出会いの前に②
もう少し続きます。感想評価等よろしくお願いします。
今日は待ちに待った奉仕学校の入学式!ベッドから飛び起きて、学校の制服を着ていく。
書記官の制服をベースとして、胸に校章があしらわれたこのデザインを私は気に入っている。
お母さん達は奉仕の時間がいつもより早くなったから、用意した朝ごはんを食べといてね。と、お母さんから言われていたのを思い出す。下に降りて、テーブルの上に置かれたパンを頬張りながら、準備をしていく。本当は昨日にやるつもりだったが、国王陛下が今日私たちの街に視察に来るという噂を聞いてしまい、御姿を拝もうと出かけてしまったのだ。結局拝むことは出来なかったが。鞄に荷物を積み込んで、家の外へと向かっていく。すぐ近くに、御者がいたのですぐさま呼び止める。
「すいません!アンドレア書記官奉仕学校までお願いします!」
「分かりました。馬車券を拝見させてもらっても?」
「こちらです。利用可能圏内だと思いますが」
「はい、利用可能圏内にあるので大丈夫ですよ。それではお乗りください。」
馬車の客席に座って、街の様子を眺める。この近くの配給所では、休みの人たちが家族を含めた20日分の食料と、何種類かの配給券を受け取っている。またその隣に交番では、警官達が険しい顔をして何かの資料を読んでいる。また少し離れた公園では、子供達が追いかけっこして遊んでいる。
学校生活に胸を躍らせていると、隣地区との境界にある検問所にたどり着いた。
数週間前までは、ここに検問所は設置されていなかった。しかし、隣地区から凶悪な犯罪者が逃げ込んできたため、急遽設置されたという。
職員が私たちに近づいて話しかけてくる。
「御者殿。失礼しますが、馬車を改めさてもらってよろしいですか?」
「ああ、構いませんよ。特にいかがわしい物はありませんし。あ、一応乗客の方、降りてもらっていいですか?」
「あっ、分かりました」
指示通りに自分の荷物を持って馬車から降りる。さっきの人とは別の女の職員さんに体を調べてもらい、また他の職員さんに荷物を調べてもらう。
「特に怪しい物はありませんでした。どうぞお通りください。」
「了解しました。ありがたく通させていただきます。」
そうして隣町に入ってしばらくした頃、学校の建物が見え始めた。ちらほらと私と同じ制服を着た人たちがいる。
「それでは、ここで下ろしますが大丈夫ですか?」
「大丈夫です。ありがとうございました。」
荷物を持って馬車から降り、正面に見える校門に向かって歩いていく。
学校の先生や先輩達が、会場への案内をしているので、それに従って会場である大講堂に向かっていく。
自分の席を確認して座った。
何分か経った後だろうか、ステージに校長が姿を現した。
「皆さん、アンドレア書記官奉仕学校へのご入学、おめでとうございます。この学校で心がけてほしいことを3つほど伝えます。まず一つ目は学びを大切にするということです。人は、何かを学んでよりよい存在へとなります。2つ目は〜」
校長の話が終わると、何人かの先生がステージに上がって、いろいろな事を話し始めた。
校則や教育課程などなど。ふと周りを見てみると、上の空で寝ている馬鹿げた人もいた。
熱心にメモを取りながらそれらの話を私は聞いていた。
入学式が終わったのは、日が登り切った頃であった。
その後も、書類の回収などがあり、学校を出る頃には日が沈みかけていた。
行きの時と同じように、御者を捕まえて家まで送ってもらう。
検問所を通る時にも特に問題はなく、無事に家の前に着いた。
そしてドアを開けようとした時ーーー
私は何故か気を失ってしまった。
・・・良かった特に外傷は無いみたいだな。
気絶魔法をかけたジェシカ・アウリを抱き抱え、彼女の部屋にあるベッドまで運ぶ。
しかし、アウリ夫妻の子供である彼女が、異教に染まっていなかったとは。これもやはり我が国の教育による物だな。
なぜ王国魔導士である私がこの場にいるのかを思い出す。
異教徒であるアウリ夫妻を処分せよ。それが私に対しての極秘命令であった。
なぜ異教徒というものが存在するのか私には疑問だったが、道を誤った者に未来はないと判断し、早速仕事に取り掛かった。情報収集のなかで、彼らが異教徒供の集まりに出席することを知った。
すぐさま本部に連絡して救援を要請。そして集まりの日。彼らが家から出て裏路地に入ったところで水魔法を使い、溺死させた。集まりの方も本部側によって異教徒を全員捕捉、すぐに処分したとのことだった。
それから、死体の受け渡しを行い娘の帰りを家で待っていたのだ。
彼女に親が異教徒だから殺されたという必要はない。洗脳によって記憶の書き換えをすれば済む話なのだから。
洗脳魔法もかけ終わり、仕事が終わったと判断して、自宅へと私は帰ることにした。
入学式の次の日。違和感を覚えつつも、気のせいだと思いいつも通り朝食を作ることにする。今日は確か、お母さん達の命日だったよね。お祈りを捧げないと。1年前、馬車の事故で死んでしまった両親に想いを馳せながら、朝食を食べる私であった。




