17.閑話
ヴィオラ視点になります!
レイラが帰るのを見送り。ヴィオラは、呼び出された所に向かう途中。昔の事を思い出していた。
ヴィオラは7歳の頃にレイラが拾ってくれてからずっと、レイラの従者をしている。
従者になるための教育や、レイラを守る武術だってヴィオラは頑張れた。
全ては、拾ってくれたレイラや雇ってくれた公爵家に恩返しをする為だ。
だが、教えてもらった教育や武術は何も役に立たなかった。
昔のレイラは、嫌な授業があると部屋から逃亡したり。目を離すと、お菓子を食べすぎてしまったりと普通のお嬢様とは違い大変だった。
武術に関しても、ヴィオラが習っている横でレイラも居たのだ。幼いレイラが、一回り自分より大きい男の子に勝った時は本当にどうしようかとヴィオラは頭を抱えた。
レイラは、ヴィオラが知っている貴族達とかけ離れ過ぎていた。だが、レイラはヴィオラにとって大切なお嬢様に変わりはない。
でも、レイラの婚約者がユーリと知ったときはこの国は大丈夫かと、ヴィオラは本気で思い心配してしまった。
(まぁ、その婚約者であるユーリ様も見た目に反して関わりたくない人だけれど……。)
そうヴィオラが思ったのは、レイラが出席するパーティーについて行った時にユーリとヴィオラは初めて会った。
レイラの紹介でヴィオラが、ユーリに挨拶をした時だった。幼い頃のユーリは、声は凄く優しく口元も笑いながらヴィオラに喋っているが、目が笑っていなかったのが凄く印象的だった。レイラと接している時と、そうでない時では全然違ったのだ。
それからと言うもの、ヴィオラは何とかレイラには恋心は抱いていないと言う事。ユーリの敵ではないと言うことを説明し、やっと睨まれなくなった……。
(……でも、お嬢様はやってくれた。)
歳を重ねるにつれ、何故かレイラはユーリと会わなくなったのだ。
ヴィオラが聞いてもレイラは教えてはくれず、ユーリには質問攻めにあう毎日の繰り返し。
ヴィオラは胃が痛くなる毎日だった……。
「……で、ヴィオラ。レイラが避けている原因は、何か分かった?」
ヴィオラの目の前には、ユーリが長い足を組んで座っていた。レイラがユーリを避け初めてからは、時々こうやってヴィオラはユーリに呼ばれているのだ。
「いえ。私がお嬢様に聞いても、はぐらかすばかりです。」
「……そう。」
ヴィオラがそう言うと、ユーリは顎に手をあて何かを考えている。
「もしかして、誰かに何か言われたのか? それとも、僕を好きで無くなってしまったとか?」
(……いや。殿下を好きで無くなってしまったと言うことはないと思う。そうでないと、人前と言うことを忘れてあんなにいちゃいちゃ出来ないでしょ! 見てるこっちが、恥ずかしいわ!! 早くお嬢様が殿下を避けている理由を突き止めないと、この魔……殿下は許してくれないだろうな。)
考え込んでいたヴィオラがユーリの方を見ると、何故かニコニコとした笑顔でヴィオラを見ている。
「ど、どうしたのですか?」
「ん? 今、何か失礼な事考えなかった?」
「何を言っているんですか! 殿下にそんな事、思う訳無いじゃないですか! そんな、魔……。」
「ん? 魔? もしや、魔王って言いたかったんじゃないよね?」
(また……またやってしまった。殿下のこの笑顔が怖い。)
こうやってユーリに協力をしているのも、ヴィオラが前に間違ってユーリの前で魔王と言ってしまったからなのだ。
許す代わりに、レイラが避けている原因を突き止めてくれと脅……お願いされたのだった。
(だって! 冷たい表情で、しかもお嬢様と接している時と全然違う態度で貴族の方と喋っているのを見たら、誰でも思ってしまうでしょ!! 旦那様が言っていた、魔王と言う呼び名が良く分かってしまう!! )
「も、申し訳ございません!!」
「本当に。ヴィオラとレイラは、思った事が顔に出るね?」
ユーリの後ろで控えているユーリの従者も、笑いを堪えた様な表情で首を縦に振っている。
(そんなに分かりやすいのか? 確かに、お嬢様が考えている事は分かりやすいと思うが……。)
ヴィオラは首を傾げる。
「じゃぁ、引き続きレイラが避けている原因と。レイラに近づく危険人物が居たら報告を宜しくね?」
「はい。畏まりました。」
そう言うとユーリは、従者を連れて部屋を出ていってしまった。
こうして、放課後に密かに行っていた話し合いが終わったのだった。




