34.正義の味方 その十三 騎士の正体は?
-911号室-
『痛ててて。』
僕は、右腕に違和感を覚え、左手で揉みながら肩を回す。
『右、やられたんか?』
平田が、心配そうに僕を見る。
『直接、やられた訳じゃないけどね。
ククリであの騎士を斬ったら、予想以上に硬くてさ。
ククリ割れちった。』
僕は、百鬼夜行の事はふせる。
『破片、回収したけど、バッラバラじゃないの。何だったの?』
御門野は、ククリの破片をつまみながら驚く。
『僕も分かりませんよ。誰かに尾行されてて、
途中、宇梶さんに連絡して、あの廃ビルで襲撃されたんです。
黒連かと思ったんで、カマかけてみたんですけど…はぐらかされて。
最初は、パーカー着た男だったんですけど、変身?変形して、
あの中世の騎士になったんです。』
『騎士ねぇ~。』
御門野も首を傾げる。
『御門野さん、何か心当たりないんですか?』
『今んところ私も思い当たらない。
一応、白鞘のデータベースを当たってみるわ。』
『お願いします。
確信じゃないけど、僕みたいな術者じゃない気がします。
詠唱レスの変身だったんで。
白鞘の武装とも違うような…、
あっ、気になる事言ってました。
陰陽士を倒す為に造られた、と。』
『造られた?ロボットかいな?』
平田が口を挟む。
『そこまでは…』
僕は、口をつぐむ。
『ピピピ…』
御門野の携帯が鳴る。
『はい。新ちゃん?
大丈夫?OK、いいわ、深追いしない!
単独行動は、やめて。陽子と戻ってきて。柊君も無事だから。』
どうやら、逃がしたようだ。
できればあんな奴との縁は、切っておきたかったが…仕方ない。
『陰陽士を倒すって言い方が引っかかりますよね。』
僕は、再度、御門野に告げる。
『と、言うと?』
『白鞘を倒す。でもなく、黒連の一員として!とかでもない。
陰陽士って白鞘にも黒連にもいるんですよね?』
『…いるわね。』
間を置いて、御門野が肯定する。
『じゃあ、どちらも敵と見なしている?』
平田が首を捻る。
『柊君、そいつ、日本人だった?』
御門野が真剣な目で僕を見る。
…ツッこんだ言い方しやがるな。
コイツやっぱり何か知ってるし、隠しているな。
どう言い返したものかな。
『どういう事ですか?多分、日本人だと思いますけど。
顔はよく見えなかったんで断言はできませんけど。』
一応、あいまいにしておくか。
『実はね、最近、嫌な噂が流れててね。
”外国人”グループが陰陽士を狙っているらしいのよ。
先日の大柄な男もね。もしかしたらもしかするかも。』
『うげっ、敵増えるやん。』
平田が嫌そうな声を上げる。
確かにその通りだ。
そして、御門野達には伏せるつもりだが。
遠藤に内臓されていたスピーカー、今回の騎士。
どっか繋がっている気がする。
あくまで勘の域は出ないが、
高橋とカラスに当たってみるか。
出所が分かれば何か対策できるかもしれしな。
同じ手が通用するとは思えないし。
『それにしても、柊、よく物壊すな~。霊斧に霊剣に…』
平田が指折り、僕を茶化す。
『うるせぇ、僕だって好きで壊してんじゃない!』
『そうよね~。そんなにもろい物でも、安い物でもないだけど…』
御門野がククリの破片をゴミ箱に投げ、しれっと嫌味を言う。
『すみません。』
なぜ、僕が責められる?
『一応、新装備来たんだけど、渡さない方が正解かしら?』
『ちょっ、早く言って下さいよ。
間に合えば、結果も変わったかもしれないじゃないですか!
こうも怪我が続いているんですよ。』
僕は、すかさず突っ込む。
最近、僕の命が安くなっとる。扱いも雑いし。
『嘘よ。嘘。柊君専用 特注の”赤銅の篭手”。
術の効力大幅上昇、背反で消費も増えるわ。
”雷吼鞭”は、よく考えて使ってね。
門脇のあの壁も破れるんじゃないかしら。』
門脇…”プレパ・レイド”
絶対的な防御力、黒連トップレベル。
極力、当たりたくはないけど。




