戦争の影で深まるMystery
「それはそれとして、シルヴィオさん。1つお伺いしたいことがあるんですけど」
和解を見届けた恋は、ちょうどいいところに来たシルヴィオに話を振る。
「何ですか?」
「前回の戦争が終わって数年。ようやく平和になったって時に新型機の開発って、おかしくないですか? しかも、都合良く月面帝国ルーナがピンポイントで襲撃してくるなんて、できすぎでしょ」
それを怪しんでいたから、恋はこうして田中親子を連れてきたのである。
確実に内通者がいる。しかもその人物は、戦争になることを予見していたかのように、機体を作らせた。そんなことができるのは――
「気持ちはわかりますが、私ではありませんよ」
女達から一斉に疑いの目を向けられたシルヴィオは、即座に否定した。
「その根拠は?」
「信じてもらえないかもしれませんが、今回の開発は私が発案したのではなく、軍上層部からの指示を受けて考案したものなのです。ですから、私もこんなことになるとは……」
「エンジェメタリウムは? あんなの一介の技術者が用意できる代物じゃないでしょ」
「そちらも上層部から。問い合わせたところ、『天国にゆかりのある方から提供された』と」
容疑が晴れたわけではないが、嘘をついているようにも見えない。問い合わせをしたというなら、メールなり通信記録なりに証拠が残っているだろうから、後で裏をとればいい。瞳達は、一旦シルヴィオを信用することにした。
「ねぇ、シルヴィオさん。あいつらが『他の都市も侵攻してる』って言ってましたけど、もしかして――」
「えぇ。他の基地でも新型機が開発されています。もっとも、カテゴリーまで一緒というわけではなく、他の種族の機体とのハイブリッドや、全く新しいタイプの機体を開発しているようですが」
機械音痴の妖魔や、鎖国同然の精霊やドラゴンが技術提供をしているとは考えにくい。
となれば、残るは1つしかない。地獄こと魔界由来のデビルファイターだけだ。
デビルファイターは、地獄のみに存在する永続的に不毛の大地にする力を持つ核物質・シャドリウムの反応炉を動力に、装甲にはエンジェリウムの代わりにシャドリウムと鉄を化合した金属・シャドメタリウムを用いており、エンジェルファイターとは素材や乗り手こそ異なるが、性能面では殆ど大差がない。
その技術をハイブリッドしたヒューマノイド・デビルヒューマノイドも言わずもがなである。
もし、その情報が月面帝国ルーナにリークされていたら――
(そこら辺も詳しく調べてみる必要があるか)
言い様のない危機感を覚えた恋は、警察である田中親子と共に、エンジェメタリウムを提供したという人物と他の機体、それと月面帝国ルーナの狙いについて捜査をすることにした。
どうやら今回の戦争は、敵組織を壊滅させればそれで解決するような単純な話ではなさそうだ。
開戦前から疑問を感じていた恋を始め、この場にいる全員が、そう感じていた――――――




