【第43話】「探偵気質、眠れぬ夜」
今回はあーちゃん視点でお届けします。
記憶の欠落と不思議な日常、そして家族やポムの変化に敏感な彼女が、ついに探偵魂(?)を燃やす瞬間。
普段のおちゃめなあーちゃんとは少し違う一面をお楽しみください。
店が終わり、静かな夜。
布団に潜り込んだものの、私はなかなか寝付けなかった。
――そう、私はあーちゃん。
でも、私には「ここ最近の記憶」しかない。
不思議なことに、手は自然に動く。
料理も接客も、犬のカットまで。
まるで、何かに導かれているみたいに「やること」が勝手にわかる。
その感覚に違和感を覚えつつも、誰にも言えなかった。
……もし言ったら、何かが壊れてしまう気がして。
けれど、最近の変化は否応なく私の目に映る。
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◆ 家族の変化
ルミ。
あの子はナオさんや風雷と一緒にヨルゼンに行ってから、何かを抱えている。
えーさんに教えを受け、ナオさんは姿を消し、風雷は以前よりずっと逞しくなった。
――まるで、時が早送りされるように成長している。
お母さん。
温泉から帰ってきてから、ポムとの距離が一気に縮まった。
犬嫌いだったのに、今では自然に干し肉を差し出すほど。
その表情も、どこか柔らかくなったように見える。
そして、ポム。
あの犬はただの犬じゃない。
空気を読むのは尋常じゃないし、怪我をしたと思ったら、お母さんがヒールで治してしまった。
以前は腕を精一杯伸ばして干し肉をあげていたのに、今では普通に受け取る。
まるで、家族としての位置を当然のように得ている。
――いや、それだけじゃない。
ポムは「ただの犬」に見えない。
心の奥底が、そう告げている。
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◆ 探偵気質の芽生え
考え出すと止まらない。
それが私の悪い癖であり、性分でもある。
「ルミも何か抱えている」
「ポムもただの犬じゃない」
「お母さんも雰囲気が変わった」
全部を並べてみたら――もう探りたくて仕方がなくなった。
心の中で、カチリと音がした。
そう、探偵あーちゃんの出番。
「明日から、秘密を探るわよ……!」
ワクワクしすぎて眠れないと思ったのに、気づけば深い眠りに落ちていた。
翌朝、いつものように。
「お姉ちゃん、早く起きなさい!」
ルミに揺り起こされ、ポムの尻尾がぱたぱたと布団を叩く音で目を覚ます。
――変わらない朝。
けれど私の胸の奥には、新しい決意の火が宿っていた。
第43話「探偵気質、眠れぬ夜」お読みいただきありがとうございました。
あーちゃん視点で語られる“違和感”と“家族の変化”。
彼女の探偵気質が物語にどんな彩りを加えるのか、私自身も楽しみにしています。
次回から、あーちゃんの「秘密探し」が始まります。
ポムの正体にどれだけ近づけるのか――ぜひ見守ってください!




