19.正義の味方 その七 ブルマおばさん(前編)
-学校-
『ねぇ、知ってる?また、出たって。』
『どこで?どこで?』
『瀬田の方で出たって!』
『うそっ、また?気持ち悪~。』
『同じの中学の子が噛まれて入院だって。十針縫ったって。』
『うわっ、ヒクわ~。』
最近、クラスでは変な噂で持ちきりだ。
いわく、ブルマをはいた小太りのおばさんが猛スピードで
自転車をこいでいるらしい。
そんでもって、追い越されると噛み付かれるらしい。
瀬田市を中心に出没するらしい。
原付でも追い越される事があるらしい。
キツイ、キツすぎる。想像すると吐きそうになる。
中年のブタババアのブルマて!
それで噛み付かれるて!
悪夢や、トラウマになるわ。
まぁ、本当かどうか分からんけど。よくある都市伝説かもしれんし。
ブブブ。
スマホにメールが来た。
『今日、作戦会議。放課後、集合』
宇梶からだ。だいぶ、この色気のないメールにも慣れてきたな。
よ~し、この新型スマホの実力とやらを見せてもらおう。
『❤_❤❤_❤❤_❤❤_❤❤_❤❤_❤❤_❤
了解(≧▽≦)
マイハニー(^_-)-☆ (∈^▽゜)キラッ☆
早く会いたいよ♪
❤_❤❤_❤❤_❤❤_❤❤_❤❤_❤❤_❤』
初めてにしては上々の出来!
デコメール送・信!
『………』
返信なし。
無視ですよ。ボケ殺しですよ。全力でスルーですよ。
どんだけノリ悪いねん!
怒りを心に刻みつつ、放課後、マンションに向かう。
-911号室-
『お疲れ様です。』
『おぃ~す。』
ドアを開き、中に入ると新堂と平田が先に着いていた。
宇梶のヤローはまだなのかと思った瞬間!
『ゴン!』
何かが僕の後頭部に降ってきた。メリこんだ。
『あっばぁ~!』
僕は、頭を押さえその場にうずくまる。
『なんばしよるか、きさん!
(九州の方言で、何をしてくれるんですか!あなた様は?)』
『キモイメールのお礼。』
宇梶は冷たく言い放つ。
痛ひ。ツッコミは力加減が命だろうが。
後遺症が出たらどーしてくれる?
ただでさえ、頭弱いのに…ぐす。
『仲ええね。』
平田が笑う。
『チームっぽくなってきたじゃない。』
後ろからやって来た御門野も続ける。
『さて、みんな座って。今日、集まってもらったのは、
噂のアレの対応よ。』
『噂のアレ?』
僕は、頭をさすりながら聞き返す。
『”ブルマおばさん”ですね。』
新堂が答えた。
『そう、昔は、”ターボばばあ”なんて言うのも居たんだけど、
その亜種、もしくは同タイプと推測するわ。
警察も追っているんだけど、多分、手に負えないだろうから、
私達にも依頼が回ってきたワケ。
被害者は、今年で12人。
特定の人間を襲うわけではなく無差別。
黒連との関係は不明。
出現地域は瀬田市全域。時間帯は、20:00~24:00。
週末に出現する事が多いみたい。目撃例も一番多いわ。
自転車に乗ってるみたいだけど、時速70km以上で走行可能。』
『チャリじゃねえ。』
僕は笑ってしまった。
『そう、自転車でそんなスピード。
パトカーを振り切った例もあるわ。
自動車、バス、トラック等で追い越されると、車両に10円パンチ。
自転車、バイクで追い越されると噛み付かれるわ。』
『無茶苦茶や。』
平田が呆れている。
『そこで、今週から週末は、瀬田市の捜索。
発見したら迎撃、OK?』
御門野が僕ら4人を見渡す。
『どうやって見つけるんですか?』
宇梶が挙手して質問する。
『過去の被害、目撃事例から出現予測ポイントにレーダー、
カメラを設置したわ。それで捕捉します。』
『追跡方法は?僕、チャリで時速70kmも出せません。』
『普通、出んわ。』
平田が笑ってツッコむ。
『チームをタッグに分けるわ。
陽子と新ちゃんでチームα、あみと柊君でチームβ。
バイクで追跡してもらいます。』
『了解。』
白鞘での第3ラウンドは高速戦か。




