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勇者パーティに裏切られ死に追いやられた劣等騎士、精霊の姫に拾われ《最強》騎士に覚醒する  作者: とんこつ毬藻・銀翼のぞみ
第ニ章 水の国 ~陰謀編
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二十五.職人の街 

「こ、これは……」


「とってもちっちゃいです!」


 石造りの家や、煉瓦調の家が並ぶグランディの城下町。人間サイズの家より一回り小さい家。そして、街を歩く住民――ドワーフは、褐色肌の女の子と男の子。とっても可愛らしい容姿だったのだ。


 そう、とってもおおきくなかったのである。


「ドワーフはエルフと同じく長寿の種族だからな。人間と違い、中々歳を取らないんだよ」

「いや、それにしても、髭面の親父を想像していたよ」


 レイも自国にある書物などから、ドワーフの勝手なイメージを想像していたのだ。ドワーフと言えば、引き篭もり気味で鍛冶が大好きなおっさんの印象が植え付けられていたのだ。


「それはあれだな。昔、先代勇者に伝説の武具を提供したっていう白髭ドワーフ、アースの逸話だろ? あれは生きている年齢が違うから比較対象にならないぞ?」


「そういう事か。認識を改める事にするよ」


 ドワーフの職人が造ったのだろうか? 石を組んで造られた遊具らしきものに上って遊んでいた男の子と女の子が、頂上から丸くなっている側の斜面を滑り、アンの傍へ駆け寄って来た。


「わーい。エルフのお姉ちゃんだぁーー!」

「ドワーフの国へようこそ!」


「わぁー。皆さん可愛らしいですね~」


 アンのまわりを回りつつキャッキャッ騒いでいるドワーフ達。


 そんな中、リーズがドワーフの子達に話しかける。


「ちょっといいかな。ポポロンに用事があって来たんだが、彼女が今、何処に居るか分かるかい?」


「あ、ポポロンお姉ちゃんなら、今工房に居ると思うよ~」


「ここを暫く真っ直ぐ行って、職人街に入って、真ん中にある噴水広場を西に行った先、一番奥だよ!」


 ドワーフ達がリーズへ丁寧に教えてくれる。

 三人で職人街へ向かっている間、レイと融合している闇精霊ルシアが、念話で話しかけて来た。


【土の国懐かしいわねぇ~。何年振りかしら~】


『そうか、ルシアは此処に来た事もあるんだな』


【そうね。最後に来たのは先代の勇者の時だから、少し前になる訳ね】


『という事は、今の〝土の勇者〟に会うのは初めてなんだな』


 長い年月を生きている精霊が言う〝少し前〟は数十年どころか数百年前でも少し前なのかもしれない。


 職人街は、希少な鉱石を元に作られた武器や防具の店はもちろん、生活に必要な陶器や生活雑貨、精霊の加護を元に作ったアクセサリや魔法具(マジックアイテム)のお店まで、様々なお店が並んでいた。


「わぁーレイ様――! 見て下さい! これ、とっても可愛いです~~」


 可愛らしいりすの置物を指差し、はしゃぐアン。倒しても起き上がる小さな置物だ。


「こっちはアクセサリーの店ですー。わぁー、綺麗ですねーー」


「お嬢さん、お目が高いね! これはノーム様の加護を受けた精霊石で出来たイヤリングだよ! 精霊石の力で一度だけ外敵からの強力な攻撃を自動で防ぐ事も出来る優れものさっ!」


「へぇー、それは凄いな!」


 眼鏡をかけた男の子姿の店員(ドワーフ)の説明に思わず反応するレイ。



「あ、お兄ちゃん、エルフの彼女と思ったら、エルフと兎耳族のハーレムかい。くぅ~。羨ましいねぇ~」


「へっ。かかかか彼女。そんなんじゃあ……」

「なっ、別に私はこいつとパーティを組んでいるだけでこいつの事は何とも……」


 店員の彼女、ハーレム発言に顔を真っ赤にして否定するアンとリーズ。店員は二人の様子を満足そうに観察したあと、小声でレイへ話しかける。


「ここは、(おとこ)をあげるためにも買っておいた方がいいぜ? うちの商品は、戦闘にも役立つアクセサリーばかり。買って損はないと思うぜ」

「ま、まぁ、そうだな」


 値段もピンキリではあったが、風の国(ウイングシルビア)で稼いだ資金もあったため、レイは二人にアクセサリーを買ってあげる事にした。


「分かった。店主。これは幾らだ」


「毎度あり、ノームのイヤリングは銀貨八枚だ。よかったらこのエメラルドのネックレスを一緒にどうだい? 属性スキル耐性と状態異常の耐性があるぜ? 二つで金貨一枚、銀貨二枚にまけとくよ?」


 銀貨十二枚相当。結構な値段だが、アクセサリの付与効果を考えると相応の値段だと言える。 


「よし、買おう」


「毎度あり!」


 レイはお金を払い、ノームのイヤリングとエメラルドのネックレスを受け取る。イヤリングをアンへ渡すと目を丸くするアン。


「え? レイ様? いいんですか!?」


「嗚呼。構わないよ」


「あ、ありがとうございます!」


 エルフの長い両耳へイヤリングをつけるアン。蒼い精霊石が耳元でキラリと煌めく。


「それからこっちはリーズへ」


「はっ!? わ、わたし? わたしは……アクセサリなんか……に……似合わないから……」


 だんだん声のトーンが小さくなっていく中、レイが彼女の首元へネックレスをかけてあげる。頬を赤らめるリーズの胸元で翠色の小さな宝石が光を反射する。


「いや、リーズ。似合ってるじゃないか」


「べ……別に……嬉しくなんか……ありがと……」


「ん? 何て言った?」


 リーズの声があまりに小声で最後聞き取れなかったため、思わず聞き返すレイ。


「ありがとうって言ったんだ! ほら、早くポポロンの工房へ行くぞ!」


 顔を真っ赤にしたリーズが歩幅を大きくし、歩き出す。

 そんなリーズの様子に笑みを浮かべるアンとレイ。


 こうして三人は、珍しいアイテムが並ぶ職人街を堪能しつつ、土の勇者――ポポロンの工房へと向かうのであった―― 


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