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勇者パーティに裏切られ死に追いやられた劣等騎士、精霊の姫に拾われ《最強》騎士に覚醒する  作者: とんこつ毬藻・銀翼のぞみ
第三章 火の勇者 激突編
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四十七.魔族長ブネリ登場

 ルシアの案内で城の奥へと進んでいくレイとアン。途中魔物と遭遇するも、レイとアンの相手ではなかった。やがて、長く薄暗い回廊の先、重厚な扉を見つける。


【恐らく魔族長ブネリはこの先に居るわ。準備はいい?】


「ああ」


「もちろんです!」


 二人はルシアの声へ頷き、重厚な扉を開く。そこは真っ赤な絨毯が敷かれただけ(・・)の何もない広い空間だった。天井も壁もない、紫色の雲のようなものに覆われた空間。部屋の奥、巨大な玉座に座っていた男がゆっくりと立ち上がる。


「その扉は、普段、余の部屋へ繋がっているんだがな。お前達を出迎えるために、この常闇の舞台へ繋いで(・・・)おいたよ。罠はない。安心するがよい」


 眼前の魔族が醸し出す妖気(オーラ)がレイへ知らせる。こいつは今迄に戦ったどの相手よりも強いと。


「お前が魔族長ブネリか?」


「いかにも。余は魔族四柱(デモンズスクエア)が一人、青龍のブネリ。貴様がラウムとロイドを倒した黒騎士か?」


「だったらどうする?」


「余は歓迎しておるのだぞ? 魔族長と勇者を倒す者が相手。少しは愉しめそうだと思っていたところだよ」


 抑えていた妖気(オーラ)を放つブネリ。通常なら人間が実体を保っていられない程の妖気。しかし、ポポロンの創った防具に護られ、二人共、ダメージを受ける事なく立っている。


「ほぅ、余の妖気を浴びて正気で居られるとは。しかも、そこのエルフもか。なら、これならどうだ?」


 刹那ブネリが左手を翳す。放たれたものは目に視える蒼き閃光。それは、音よりも速い闇属性の魔力が籠められた稲妻。しかし、ブネリの初撃はルシアの闇闘気(ルーンオーラ)を纏った漆黒の鎧に吸い込まれてしまう。


 続けて左手を天へ翳すブネリ。刹那上空がうねり、レイの体躯を穿つ! 回避不能の轟く雷撃。しかし、レイは避ける事もなく雷撃を受け、しかも無傷で立っているのだ。


「アン、頼む」


「わかりました、レイ様」


 アンが歌を紡ぎ始める。それは、対象の潜在能力を引き出す温かい希望の旋律。ブネリがそうはさせまいと左腕に雷を纏い、彼女の体躯を貫こうと動く! 


 一瞬にして距離を詰めたブネリがアンの胸を貫くも、アンの身体は漆黒の靄となり消失する。元々ブネリが立っていた場所にレイはアンを抱き抱えたまま移動、彼女を地面へ立たせたところで漆黒の騎士は魔剣を構える。


「一瞬で終わらせる。【死属性スキル】――死神の息吹(タナトゥスブレス)


 ブネリの身体が漆黒のドームに覆われる。魔を押し潰す漆黒の闇。それは闇を超える死の力。凝縮した闇闘気(ルーンオーラ)は魔族長の妖気を、体躯を喰らう。


「そう……来なくってはな」


 漆黒のドームに(ひび)が入る。巨大な闇の卵が割れるかのように、亀裂が奔り、漆黒のドームが消滅する。そこには自ら上半身の服を脱ぎ捨て、鍛え抜かれた褐色肌を剥き出しにした巨大な両腕を顕現させた魔族長――本性を現したブネリの姿があった。



 ◆◇◆


「な……何が起きているんだ?」


 上級悪魔グレモリーとの戦いを終え、レイの下へ急ごうと、城内を進んでいたリーズ。すると、凄まじい妖気(オーラ)闘気(オーラ)のぶつかり合いを感知し、慌てて現場へと向かったのである。


 そこには、有り得ない光景があった。


 巨大な黄金の巨人と異形が拳と拳を交えていたのだ。

 自在に伸びる六本の腕をいなし、尻尾を掴んで投げ飛ばす黄金の巨人。異形も倒れたところで腕を伸ばし、巨人の脚を掴み、倒す。


 異形が巨人を倒したところを馬乗りとなって殴ろうとするも、巨人は口から凝縮された闘気を放ち、異形の頭が吹き飛び消滅する。しかし、異形も吹き飛んだ頭の切断面が蠢き、顔ごと再生してしまうのだ。


「この闘気……間違いなく土闘気(アースオーラ)だよな……でも、ならポポロンは?」


 リーズの疑問は脳裏で聞こえる声によって解消されるのである。


「あら~~、土精霊(ノーム)じゃない。久し振りね~~」


 リーズの身体から翠色の風が巻き起こり、シルフがその場に顕現する。風闘気(エアロオーラ)に気づいたのか、激しい闘いを繰り広げていた土精霊が横目でシルフの姿を確認する。そして……。


「ご主人様お待ちください。シルフと人間。聞いてない」


「あ、リーズ、シルフ! さっきの悪魔は倒したんだね~! こっちも終わるから待ってて!」


「なっ? もしかしてポポロン、土精霊の中に(・・)居るのか?」


「その通りだよ? おっと!」


 六本の腕が迫って来たため、ノームが腕の一歩を掴み、再び投げ飛ばす。空中に浮かんだビーンが強力な妖気砲を放ったため、ポポロンも凝縮した闘気を放ち、相殺する。それだけで大地が震動し、猛烈な衝撃破が巻き起こる。


「なんて戦いしてるんだ!」


 リーズも想像していなかった規格外の戦い。そして、そんな規格外の戦いも、巨人のひと言で終わりを告げる事となる。


「ご主人様。これ以上は恥ずかしいので(・・・・・・・)終わらせます! ――大地の審判」


 土精霊(ノーム)が言葉を紡いだ瞬間、五メートルはあるビーンの身体が、四方巨大な壁に覆われていた。そのまま四方の壁はビーンへと迫り、そのまま押し潰されていく。


「シネェ~シネェ~グギャァアアアアアア!」


 異形の腕も体躯も、体液も、肉片すら、全てを押し潰す大地の審判。競り上がった壁は地面へと還っていき、ビーンの身体は地中深くへと呑み込まれていく。


 人間の国――闇の市場に君臨し続けた男のあっけない最後だった。


「ご主人様、(それがし)は還ります」


「おっけー、ありがとう、ノーム! またね~」


 土精霊の中から出て来るポポロン。黄金の巨人はそのまま霧散し、消えていく。リーズの前へ降り立ったポポロンは彼女へペロっと舌を出す。


「あんなの聞いてないぞ、ポポロン」


「ちょっと暴れすぎちゃった、てへぺろ」


 そのままハイタッチを交わすリーズとポポロン。

 こうして二人の勇者は見事、魔族長の側近と異形の存在を打ち破ったのだった――


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