メニューからステータスタブを表示して、ポイントを振り分けていく。


ステータス

Lv 1

STR:15(1)

VIT:25(2)

AGI:30(3)

MIN:20(2)

DEX:30(3)


(こんな感じでいいかな?()内の数字は何だろう?)

「すいません?()内のの数字って何ですか?」

「あぁ…それは成長補正ってやつだ。レベルアップ時に()内のボーナスポイントだ。その数字を元に、ステータスの上昇値が大体決まってくるかな!」

 忘れていたと言いたげなに風に「きょとん」とした表情を浮かべてイソロクさんは言った。そうか……そんなことを考慮して、初期ステータスポイントを振る必要があるのか……それは、慎重になって考える……そして……こうだ!


ステータス

Lv 1

STR:15(1)→STR:10(1)

VIT:25(2)→VIT:25(2)

AGI:30(3)→AGI:30(3)

MIN:20(2)→MIN:20(2)

DEX:30(3)→DEX:35(3)


「出来ました!」

 僕がそう言うと、イソロクさんは覗き込んできた。

「悪くねぇ……がSTR低すぎじゃねぇ?それに、AGIとDEXが中途半端だ!これじゃあ、レベルアップ時の上昇値にムラが出るぞ!」

そんな事を考慮して、彼は諌めるような口調で僕に言った。

「でも、これでも補正は掛かりますよね?」

「掛かるちゃ掛かるが、男らしいくねぇ!極振りとか無謀な事にチャレンジしねぇから、女みてぇなぁな面になんだよww!」

どう考えても、ステータスの振り分けとは関係のない事を絡めて、からかい口調で僕を小馬鹿にしてくるイソロクさん。


「良いじゃないですか!別に……」

 そんな事を言われた僕は、素っ気無い不貞腐れた返事をする。

「そう不貞腐れるなよww!」

「バシッバシッ」と背中を叩きながら、笑っているイソロクさん。

(痛い、痛い)

「もう、止めて下さいよ‼」


「はっはっ!ワルい、ワルい……でこれからどうするよ?そろそろテイムに向かうか?」

反省の色が窺えない声音で謝る。そして、話を切替わった。

「まだ待ち時間ってありそうですか?」

「……そうだな……大まかな予想では、あと一時間位は掛かるだろうな。なんだったら此処で、もう少し射ていくか?熟練度も伸ばせるからな!」

 僕の疑問にイソロクさんは、何もない天井を見上げて、少しだけ考え込んで粋な提案を持ちかけてくれる。

「宜しいのですか?」

思わぬ提案に、疑いを持ってしまった。

「おう!かまわねぇぜ……ただし俺は寝るからな‼指導なんてしてやんねぇぞww独り寂しく、射てろや‼」

(何て言うか……この人ブレないな)


「では、ご厚意に甘えさせて頂きます。ありがとうございます。」

「俺はその辺で寝てっから、終わったら起こしてくれや!」

そう言って、すぐさま長椅子に寝転がって寝始めた。やがて、豪快なイビキが修練所の一室に流れ始める。それは……BGMのようだった。


(嫌な、BGMだな)

そんな事を他所に思考の片隅に置き、僕は射位に立った。弓を射始める。

「ふぅ~」

 深く息を吐き。集中力を高める。

一射目を放つ…的中はしない。しかしさっきよりも的中に近づく。

これがステータス補正とスキル補正のおかげか。


 それからも何射か射ていく…そして矢筒に残った矢は最後の一本。

より一層の集中をして放つ…弦の乾いた音が響き、矢が放たれた。

……的中する。小さくガッツポーズをした。

 もう一度深く息を吐き、射位を後にしようと矢筒を持つ。

空っぽのはずの矢筒に重みを感じた。矢がぎっしり詰まっている。


「あれ?」

気の抜けた声が思わず出てしまった。

どうしてだろと矢筒を眺めていると……


≪修練所の矢筒≫

 修練所の中でなら矢が自動的補充される矢筒。

とアイテム説明が表示される。


「おっ!!」

こういうシステムか…なら弓と矢を見てみる。


≪修練所の弓≫

修練所で使える弓

ATK:+5

≪修練所の矢≫

修練所で使える矢

ATK:+1


 便利だなと感心した。

これなら時間いっぱい、射てられるな。

僕は再び矢を射続ける。…これならちょっとした願掛けに挑戦してみるか。



 時間が過ぎ…一時間ほど過ぎただろう。

寝ているイソロクさんを起こした。

「ふぁ~よく寝たぜぇ~」

「どうもありがとございました。」

間入れず、礼を言い。借りていた物を返却しようとする。


 弓、矢、矢筒の一式を纏めて渡そうとすると手で制してきた。

「それはここから出たら初心者装備に切り替わるから持っていけ!」

「よしここをこうしてっとっ!」

ウィンドウを操作しながら、立て続けに言ってきた。

すると……手にしていた武器一式が変化した。


≪初心者の弓≫

比較的に扱いやすい弓

ATK:+5

≪修練所の矢≫

簡素な素材で作られた矢

ATK:+1

≪初心者の矢筒≫

何の変哲もない矢筒


「あっ!?名称が変わりました‼」

「そうしてやったからな!速めに武器は新調しろよ」

 投げやりなアドバイスをくれながら、寝ぼけた眼をでこちらに向けた。

そして急に目を見開くと、鋭い声で尋ねてきた。


「あれは何だ?」

指を指す先には、ユウヤが射ていた的がある。

「あぁ…あれは僕に弓を教えてくれた人に教えてもらった願掛けですよ」

「ふ~ん…どういった意味があんだ?」

「繋ぎ矢で、七つの大罪を一矢一罪に見立てて。それぞれの罪を払うために、矢で矢を裂き造花を作っていく、罪花《シン・フラワー》って願掛けです。」


「面白いな!良いこと教えてくれたな!こいつをやろう…礼だ!」

小さな物体を放り投げてきた。


≪指輪≫

ただの指輪

DEX:+1


 大した物じゃないようだ貰っておこう

「ありがとうございます!では、そろそろテイムに行こうと思います。」

「オゥ!行ってこい!もうそろそろ大丈夫だろ!じゃあ待たな!」

「では、失礼します。お世話になりました!」


 ユウヤはイソロクさんに、礼を言うと部屋を後にした。

ユウヤが部屋を出るとイソロクは呟いた。

「あの指輪は、あいつの様な人間に相応しい…」

「しかしこの願掛けは、スゲェ造花だな…俺にもできっかな?」

弓一式を取り出し、射位に立つ。



ユウヤ

ステータス

Lv 1

HP:235/235 

MP:145/145

STR:10(1)

VIT:25(2)

AGI:30(3)

MIN:20(2)

DEX:35(3)


≪所持スキル≫

弓スキル/ 27

<武器>

初心者の弓

初心者の矢

初心者の矢筒

<装備>

頭:なし

胴:初心者の服

腕:なし

腰:初心者のズボン

足:なし

靴:なし


<アクセサリー>

指:指輪


<アーツ>

ストロング・アロー


算出式

HP:100+20(Lv-1)+3(VIT+MIN)

MP:100+20(Lv-1)+1.5(STR+MIN)




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