要点まとめ 第二章21~26
翌日の朝、際允はダイニングで墨然と妲依娜と一緒に朝ごはんを食べる。そこで、輝絡は朝に極端に弱い人間であることを知る。
しかし、「火の感謝の日」で休みの輝絡が、誰に起こされることもなく異例の早起きをして現れ、なぜか際允の隣の席に陣取る。
際允は今日学校を欠席し、輝絡と二人きりで対峙するチャンスを狙っていた。けれど妲依娜の発言から墨然も学校に行かず家に残ることが発覚。
墨然の金色の瞳には、際允への「怨嗟の情」が揺らめいていた。
妲依娜との対話で、輝絡は「この十年間とても幸せに過ごしてきた。大切な家族だから」と明言。際允にとってはトーストの味がしなくなるほどのショック。
食後、墨然は無言で際允の手から食器を奪い取り、キッチンで代わりに洗い始める。その強引で不器用な姿は、際允に人間の持ち物を咥えて奪い去り、ただ自分の思い通りにさせようとする犬か猫みたいだなと思わせる。
輝絡の目を盗み、キッチン最奥の壁際で墨然は際允の両肩を掴んで耳元で本心を囁く。
墨然は「輝絡が殺人犯だとは信じられない。だからこそ真相を知る必要がある」と家に残った動機を明かす。墨然が結局は家族の味方をするのだと察した際允は、ついに感情を爆発させる。
際允が世界をやり直すことで「この世界の俺」が消滅し、二度と際允に謝罪も償いもできなくなる恐怖を夜通し考えていたと自白する墨然。「あなたの死も、世界のやり直しも絶対に許さない。俺に、責任を取らせてください」と悔恨を告げる墨然。
その激昂の走る瞳に、際允の脳内で二つの世界の墨然が初めて重なり合う。
キッチンでの話に輝絡が割って入り、「大人の話をするから、未成年の墨然は席を外せ」と命じる。しかし墨然は狼狽えつつも「今日一日、この目から先輩を離さないと決めた」と毅然と拒絶する。
三人はリビングへ移動。際允の正面に輝絡、右隣に墨然という「直角三角形」の位置関係でソファに座る。
成人していないのに彼らの契約の存在を知っていることから、輝絡に時の能力を使っていたと見抜かられる。際允は腹を括り、「今夜君に殺害される。なぜ僕を殺したいんですか?」と単刀直入に輝絡本人に告発する。
だが、輝絡はあっさりとその殺意を否定する。
「今夜死なない=運命は変えられる」という朗報に、際允は逆に冷や汗を流す。もし本当に輝絡に殺意がなければ、「永遠に墨然に信じてもらえなくなる」という絶望に襲われたのだ。
その予想に反して、隣の墨然は疑うどころか、ただ真っ直ぐに際允を心配そうに見つめていた。
普通なら激怒するはずの殺人犯の濡れ衣に対し、輝絡はほんの爪の垢ほどの感情も見せない。
墨然が「豊かな感情を表現できない」のに対し、輝絡は「そもそも感情の変化が存在しない」かのように見え、際允は底知れぬ違和感を抱く。
膠着状態を破り、墨然が挙手して輝絡に「先輩を殺さないという保証の契約を結んでくれ」と要求。何より際允を安心させることを最優先した行動だった。
輝絡は躊躇なく応じる。すると、際允の同意もなく、「神に誓う」とも言える「契約システム自体への一方的契約」を勝手に結ぶ。その解除条件は「自身の死」。もし契約を破って際允を殺せば、輝絡はその瞬間に天罰で死ぬことになる。
あまりに過酷なペナルティに二人は錯愕するが、墨然は「輝絡に殺意がないならペナルティなど無関係」と納得し、ようやく表情を緩める。
その深い心配を実感しつつも、輝絡の不気味な淡白さを前に、際允の胸からはどうしても安堵の色が湧き上がってこなかった。




