第一章 俺の人生、詰んだ(物理)
人生で最大の後悔は何か、と問われたら迷わず答えられる。
「トラックに轢かれたこと」だ。
いや、正確には「深夜三時にコンビニまでカップラーメンを買いに行ったこと」だ。部屋のストックが切れて、それでもどうしても食べたくて、久しぶりに外に出た。引きこもり生活二年目、外出頻度は月に三回のレベルだった俺が、よりによってその夜だけ出かけたのだ。
名前は小林 悠人。歳、二十四歳。職業:無職(自称・自由業)。趣味:ファンタジー小説を読むこと、ゲーム、アニメ、そして昼まで寝ること。
特技:特になし。
輝かしい経歴はそれだけだ。
そんなことを考えながら、俺の意識は途絶えた。
気づいた時、俺は白い部屋にいた。ここはどこだと考える暇もなく、声がする。
「じゃじゃじゃーん!おめでとうございまーす。」
全身真っ白な成人男性?がいた。まて、これはもしかして…?俺は勘がいい方なんだ。何となく予想はつく。
「あなたを異世界転生させちゃいまーす☆」
ああ、知ってた。そんなことだろうと思ったよ。
「で?」
「へ?」
白い人はポカーンとしている。
「なんかチート能力とかくれんのか?それとも何か使命的なものがあるのか?」
「…ここまで適応能力が高いと、こちらとしてもテンションが下がるりますね」
「まあ、お約束だからな」
ゴホン
「いいでしょう。使命はありませんが、希望に沿った能力を授けましょう。」
まじで?激アツじゃん
「俺は魔法を使いたいな」
これは俺がファンタジー小説を読み漁っていたからだ。異世界転生の醍醐味といえば、やっぱり魔法だろう。
「それでしたら膨大な魔力を授けましょう。」
お、わかってんじゃん。まあ、それは重要だよなー
「ああ、それでいい。他にはなんかくれるのか?」
「すみません。転生者の能力は一人1つまでなんです。」
ちょっとガッカリした。まぁいい。1つ貰えれば十分だしな。
「じゃあ早速転生者させてくれ。」
「あ、はい」
「では、こちらの扉にどうぞ」
突然何も無い空間から扉が現れた。
ここから俺の異世界ライフが始まるんだ。期待が高まる。
扉に手をかける。ゆっくりと開け、1歩を踏み出した。
「あ、言い忘れてましたが。1つミスがありまして……」
「へ?」
俺は光の中に吸い込まれ、意識を失った。




