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どちら様ですか?~ナクソス島に置き去りにされたギリシャ王女、日本の神々に溺愛されました~【第一部完結済】  作者: 夜見猫
第七章 ゼウス様の侵攻とヘラ様の予定調和

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第84話

本作は情景や心理描写を丁寧に描いているため、長めの文章構成になっています。

お忙しい方は、会話文「  」、キャラクター名、心の声( )を中心に追っていただくだけでも、テンポよくストーリーをお楽しみいただけます。

全能の神ゼウス様に「決して手の届かぬ存在」を完全に見抜かれ、赤面しながらも一人の男としての気骨をさらに研ぎ澄ます若きテセウス。


「ふむ。そなたとの会話……。

とても有意義なものであった。


褒めて使わすぞ!


このアテナイに我が祝福を授けよう!


今後バルバロイや外敵からの侵入から、300年間、守護する力をこのアテナイに授けてやろう」


全知全能を誇るゼウス様は豪快に胸を張り、アテナイの空に閃く稲妻とともに、絶対的な守護の神勅を下されました。


最高神直々の300年に及ぶ加護。


それは家康の太平に匹敵する300年の太平の保証であり、これ以上ない最強の防衛力を手に入れた瞬間でした。


「はっ! ははっ! 有難き幸せに存じまする!」


テセウスは深く頭を垂れ、心からの感謝を捧げました。


しかし、その脳裏では極めて冷静な、そして不敵な計算が働いていました。


(これほどの祝福を授けていただいた以上、ゼウス様が未来の地へ赴き、天照大神様の元へ行こうとされていても、私がお止めするわけにはいかない……。それに……あの天照大神様だ)


テセウスの脳裏に、恋焦がれたまばゆい日の本の最高神の姿が浮かびます。


(全能のゼウス様といえども、あの絶対的な太陽の輝きを落とすなど、天地がひっくり返っても不可能であろう。


ましてや、最強の闘神・素戔嗚尊様が目を光らせている。


そして、さらにその奥には、あの冥王ハデス様の如き深淵なる神気を宿した大母神・イザナミ様までいらっしゃるのだ。


……よし、ここはゼウス様を温かく送り出そう)


日の本の最強三柱の布陣を思い浮かべ、テセウスは心の中でゼウス様の無謀な挑戦を確信しながら、ニコリと微笑みました。


「ゼウス様、そこまで我がアテナイを想ってくださるならば、冥府のペルセポネ様には私よりその旨と事情をお伝えいたしましょう。


このアテナイをお守りいただくことは、ハデス様やペルセポネ様の切なるお望みでもございますので、必ずや歓迎されることと存じます」


「おお、そうか! 冥府の者たちへの話が通じるならば、これほど好都合なことはないな! フハハハ!」


ゼウス様はさらに上機嫌になり、未来の至高の女神(天照大神様)への不埒な野心を胸に、ますます目を輝かせます。


そうとは知らず、日の本という名の「恐るべき規格外の神々が待つ神話の迷宮」へ自ら飛び込もうとしている最高神の姿を見送りながら、テセウスはアテナイの泰平を確固たるものにすべく、次なる内政の書類へと静かに目を落とすのでした。


そして次の日、テセウスはペルセポネ様の元へ赴き、事態を報告しました。


『なっ、なんとゼウス様が?!』


話しを聞いたペルセポネ様は、その厳かなお顔を驚愕に染めながら、美しい手を口元に当てました。


『よくぞ知らせてくれた……。


あの好色な最高神が日の本へ目を向けるなど、一大事ですわ。


私よりすぐに日の本の神々にこの事態を知らせておきましょう』


その横で、肘を突いて話の成り行きをじっと聞いていた冥王ハデス様が、やれやれと深い溜息を宮殿の闇に響かせました。


「ふむ……。まこと、しょうのない弟だ」


ハデス様は呆れ果てたように首を振り、その深淵の如き眼光に冷ややかな光を宿します。


「奴は何度、正妻のヘラに灸を据えられようとも、

美しい女神と見れば見境なく飛びつくこの悪癖だけは一生治らぬな。


まあ、あの日輪の力をその身に宿す日の本の最高神(天照大神)だ。


全能を誇ろうがゼウスに何かできるとは到底思えぬが……


我がギリシャの神が向こうで失礼を働いては、あの偉大な三柱に申し訳が立たぬな」


ハデス様は口元を歪めると、ペルセポネ様を振り返りました。


「ペルセポネよ。イザナミ様へ事の次第を伝える際、こう付け加えてくれるか?


『ゼウスにはいくらでも、きつい灸を据えてやって構わない』と。


そして……あの恐ろしい正妻、ヘラの連絡先を、ともにイザナミ様たちへ伝えてやってくれ」


『ふふ、それは素晴らしいお考えですわ、ハデス様。


イザナミ様や天照大神様、そしてヘラ様が手を組めば、ゼウス様も今度こそ塵一つ残らず灰にされてしまうかもしれませんわね』


ペルセポネ様も楽しげに、早速日の本の黄泉比良坂へ向けて、事態の警告と「ヘラ様の連絡先」を添えた通信を紡ぎ始めました。


自分の仕掛けた立ち回りが、まさかの「ギリシャ冥王夫妻による最高神ゼウスの売却」という包囲網へと繋がり、テセウスは心の中で笑うのでした。


これでゼウス様が日の本へ突撃した瞬間、天照大神様の日輪の質量と、ヘラ様の激しい嫉妬の、恐るべき神話級の挟み撃ちが確定したのです。


ハデス様からの最高の後押し(ゼウス様へのお仕置き許可)を取り付け、アテナイの絶対的な守護をさらに盤石にしたテセウスでした。


数日が経ち、全能の最高神ゼウス様が、大いなる雷鳴とともに冥王ハデス様の宮殿へと降臨されました。


「兄上! 息災でしたかな?


先日、アテナイのテセウスという者がペルセポネを訪れると申しておりましたが、未来の至高の国への道、話は通っておりますかな?」


ゼウス様は長い髭を蓄えた厳かな顔に、隠しきれない不埒な期待とギラついた欲望をにじませ、早く未来の女神たちに会わせろと言わんばかりに身を乗り出します。


「おお……我が弟よ。よくきたな。話はすべて、テセウスとペルセポネから聞いておる」


ハデス様は重厚な黒鉄の玉座に深く腰掛けたまま、やれやれと静かに杯を傾けました。


「しかし……ゼウスよ。


いくら全能のそなたとはいえ、あの地へ赴くのは少々無謀なのではないかと思ってな。


これまでのそなたのいかなる遠征(ナンパ)よりも、危険極まる試練が待っておるぞ」


ハデス様は深淵の如き声を響かせ、神妙な面持ちで「とりあえず兄として弟を心配して引き留めた」という体裁を保ってみせました。


しかし、その冷徹な心の奥底では、


(……フフ。ヘラにお灸を据えられても懲りぬ愚かな弟よ。


日の本へ突撃した瞬間、あの質量と日輪の光で黒焦げにされ、あまつさえヘラとの神聖挟み撃ちに遭って塵にされる姿を見るのも、一興よな)


と、密かに最高に愉しげな含み笑いを噛み殺していらっしゃいました。


「フハハハ! 兄上、この私を誰だと思っておられる!


全知全能の私に落とせぬ女神など、この宇宙に存在するはずがないわ!」


兄の思惑など一ミリも気づかず、むしろ引き留められたことでますます対抗心を燃やし、自信満々に胸を張るゼウス様。


冥王夫妻による完璧な裏工作が完了しているとも知らず、自ら黒焦げの未来へと足を踏み入れようとしているギリシャの最高神でした。


いつもご愛読いただき有難う御座います。

アテナイの300年防衛をもぎ取り、好色な全能神を日の本へ華麗に厄介払いしたテセウス。冥王夫妻の全面協力で正妻への通報ルートまで確保され、日希合同の「全能神黒焦げ包囲網」が待つ未来へ、本人は意気揚々と突撃を開始します。


「全能神をダシに300年の平和を勝ち取る元英雄の手腕よ」「実兄と義妹に秒で売られる最高神は草」と思った方は【評価(★)、ブックマーク登録】をお願いします。

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